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京都旅(1)


万年筆からインクが滲んで手帳に染みていく。

昨年の終盤、コートを新調しようと立ち寄ったブランド店で、小物と一緒に並んでいた万年筆が無性に欲しくなり購入していた。
年が明けてから、手帳に記入する際にはこの万年筆を使用している。手帳には予定の他に、毎日あった出来事や思った事などを短い文字で綴るようにしていた。今日も一日を振り返り、何かを書き出そうと筆先をメモスペースの隅に置いたところだったが、そのままの状態で想いに耽ってしまっていたようだ。それはほんの短い時間であった筈だが、永遠のようにも感じられた。


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京都へは出張という名目だった。
同期の2人と一緒に京都にある本社へと向かった。
早朝の新幹線で静岡を出て、1時間半後には到着していた。
9時からの朝礼の後、本社の担当と2時間の打ち合わせをして仕事は終了した。
まる一日分は出勤扱いとなり、次の日に有給をとり、3日目の早朝に戻って仕事をするという2泊3日の男三人旅となった。

一日目の午後の半日は新幹線の駅を境として南側を攻めようという事になっていた。
先ずは電車に乗り、伏見稲荷に向かった。
駅を出て、とりあえず昼食を摂ろうという事になり、参道を歩いた。
どこも混んでいて、特別京都感もない空いたラーメン店で昼食を済ませた。
ひしゃくで水を掬って手を洗い清めた後、有名な鳥居の並ぶ道を進んだ。


一番上まで行くつもりでいたが、戻ってくる他の観光客の疲労度が高いのが気になり、3人で相談した挙げ句、途中で引き返す事にした。
途中、人慣れした猫がたびたび寄ってきた。
その中の黒猫が私の足に体を擦りつけてきたので、頭を撫でてやった。

途中で引き返して来たものの、旅の初っ端からなかなかの疲労度があったのと、時間も14時を過ぎていたので、その日の観光はもう1ヶ所にしようということになった。

夜、目的の場所が宇治近辺にあったので、そこから近い平等院に行くことにした。
平等院へ向かう参道には、宇治抹茶を使用した様々な飲み物や加工食品が売られていた。
京都人の商魂の逞しさがうかがえた。
平等院ではお決まりの池を挟んだ鳳凰堂の写真を撮り、資料館と鳳凰堂の中を見学して1時間も経たずに出た。


目的の店までの時間を逆算するとまだ時間が余るので、参道のカフェで休憩することにした。他の2人は抹茶を使用した冷たいドリン

クを注文していたが、私は温かい紅茶にした。
カフェでは20時営業開始の目的の店に行く前に、何を食べようか相談した。
京都らしいもを食べたいねと話していたが、実際に何を食べるべきか私たちには殆んど知識がなかった。




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