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空飛ぶクルマ(eVTOL)やドローン2.0世界の最近動向について

自分は米国株投資を通じて3周ほど先回りする海外のネット業界の動向を理解することが多いです。先日もイーハンという中国にあるドローン企業がナスダックに上場していて、この会社が2月の中旬に一日で40%も株価が下落して、会社の存在を知りました。

そしてこの会社を調べるうちに、イーハンはドローン技術を拡張した方向性に人が実用的に乗ることの出来るドローン(マルチコープタータイプと呼ばれるいわゆる空飛ぶクルマ)を実現していこうとしていることがわかりました。そしてこの会社は日本の個人投資家(特にテクノロジー史観に前向きな若手)にとても人気があることがわかりました。

ちょうど1ヶ月ほど前に、とある本で空飛ぶ車について数年前に「楽観主義者の未来予測」と同じ著書が2020年に書いた未来史観の書籍「2030年全てが加速する未来に備えよ」という本で読んだばかりで、こういう偶然が重なると、自分の中ではセレンディピティが発動して大体もう一つ偶然が重なるのですが、重なりました。

僕の昔の同僚が、日本の空飛ぶ車のスタートアップに転職したのでした。(社名とかは伏せておきます)

ということでイーハンの株を買おうと思ったのですが、中国企業ということもあり一瞬買ったのですが辞退することにしました。そしてこの2ヶ月ほど空飛ぶ車についていろいろと調べたり考えたりしたことをこのnoteで自分なりにまとめてみたいと思います。

数年後例えば2025年とかにこのnoteを読み返したときの答え合わせようでもあります。

そもそも空飛ぶクルマとは?

一般に「空飛ぶクルマ」とは、eVTOL(electronic take-off and landing)と呼ばれます。従来型の飛行機とは異なり電動による低振動で、滑走路を使わずに垂直に離着陸が出来ること、とされているようです。航空機のカテゴリでも「回転翼機」の一種に属しているようです。

同じカテゴリに軸する旧来から存在するヘリコプターよりも「安価」に「安全」に「どこでも」利用できるという観点で「空の大衆化」を実現することが期待されているようです。

空飛ぶ車のアプローチはさまざま

大きくはドローンから派生した「マルチコープタータイプ」のものと、回転翼と固定翼りの双方を兼ね揃えた「有翼タイプ」の2つに分かれるようです。

ドローン技術を組み合わせたほうは、モーターと各種センサーなどの各要素が汎用化されて安価に組み合わせられるようになりドローンが発展した先にあるようで最近大きく発展してきているようです。

後者(有翼タイプ)と比較するとなんといっても機体価格が安いのが特徴です。

ぱっと見た感じ、電気自動車のイノベーションと同じで(水素自動車を旧来型の自動車産業が押しているけど、世界の潮流はモーターと蓄電技術を抑えたテスラや中華系の電気自動車(NIOなど)が主流)、旧来的には翼を兼ね揃えた「有翼タイプ」が本命だった勢力図が最近変わってきた。個人的には「マルチコープタータイプ」側にイノベーションの軸があるような気がします。

主なスタートアップ

空飛ぶクルマは、クルマ自体を提供するプレイヤーから製造メーカー、その他管制システムを提供する会社まで多種多様ですが、いったん機器を作っているメーカーということで整理してみました。

Joby Aviation(米国)
有翼系。業界最大手。UberよりUber Elevate(Uberの空飛ぶタクシー部門)を事業譲受。株主としてトヨタ自動車Uberなど。SPACに上場予定。2023年商用飛行実現を目指している。
Archer Aviation(米国)
有翼系。ネット業界系のシリアルアントレプレナーが設立。人材の多くは既存の大手航空メーカー系。ユナイテッド航空から200機を受注。2024年商用飛行開始を目指す。ユナイテッド航空などから資金調達。SPAC上場予定。
Kitty Hawk(米国)
有翼系。ラリーペイジ(google創業者)らも出資。少しカテゴリーが異なり大型Heavisideの開発をすすめている。
Volocopter(ドイツ)
マルチコプター系先駆者。期待開発に加え運行管理も一体的に提供する構想。ダイムラー、JAL、住友商事、NTTなどから資金調達。
Lilium(ドイツ)
有翼系。中国テンセントが支援。ダクト付き電動ファンを搭載した機体。2025商用開始を目指す。
EHnag(中国)
ドローン大国である中国のマルチコプター型アプローチのスタートアップ。世界初の空飛ぶクルマ上場企業として既にナスダックに上場。無人飛行にも成功しており、空中観光サービスも開始(商用か?)欧州各国や韓国でも実証飛行を進めている。
SkyDrive(日本)
日本国内の有志団体を母体として創業。国産の会社として国内企業が支援している。DBJ、NEC、伊藤忠、大林組、ドローンファンドなど。

maas系の一カテゴリーとして空飛ぶクルマは位置づけられているので、大手企業からの出資が中心にようです。これで行くと、商用利用は早くても2024年ごろから。我先にとEhangの株を買うのは時期尚早すぎな気がします。(自治体や企業の研究開発の売上を当てにしてナスダックに上場できるってそれはそれですごいけど)

追伸)STRIVEの方がまとめてくださった記事を最近発見しました

何が変わるのか?

個人的には空飛ぶクルマのガラガラポンで何の市場がリセットされるのかという部分に興味があります。新しい市場が出来るというのは、表向きはきれいですけれど、もともとあった市場の置き換えが起こってき、大きなうねりとなっていくものです。

道路管制
これまで移動手段としてのクルマは道路が必要でしたがこれからは空が舞台となります。高速道路を作ったり、道路整備をしてきた産業はいきなりは、なくなりませんが、大きく変容を余儀なくされていきます。固定電話の世界から携帯電話の世界になっていくのに似ていると思います。社会インフラの投資の考え方が大きく変わっていくのでしょう。

既存航空業界、自動車業界
空を飛ぶことが大衆化することで、既存の航空業界や自動車産業も大きく変わっていくことが想定されます。だからこそ彼らも投資するのでしょう。当面の間は既存の航空機や自動車のニーズを補完する形でむしろ既存のこれらの産業は拡大が進むので共存共栄だと思いますが、AIや安価になった技術をベースとして、これまで大衆化が難しかった空を飛ぶ部分が大衆化されるので、maasの本命分野なのではないかと思われます。(空飛ぶクルマの大部分はパイロットが操縦するのではなく自動運転となる)

保有から利用をベースとした移動手段へ
空飛ぶクルマは一定頻度で充電する必要がありますが、それ以外では、空を飛んでいるので、特定の場所に滞在させておく必要がありません。機材の保有やリースや利用の考え方は旧来型の考え方ではなく、使いたいときだけ使う新しい時代のmaas的なニーズにそったものになっていくと考えられます。だからこそUberがこの時点から投資しているのもうなづけます。

自動車や航空機の場合は内燃機構を持つメーカーが強かったり、許認可を持っている運行会社が強いわけですが、空飛ぶクルマの場合は、サービサーと利用者の周りでオペレーションを最適化する会社が強いのではないかと考えられます。メーカーもスマートフォンのように、特定のメーカーが数十年にわたって強い時代が続くかは不明。

規制緩和の流れ

各国ごとに異なる規制緩和がどう進むかはこの産業においてはとても重要です。FAA(アメリカ連邦航空局)、EASA(欧州航空安全機関)など欧米主軸で進むのかなと思っており、この部分でも米中対立の影響がどう出てくるのか興味深いです。日本の場合は経済産業省が中心となって部会が開かれて、環境整備が進んでいるようですね。2025年前後の大阪万博がターゲットになっているような気がします。

最後に

また、この記事を書いていて思いましたが、三菱重工が進めてきた国産シェットはどこにいくのですかね?結局ドローンの発展の方向性の中に空飛ぶクルマがある2020年代の時代に、旧来型の戦艦大和を作ってしまった、ということで数十年後笑い話になってしまわなければよいのですが。。。。

三菱重工はとても尊敬する会社できちんと配当も出しているので個人的にたくさん株式を持っています。だからではないですが、もっと頑張って欲しいところではあります。はい。

個人的には今年はSPAC上場など、この業界も目まぐるしく動向が変わりそうなので、たまにnoteやtwitter等でまとめ記事とか参考になりそうなものが出できたらピックアップしてきたいと思います。

個人的には、ナビゲーションサービスなど、ソフトウェアやプラットフォームを作って、これらの新しい移動手段向けに価値が提供できるプロデュースをしてみたいなと思っていたりします。みんながマップを作ったり、空飛ぶクルマとVRの世界がつながった新しい世界を作っていったり、考えてみると無限の可能性を感じます。

自動車の世界が旧態依然とした規制領域(というか大企業の横綱相撲の領域)だったので、なかなかインターネットファーストなイノベーションが起こらなかったです。一方で海外の空飛ぶクルマの会社でネット業界の起業家が設立したものもあったりと、この分野は自由な雰囲気を感じます。

この記事は「投げ銭」記事です。ポジティブにお金が回る仕組みにしてみたいと思いました。記事をおもしろいと感じてくださった方は「投げ銭」をよろしくお願いします。