ポコ♪がたまには「株」について語る⑤
複利とレバレッジの話
株式投資がコイン投げみたいな偶然のゲームであるならば、なぜ5年間で100万円が100億円になるという「奇跡」が起こるのだろう。
そこにはなにかもっと別の理由があるんじゃないだろうか。
このような疑問を持つのはもっともだけど、それだと話が先に進まなくなってしまう。
ジェイコム男氏が並み外れた能力を持っていたとしよう。
これはとてもわかりやすい説明だけど、実際にはなんの役にも立たない。
仮にそれがどのような能力か解明できたとしても、私たちがその力を身につけることはできないからだ。(だって人間離れした能力なのだから)
あるいは、ジェイコム男氏は8割からの9割の高い確率で株価の動向を的中させる秘密の方法を見つけたのかもしれない。
こちらの方がありそうだけど、それが事実だとしても、彼がなにかの理由でその秘密を公開しようと思わない限り、私たちが真実を知る事はできない。
もし誰かがその方法に気がついたとしても、彼はその技術を利用して自分だけが金持ちになろうとするだろうから、相変わらず私たちは何もわからないままだ。
そこでここでは、株式投資が偶然のゲームであることを前提として、それでも5年間でお金が1万倍になるようなことがあり得るのかどうかを考えてみたい。
そのためにはまず、複利とレバレッジについて説明が必要であろう。
お金を銀行の定期預金に預けて、利息だけを現金で引き出す人は少数派である。
利息を更に預け直す方がお得なことをみんな知っているからだ。
10万円を年利10%の定期預金に預けたとしよう。(話をわかりやすくするために単純な数字にしています)
そうすると1年後には1万円の利息が払われる。
この利息を毎回現金で受け取ると10年間で10万円だから、元金と合わせて20万円に増えている計算となる。
次にこの利息を現金で毎回受け取らず、そのまま同じ定期預金に預けていくとしよう。
1年目の利息は同じ1万円だから、それを元金に加えて、2年目の運用資金は11万円からのスタートとなる。
すると2年目の終わりには1万1000円の利息が支払われることになるはずだ。
同じように3年目の元金は12万1000円で、その年の終わりに支払われる利息は1万2100円、4年目の元金は・・・と切り返していき、10年後の口座残高は26万円となる。
利息を毎年引き出していると(これを「単利」という)お金は20万円しか貯まらなかった。
ところがその利息を更に銀行に預け直せば、それだけで10年後の口座残高は26万円になった。
利息を元本に組み入れることで、何もしないのにお金が6万円も増えてしまったのだ!
これが複利というものなのだ。
次回はレバレッジの説明です。
・・つづく・・
【参考文献】『臆病者のための株入門』橘玲著(文春新書)
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