友とポルノと爺の群れ_ポルノ映画を観に行って来たレポート

友達に誘われて、ポルノ映画を観に行くことになった。理由を聞くと、社会勉強と暇つぶしだと言う。好奇心が勝り、自分もそれに便乗することにした。それにお互いにスケベなのは承知している。
友達と現地付近で合流し、目的地に向かった。大通りを小道に抜けると、すぐ発見できた。店先には、原付が尋常じゃないほど止まっており、古めかしい掲示板には今週上映する映画のポスターが貼られていた。タイムスケジュールもあり、ちょうど映画が始まる事を示している。外観の時点で他の施設とは異なる雰囲気、異界感とでも言おうか、を発している。好奇心が止まらない。友達とじゃんけんをし、先陣を切ってもらう。中に入ると、ヤニの臭いが漂い、古めかしい券売機と受付の爺がいた。料金を支払い、半券を受付に愛想良く渡す。戸惑いながらも入口を見つけると、ちょうど人が出て来た。白髪混じりの40歳くらいの男だ。有り体に言えば不潔な印象である。ホールに入ると、女優の喘ぎ声が耳に入り、ゾンビの如く薄暗い館内を歩き回る爺達の姿が目に映る。見渡すと右端で一組の爺が御互いの身体を触り合っていた。なるほど、ハッテン場の役割があるのかと理解したが、見るに堪えない。空席を発見すると、友達の右に腰をかけ、映画を鑑賞する。通路を通る爺がしばしばこちらを見てくるので堪らず、マスクを付け顔を隠す。
肝心の内容は熟女ナンパものであり、全く高ぶらない。画面全体に館内のヤニの臭いを染み付けたような色をしているし、そもそも、熟女モノは僕にとっては藤浪並のボール玉だ。だが、あまりのおかしさにうっすらとした笑みが顔に張り付いて剥がれない。前の席をよくみると、二人でちちくり合っている。暫くすると、右の男がマスクを剥ぎ顔を隣の男の股間部分に動かし頭を上下にうごかしはじめた。恐らくはしゃぶっているだろう。館内を犇めくウォーキング爺、見るだけで不快感しかない爺達のボディタッチ。前方で行われる痴態。大画面で流れる演技丸出しの3流AV。頭がパンクしそうである。どうやら友達も同じようで、ニヤつきながら顔を見合わせる。
しばらく映画を眺めていると、歩き回っていた爺の何人かが前方の様子を鑑賞し始めた。恐ろしい。それを意に介さず行為をする二人。しかも、爺の一人が参戦したのだからもう見ていられない。しばらくすると、彼等は移動したものの別の二人の爺がすれ違った際に揉めはじめた。どうやら、杖をついた爺とシャツの爺が接触し、杖爺が怒ったようだ。その様子をながめていると彼と目があった。やってしまった。杖爺はしばらくこちらを見ると、僕の前の列を通りぬけ、なんと僕の二つ隣の席に座った。チラチラとこちらを見ながら隣の席に手を伸ばす素振りを見せる爺。当然、恐ろしくて堪らない。意に介さない振りをしながら、間接視界で爺の様子を確認する。やはりと言うべきか、爺の行動は僕の近くに来るだけでは留まらなかった。なんと爺は隣のシートに手を掛け、半身をこちらに向けて、こちらをねっとりとした視線で観察し始めたのだ!幸いなことに、爺の動きは遅い。恐怖と好奇心がせめぎ合う中、友人に連れられ何とか無事に恐怖のシートを脱した。
最後尾の席に逃げ込むと、ある事を思いつく。なにかのネタになるだろうとメモをそこで残す事にした。
映画は三本立てあるのだが、どうやら最終章も佳境のようである。女優の喘ぎ声が激しくなる。しかし、友人はもう満足したようでここから脱出したいようだ。そうと決まれば足は早い。
外に出て空気を吸う。排ガス混じりの空気ではあるが、素晴らしく爽やかに感じた。しかし、なにかやっぱりヤニ臭さが抜けなかった。


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