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スクリーン「チラシ大全集」Part2感想 夢を掴んだスタローン、幾千の物語の始まり

「チラシ大全集」感想第2弾。今回は70年代。アメリカン・ニューシネマの教養が無くても「ロッキー」と「スター・ウォーズ」が公開された年代なのでPart1に比べて語れるところはあるかと思います。

思い出はそのままに

1971年。「小さな恋のメロディ」が公開。ダニエルとメロディの幼い男女が恋仲になり、大人たち相手に「僕たち、結婚するんです!!」と宣言するお話。初見の高校生当時は「小学生が結婚できるわけないだろ」と半ば嫉妬の感情を抱いたものだったが、彼らを抑え込む頭の固い親や先生から逃げたい気持ちは分からないでもない。ただ現実的に考えて、本当に結婚できるとは思えない。かわいそうだけど。

トレーシー・ハイドは日本でアイドルに。「あの人は今」でマーク・レスターと一緒にダニエルとメロディが再会した設定のやり取りをしていたが「思い出は心の中にしまっておくのがいい」としみじみと感じるものがあった。

現代格闘技の始祖、偉大なるドラゴン

1973年に「燃えよドラゴン」でブルース・リー師父が4位に登場する。社会人になって初鑑賞。格闘技ファンの自分もリスペクトの冒頭、オープンフィンガーグローブからMMAスタイルの腕十字でタップアウト。一番好きなのは「ドラゴン怒りの鉄拳」。師匠の葬式で泣き崩れた冒頭から、最後は哀しみと怒りの大絶叫。終始ハイテンションで滾ってくるものがある。香港を訪れた際にアベニュー・オブ・スターズで師父の銅像を目の当たりにした時は感動した。

最強タッグvs海の怪物

1975年。サメ映画の始祖。「ジョーズ」公開。口から血を流す、女子供関係なくサメに喰われると残酷シーン続出。「プライベート・ライアン」筆頭にスピルバーグの映画は意外やエグい。

作品1位は「タワーリング・インフェルノ」。主演はスティーブ・マックイーンとポール・ニューマン。長年のライバルとされ、人気投票も共にナンバーワン5回。マックイーンはスタントを基本自分でやる、ニューマンは50を超えてル・マン耐久レース参戦とお二方共にワイルドで、この2人がサメと戦っても何とかしてしまいそうな感じも。ニューマンが全速力でトラックを走らせ、荷台からマックイーンがバイクでハイジャンプ。口に目掛けてバイクを放り込んで脱出、サメが嚙み砕いた瞬間爆発とか。最後は浜辺で2人がガッチリ握手して「THE END」と。

夫人の爽やかさと陰

1974年に「エマニエル夫人」公開。個人的には2作目が好みです。日本では女性からの支持も集めてシルビア・クリステルが10位。「プライベートレッスン」は「うらやまけしからん」な話だったが、興味津々の男の子をリードする家政婦さんのやり取りが微笑ましかった。稲垣吾郎主演で日本版が作られた縁もあり、ビストロスマップにも出演。その姿は気品あるマダムだけど、どこか影を帯びていた。そんな印象を受けた。

リアル筋肉ダルマ、スタローン

1977年は「ロッキー」が公開。主演のシルベスター・スタローンと本作は日本でも受け入れられ、読者選出作品1位。スタローンは3位。「ランボー」公開の1982年は2位となり、伊藤ハムのCMに長年起用と人気者となった。

加藤よしきさん執筆の「読むと元気が出るスターの名言 ハリウッドスーパースター列伝」を読むと、スタローンのキャリアはとにかく安定しないというか。常に転んで立ち上がってを繰り返えす。ダルマのような生き方をしている感がある。

批評家から歓迎された「ロッキー」以降はラジー賞常連で、1989年は「10年間の最低男優賞」、1999年は「20世紀最低主演男優賞」の2冠。20年間通しての最低評価の称号を得た後はノミネートすら引っかからなくなる程、仕事量は低下。寂しい低迷期に。「ロッキー・ザ・ファイナル」から風向きが変わり、老いたロッキーを演じた「クリード」でゴールデングローブ受賞で遂には39年ぶりのアカデミー賞ノミネート返り咲き。結果はオスカー戴冠ならずも、見せ場を作って最後に負けるというのもまたロッキーらしかった。

製作会社設立、愛妻との間に生まれた三姉妹は全員美人。公私共に順風満帆、スタローンの新たな春と思われたが、会社代表として第1作目の作品だった「大脱出2」が過去ワーストクラスの酷評で急転直下。更に「クリード3」不参加の理由が権利関係によるトラブルと判明。そして最近は愛妻との離婚報道。一気に当たり役にして長年の友人と最愛の家族を両方失う危機に。。しかし、愛する妻は離れなかった。離婚報道から程なくひと月後。和解したと報道が入った。更に権利問題についてドルフ・ラングレンが声を上げた。大変な時に誰かが助けてくれるというのは一重にスタローンの人徳あってこそ。またスライは立ち上がろうとしている。転んでも立ち上がる。正にリアル筋肉ダルマ

次、立ち上がるきっかけは待望の「エクスペンダブルズ4」か、それとも再びロッキー復帰で大復活か。酸いも甘いも知った男梅ぶりをもう一度見せて欲しい。

スター・ウォーズに思うコンテンツの変化

1978年。一代叙事詩「スター・ウォーズ」第1作公開。もちろん、この年の作品1位。
シリーズを語る上でよく言われる「旧3部作が一番良かった」という声。この判断は中々難しく、新3部作は監督自身に課せられたハードルを結果として超えれなかったという解釈も出来るし、ルーカス去りし後に作られた作品は概ね好評だが商業主義され、各方面に配慮したキャスティングがミスマッチだとの声が散見している。これは作る方も見る方も変化を強いられていて、ストレスがかかりやすいのもあると思う。今は過渡期を迎えていて「進化」って響きは良いけど負荷がかかるものだから。良いところも当然あって、新生スター・ウォーズはBB-8の女子ウケと「アジアの最終兵器」ドニー・イェン、「アポロ・クリードの異世界転生記」カール・ウェザーズを加入させた+旧キャストを再ブレイクさせた実績が大きい。良い所に目を向けて寛大な心で物語を見守る姿勢を大事にしたい。

温故知新のディスコ・ダンス

同じ年に「サタデー・ナイト・フィーバー」が公開でジョン・トラボルタが3位。とにかく細い。手足が長い。筆者が見た当時は「バトルフィールド・アース」の大暴落と、肥満を指摘され始めた時期だったので、別人に見えた。今でいうTikTok向きではないのかもしれないが、私はキツネダンスよりもこっち派。リメイクしたら流行るんでないかと。ちなみに今作の続編「ステイン・アライブ」を監督するスタローンは翌年に「ロッキー2」が日本公開。僅か2年弱での続編公開は前作の成功後即GOサインが出たと推測できる。

老いてますます盛んなり

1979年。クリント・イーストウッドが読者選出初の1位。60年代から2010年代までの50年に渡り10選に名を連ね、2022年で御年92歳になっても、精力的に活動している。「イッテQ」で出川イングリッシュの突撃を受けた時の事。普通なら困惑するか笑ってしまうところを非常に丁寧かつスマートで紳士的な応対を見せていた。65歳年下の23歳女性と交際という報道が出たのも納得の紳士。ギラつかないジェントルぶりに生命力の強さ。全てが併さっての「生涯現役」。

総括

70年代後半は「マッドマックス」、「エイリアン」と長寿シリーズが続々幕開け。前者はスタントマン死亡の噂が立ったバイク転倒、後者は腹突き破りと「何事も最初のインパクトが大事」と分かる。

タフガイが人気の男優部門に対して、女優はアイドル系の女の子が人気。70・80年代の人気者たちは今なお根強い人気で、実際に世代でない自分が見ても可愛いくて素敵に思う位なので、筋肉ゴリゴリマッチョの男たちだけでなく、こちらも次回触れたい。

次は80年代。「ランボー」、「インディ・ジョーンズ」、「ターミネーター」、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」、そして「トップガン」。名作シリーズ続々始動。

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