ポコ♪がたまには「株」について語る⑦
100万円が100億円になるゲーム
前回の投稿の後半を覚えているだろうか?
100万円の自己資金で日経平均株価が1万4000円の時に先物1枚を買う。
この時に必要な額は70万円である。
そしてこの先物は日経平均株価が100円動くと10万円分の利益が増減する。
株価が400円上がれば利益が40万円となり、手元にある残金と合わせてもう1枚先物を買うことができる。
株価1万4400円で先物2枚、総額2880万円の投資をすることになる。
この状態で引き続き株価が上がると、株価350円上がったところで利益が70万円増えるから、先物を更にもう1枚買える。
このようにレバレッジをかけながら複利で運用していくと、いったい何が起こるだろう。
株価1万4984円で先物4枚、株価1万5159円で先物5枚、株価1万5299円で先物6枚と運用資産は等比級数的に増えていく。
日経平均は12月26日に1万6000円に到達したが、その時点で利益はすでに1000万円を超えているはずだ。
最初の100万円は、わずか2ヶ月足らずで10倍になった。
そしてこのまま株価が上昇し続ければ、理論的には、株価が2万円を超えた時点で無限の資産を持つことができるのである。
とはいえ、もちろん現実にはこんな事は起こらない。
株価は右肩上がりの一直線で上昇するわけではなく、いつでも好きな時に好きな価格で売買できるわけでもないからだ。
そこで次に、日経225先物の売買データーを使用してもう少しリアルなシュミレーションをしてみよう。
スタートは2005年11月1日で、先物価格の始値は1万3670円。
12月30日の終値は1万6050円で2380円(17・4%)の値上がりだから、元金100万円で先物1枚を買い、そのまま放っておくだけで利益は238万円。レバレッジの効果で、何もしなくても2ヶ月でお金は3・4倍に増えている。
次はこれに複利のパワーを加え、利益が出るたびに先物を買っていくとしよう。
とはいえ、細かな計算を説明しているとキリがないので、大雑把に結論だけいう。
儲かれば先物を買い足し、損すればその分だけ売るという単純な取引を続けていくと、12月12日には利益が1000万円を超える。
それから年末までに2度の株価の暴落があるのだが、これをうまく乗り切ることができたなら年明けには投資総額は5億円まで膨れ上がり、利益は2000万円に達する。
投資における複利とレバレッジの組み合わせはF1仕様のレーシングカーのようなものだ。
うまく乗りこなすことができれば、お金儲けにとてつもないパワーを発揮する。
もっとも、この「夢の投資法」にも若干の問題がある。
予想に反して株価が下落した時に、レバレッジをかけている分だけ損失が膨らんでしまうのだ。
例えばこのケースでは、ライブドアショックに端を発した2006年1月の株価暴落でいきなり3000万円のマイナスになって、家も財産もすべて失うというちょっと困った事態になる。
この簡単な資産でもわかるように、複利とレバレッジを限界まで加えれば、短期間でお金を10倍に増やすのは決して不可能ではない。
ということは、これを4回、連続して繰り返せば、最初の100万円は5年目に100億円になる。
「そんなのは単なる机上の空論だろ」とあなたは思うかもしれない。
もちろん、ほとんどの人は大富豪になる前に脱落してしまう。
でも、このゲームの参加者が1万人いたらそうなるだろう?
そのうち一人くらいは4回連続で勝ち抜いて100億円を手にするのではないだろうか?
・・おしまい・・
参考文献】『臆病者のための株入門』橘玲著(文春新書)
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