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蒲公英奇想 ウィスコンシンに花は咲き【過去日記】

たんぽぽがここ数日で一斉に姿を現しました。
 
黄色い花が、あちこちで頭をゆらしています。
 
なんでこんなにいいのかな、たんぽぽというものは。
人間に似ているからだろうか。
集まってわっと咲いていたり、かと思うとぽつんと一輪で咲いていたり。
みんな少しずつ違うけど、だいたい同じに見えたり。
 
 
ウィスコンシンは風が強いので、たんぽぽの綿毛もさぞかし遠くへ飛ぶのではないか と言ったら、
おかしなことを考えてるね と驚かれました。
 
そこに集まって生えているたんぽぽは、去年は向こうの丘にいたかもしれない。
それどころか、もっと遠くから、町を越えてやってきているかもしれない。
数年前は、隣の州に咲いていたかもしれない!
 
風にのって、何代もかけて旅をするたんぽぽ。
 
たんぽぽたんぽぽ
ぽぽたんたんぽぽ
 
 
海に落ちた綿毛はどうなるんだろう。
(そういえば、聖書の種まきのたとえ話でも「海に落ちた」バージョンはないな……ただまいてるだけでは海に落ちないもんなぁ)
 
川に咲く花の話を聞いたことがある気がするけど、
さすがに海水は厳しいだろうか。
 
でも、もし海にも花が咲いたら、どんなだろう。
 
……
 
遠くの遠くの、でもそれほど遠くない、ただ見過ごされてるだけの、未知の惑星があるとします。
そこの海には、黄色い、まあるい花「ぽぽたん」が咲きます。
 
惑星の住人たちは、広い海をわたるとき、ぷかぷか浮いている花をよけながら、舟を走らせます。
この花は茎がとてもとても長く、海底に根をおろしています。
物好きな人は、それを上手に植えて、海に道を作ります。
ぽぽたんロードです。
 
ただし、ぽぽたんの茎はそれほど丈夫ではないので、嵐がくると曲がってしまって、道の形がすっかり崩れてしまうのが難点です。
 
また、十日もしないうちに綿毛になり、空へ飛んでいってしまうので、
ぽぽたんロードは少しの間の風物詩、というわけです。
 
ぽぽたんぽぽたん
たんぽぽぽぽたん。
 
 
 
(ウィスコンシン留学中・2007年の日記より、一部改稿)

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