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モルディブ・リッツ滞在記4【シティホテル】

▽思わぬ連携

モルディブのリッツでは本来、到着便に合わせてプライベートボートが用意される。

ただ前述の通り、僕たちは到着時間が遅かったのでマレのシティホテルで前泊した。

宿泊先はBooking.comで見つけた"Amina Residency"。リッツの系列でもなんでもない宿だが、驚いたことに、事前に連絡を取り合ってくれていた。

「朝8時半に空港に行けますか。プライベートボートはその後に出発しますから」

マレ国際空港に着いた夜、チェックインをする僕たちにフロントが確認してくれた。

たしかに電話1本の簡単な連携かもしれない。国を挙げて観光に力を入れるモルディブでは、当たり前の対応なのかもしれない。

でも、あの瞬間、僕たちは「あぁ歓迎されているな」と感じた。初めての国に到着した緊張もほどけ、リゾートに来たんだという実感が湧いた最初の瞬間だったと思う。

▽シティホテル

せっかく気持ちよく泊めてくれたので、Amina Residencyにも触れたい。

価格は1泊1万5000円程度。相場がわかりにくかったが、念のため部屋は一段アップグレードした。

とりたてて「綺麗」というほどではないが、清潔感は十分。もっとも、シャワーを浴びて眠るだけなので、ベッドと水回りさえしっかりしていれば構わなかった。

蚊が何匹か飛んでいたのは、妻が新聞ですべて叩き落としてくれた。塩を撒くように虫除けスプレーをあちこちに噴射し、「これで完璧」とばかりに眠りについた。

ここまでは想定通りの手堅い経過。嬉しかったのは、宿泊プランについていた朝食だった。

朝食会場は最上階。たしか11階だったと思う。朝早く空港に向かう僕らのために、通常のオープン時間より早めに開けてくれた。

気持ちのいい朝だった。窓からはモルディブの街が一望できる。背の低い建物がところせましと並ぶ向こう側に、海がきらきら輝いていた。

運ばれてきたのは、チョコレートソースのかかったパンケーキとマフィン。

普通が一番美味しい

「特に美味しいものはないよ」という昨日のタクシー運転手の言葉を反芻しながら食べる。

が、機内食以外の久しぶりの食事だったこともあり、頬が落ちるほど美味しく感じた。

そもそも美味しくないパンケーキやマフィンなど滅多にお目にかからないわけだけれど……。こうした「当たり前」にいちいち感謝できるのが、海外旅行の醍醐味かもしれない。

▽空港へ

バイクが並ぶ向こう側が海で、舟が多数係留されている

さて、昨晩に宵闇の中で通過した橋をもういちど渡り、空港へ。マレは朝からにぎやかだった。原付バイクの数が尋常じゃない。

空港と首都を結ぶ大きな橋の入り口。橋と街の様子はヘッダー写真に

雑然とした街と、洋々とした海が隣り合わせになっている。車窓の景色を夢中で眺めていると、すぐに空港に着いた。

空港のカウンターでは、リッツのスタッフらしきお姉さんが「お待ちしてました」と迎えてくれた。ほかの便で来た客と一緒に、ボートに乗る手はずだという。

近くのカフェでジュースを飲んでしばらく待つと、果たして呼び出してくれた。

「お代は?」とお姉さんに聞くと、「待ってもらったので、大丈夫」とのこと。単に「いらないです」と言われるよりも少し嬉しい。洒落ていると思う。

空港のすぐそばには、海を背に「Maldives」という文字が掲げられた看板がある。夫婦でお姉さんにお願いし、写真を撮ってもらった。

台座には”World’s Leading Destination 2020, 2021 &2022”とある。「世界がうらやむ観光地」ということか。

記念写真スポット。海が美しい

さて、リゾートに行く。

誰しも胸の高鳴る経験だ。ましてリッツ・カールトンであれば、宿泊客の胸の「高鳴らせ方」まで、熟知しているはず。

マレに着いた時点で、僕らの仕事は終わったようなもの。あとはおもてなしのプロフェッショナルたちに身を委ね、ただただ怠惰と贅の限りを尽くすのみーー。

お姉さんに先導され、僕たちはプライベートボートの方へと歩き出した。

(続き)

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