映画『カランコエの花』のこと。
**「うちのクラスにもいるんじゃないか?」 **
とある高校2年生のクラス。ある日唐突に『LGBTについて』の授業が行われた 。しかし他のクラスではその授業は行われておらず、 生徒たちに疑念が生じる。「うちのクラスにLGBTの人がいるんじゃないか?」生徒らの日常に波紋が広がっていき…
思春期ならではの心の葛藤が 起こした行動とは…?
LGBTが抱える問題を、当事者ではなく周囲の人々の目線から描き、2017年・第26回レインボー・リール東京コンペティションでグランプリを受賞した短編作品。監督は尊厳死を題材に描いた「尊く厳かな死」の中川駿監督。
問:あなたは人に理解されたいですか?それともあなたは人を理解したいですか?
作品観る前に上記の問いに皆さんなりの意見をもってもらえたらうれしいです。
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下記 映画感想
高校二年生の七月のある日。なにもいつもと変わらないクラスの日常がふとしたきっかけで、大きく変わってしまう。
この中に自分とは違う恋愛観の人間がいるかもしれない。性のこと。それは多感な高校生が扱うには刺激が強く、彼・彼女たちの敏感な感受性は大人の言動一つ一つで真意を得ようと推理してしまう。
「ってことは、LGBTのやついるんじゃね?」
好奇心とちょっとしたイタズラ心が噂話を呼ぶ。それがまだ現れていない当事者を傷つけてしまっているとは知らずに。
いままで知ってはいたけど経験したことない事態に、どうしていいかわからず狼狽してしまう。そのうろたえさえも「差別」なんじゃないかと、自問しながら。自分はなにができるだろう。そして、自分の中にあるこのもやもやは何だろう。
波紋が大きくひろがっていく中で、ずっと声を出せずにいたその人が、ある場面で現れる。
「きみには、話せるかなと思って……」
自分の中の奥にひっそりとある、大切な思い。それをさらけ出す臆病な自分。否定されたくない。受け入れてほしい。大切なその人だけには分かってほしいとささやかに願いながらも、そんな大切な人にさえも受け入れてくれなかったら、明日から何を信じて生きていくのか。もし拒絶されたら、大げさでもなんでもなく自分は世界で一人ぼっちなんじゃないかと不安に思う。そんな不安感、だれしも心当たりはありませんか。
一方で
だれかに寄り添いたい。助けたい。好きという気持ち。もしもしあなたは何考えていますか。もしもしあなたのことが知りたいです。その感情や欲求もだれしも経験あるのではないでしょうか。
他者に理解されたい。そして、他者を理解したい。
LGBTのことを扱った作品ですが、限定的なものではなく人間だれしもある普遍的な問ではないでしょうか。いつだって、理解しようと目を凝らし、耳を傾ける。わかってほしくて声を出し、態度を示す。傷つけてしまうのを不安に思い、傷つくのを恐れながら。それでも人は人と関わりたいと思う。
最後に監督のインタビューのコメントを載せます。
傷つけるより離れるほうが寂しい
私にとって、とても大切な一本になりました。
役者の皆さんの実在感がほんと素晴らしい。。。
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