◇不確かな約束◇第6章 上
「これがポプラの木か」
私は、まだ茶色がかっていて芽吹く前のポプラを見上げて独り言をいった。
正直、もっときれいだと思った。
私は北海道大学に入学し、それなりに大学生活を過ごしており、まもなく1ヶ月が過ぎようとしていた。もう5月だというのに朝は時々息が白くなるほど冷え込む気候に、ちょっとずつ慣れてきた頃だ。
大学の構内はとにかく広かった。歩いても歩いても重厚な建物と樹木が続いていくキャンパス。北海道というキーワードからイメージする私の感覚が、そのまま飛びだして目の前にあ