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【Bar S 】episode24 マユミとミーコの複雑な関係



ビールを飲む姿が世界一美しいマユミが、友達のミーコを連れて来た。マユミとミーコはV系バンドのライブで知り合ってから、3年の付き合いになるそうだ。

ミーコを連れて来たその日、マユミはいつも以上にミーコとふたりではしゃぎ、とても楽しそうだった。

ミーコは身長161センチ。シュッとした見た目なのにアニメ声という、ギャップのある少し不思議ちゃん的な27歳。


その日のメンバーは、ケン タツヤ マサル マサルの彼女のユイ アツシ あっくん カナ ナオト マユミ ミーコの10名。

タツヤがギターの弾き語りをする姿を見て、ミーコが恋に落ちそうになっている事はすぐにわかった。


ミーコは2週間に1度くらいの割合で、土曜日に店を訪れるようになった。たまにナオトとマユミが住むマンションに泊まり、翌日にも3人で顔を出す事があった。

マユミは酔ってくるとミーコに抱きつき、頬っぺたや唇にキスしたりしてた。

ウチの店以外でも、食事に行ったり ライブに行ったりと、本当に仲が良さそうだった。


ある日、平日にミーコが珍しく1人で店に現れた。

「あれっ 今日はミーコひとりなんだ。珍しいね!」

ミーコに冷えた白ワインをグラスで渡すと、彼女はゆっくりと少しだけ口に含み、香りと味を確かめた後、話し始めた。

「本当はマユミ達と一緒じゃない時にも もっとお店に来たかったんだけど、マユミから『わたしの行き付けの店だから、わたしと一緒じゃない時には勝手に行かないでよね!」って言われてたから、今までひとりで来るのはやめてたの。でも最近、マユミが少し冷たくなってきたような気がして。それで今日はひとりで来ちゃった。」

「ねえマスター マユミから何か聞いてないかな⁉」

実は聞いていた。マユミは「ミーコはほっとくと、どんどんわたしのテリトリーに踏み込んで来る。ウチのマンションにも毎回、当然のように泊まろうとするし、このお店にもひとりでも来たいっていうし」
「まあ毎回、泊まろうとするのは面倒なのは解るけど、どうしてひとりでこの店に来ようとする事が嫌なのかなぁ?」
「だって、ここはわたしとナオトで見つけた大切な場所なの。ミーコが勝手に来る事で、その大切な場所を荒らされたくないの!」そう言うとマユミは泣き出した。
気持ちは理解出来るようで、でもやっぱり全然わからなかった。
「でも、仲のいい友達なんでしょ⁉」
「うん 大事な友達」

ミーコにも同じような事は伝えてるみたいだけど、自分から聞いた事を話す訳にはいかない。

「何も聞いてないけど。それにいつも仲良さそうじゃん!」

「マユミはいつもそうなのよ!皆の前では楽しそうに振る舞って、わたしに抱きついてきちゃったりして。ホントにあのひとの事がよく解らない。」

ここでマユミにした質問と、同じ事をミーコにも訊いてみた。

「でも、仲のいい友達なんでしょ⁉」

ミーコも迷わず答えた。

「うん 大事な友達」

女性の友達関係はよく解らない。という事がよく解った。



その後もふたりは(ナオトも含めると3人)一緒に店に来ていたし、凄く楽しそうに振る舞っていた。マユミは相変わらず酔うとミーコに抱きつき、キスをしていた。


ナオトがひとりで店に来た時に訊いてみた。マユミとミーコが話していた事をそのまま伝え、ふたりの関係ってどうなってるの?と。するとナオトは

「えーっ そうなんですか?知らなかった。確かにミーコがウチに泊まろうとすると、断る事が多くなってきたな。とは思ってたけど。そーなんですか⁉」

コイツに訊いた私がバカでした。このお坊っちゃまの鈍感男は、何も気づかない。


この約1年後、ある事が起こるまでは、少なくとも表面上、皆の前では仲良くしていたのでありました。それまでは。




ーepisode 24 おわりー

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