『真のパンクロッカー』創作大賞2023応募作品
二十歳になったばかりの私はいきり立っていた。
「バンドでスターになってやろう!」なんて夢を抱いてひとり札幌に渡り、わずか五畳半の小さな部屋での生活を強行したのだ。まさしく勢いだけで始めた札幌音楽生活。気づけば一ヶ月が過ぎていた。
その日の夜も小さな部屋でひとり、懸命に楽曲作りに精を出していた。とはいえ生活のためには最低限の家事はしなくてはいけない。私は大きなため息を吐き、しぶしぶ立ち上がった。洗剤をひとふりして洗濯機のスタートボタンを押す。二層式タイプの古い型のせいかヤケクソ