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66モデルを分析して、新作生地作りました。とCOTTONUSA™について。

コレクト事業部の藤原です

今回は新しく開発した新作デニム生地のご紹介です!

私たちは取引先のアパレルメーカー様向けに、年2回ほど生地の展示会を開催していました。大体4、5月くらいに翌年の春夏向け商材、10、11月くらいに翌年の秋冬向け商材の新作生地の展示会というようなスケジュールです。

しかし、今年の4月はコロナウイルスの影響もあり、展示会が出来なかったので、まだほとんど日の目を浴びていない新作生地です。

一口にデニム生地と言っても、様々な種類があります。ビヨンビヨンにストレッチが効いたもの、裏毛のような組織になっていてスウェットのような柔らかい穿き心地のものなども、インディゴ染料を使用していればデニムにカテゴライズされますね。

その中でも、私たちが一番得意とするのは古着を模範とした、ヴィンテージライクなデニム素材です。基本はコットン100%で糸のムラ形状がどうの、色落ちがどうの、セルヴィッチがどうのという地味なやつです。メチャクチャストレッチが効いてて伸びるとか、そんな分かりやすさはありません。

そして、今回の新作も得意先様にお見せしても、ほとんどの方が(え?…これが新作?)と思うでしょう。でも今回は原料にも拘りがあるんです。

まず、今回の企画の元となった古着、通称66前期モデルです。

66前期モデルについて

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66前期モデルの特徴 バックポケット裏のシングルステッチ。赤タグには文字はなくブランクタグです。

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トップボタン裏にの数字 製造工場毎に番号が違いはテキサス州エルパソ工場

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内タグの裏に数字、ほとんど消えかかっていますが一番下に6 5 6と表記があります。 この部分が製造年月日、製造工場を表しており、1975年6月、6番工場で製造という意味になります。

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内タグ表には8%の文字、これは生地の収縮率です。後に続くモデルは10%に変更になっています。

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セルヴィッチのアカ耳が色褪せて、ほとんど見えなくなっています。写真では分かりませんが角度によって薄っすらピンクが残って見えます。

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ここまではターゲットにした66モデルの特徴です。1972年~1978年ほどに製造された501の俗称です。66モデルの中でも、稀にロットによっては経糸のムラ形状が激しくて、タテ落ちの目立つものがあるようなのですが、この古着のように比較的大人しいナチュラルな色落ち感のもののほうが多い印象です。

今回はこの66モデルを分析して、インディゴ染色の色、糸のムラ形状、番手(糸の太さ)、打ち込み本数(1インチ間に何本の糸が入るか)を決定しました。

下記、画像が新作 JB973-03 13oz COTTON USAセルヴィッチデニムです。

JB973-03について

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はい、写真だと至って普通のジーンズですね。

品番の後ろにつく、-03は整理加工の加工内容を表しています。防縮(縮み防止)+スキュー(捻じれ防止)+弱毛焼きです。リジットの状態ではパリッとした生機のような風合いを求めているので糊残し仕上げ。さらにこの品番はカリっとしたドライな風合いを出すために経糸、緯糸ともに強撚しています。通常より糸の撚り回数を増やすことで糸に硬さや張り感を出しています。

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リジットなので古着と比べても比較しづらいのですが、インディゴの色も当時はこうだったのではという予想をし、ピュアインディゴのロープ染色で表現しています。

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もちろん旧式の力織機で製織したセルヴィッチつきです。写真では分かりづらいですが、ピンクの糸が真ん中に1本入っています。

製織工場は今年、児島駅前に移設した弊社の児島製織所です。豊田自動織機製のG型自動織機「GL9」で織っています。

https://www.japanblue.co.jp/news/detail/624

COTTON USA™について

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そして、ここからがこの新作の一番の特徴になる原料についてです。このデニム生地にはアメリカ産のコットンを100%使用したCOTTONUSA™という原料を使用しています。

写真のコットンマークを店頭で見たことがある方もいると思います。表紙には「サスティナブルなアメリカ綿、品質が実感できる素材」とあります。経済・環境・社会的責任を考慮したうえで、アメリカの肥沃な大地と最新技術を駆使した近代農法によって、環境負荷を削減しながらも高品質なコットンを安定的に供給することを可能にしています。

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上の画像はCOTTON USAのホームページから引用させてもらっています。

1981年~2015年の35年間の環境削減

・土地利用効率 31%削減

・土壌侵食 44%削減

・水使用 82%削減

・エネルギー使用 38%削減

・温室効果ガス排出 30%削減

業界全体で積極的な改善を常に継続しており、2025年までにさらに高いレベルを目指した改善目標を設定しています。

出典元:cottonusa.org_ja_

品質管理とトレーサビリティ「追跡可能性」も徹底しており、農務省が綿俵1俵ごとにすべて検品し繊維特性を記録。生産地域をトレース「原料の移動を把握」することができます。

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オーガニックやリサイクルとはまた違った側面からのサスティナブルへのアプローチに魅力を感じ、今後はJB973-03以外にも、COTTONUSAを積極的に取り入れた新商品を企画開発していこうと思い、弊社もサプライヤーとして登録しています。

本当はまだ書きたいこともありますが、長くなったので今日はこの辺で。




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