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【先行案内】『OFF GRID LIFE 』#04|フォスター・ハンティントンさんのツリーハウス暮らし

2020年2月2日(火)にフォスター・ハンティントンさんの最新刊『OFF GRID LIFE 自然とつながる、住みかをつくる』を発売いたします。



「オフグリッド」とは、文字通り「グリッドをオフにする=電力会社から電気を受給しない」状態のこと。
つまり「ライフラインを自給自足する」ということ。

しかし、それはエネルギーの話だけではなく、自分にとっての豊かさや感性、身体で覚える生活の術、社会との距離感、そういった自分にとって必要なものと不必要なものを知っていることなのではないかと思うのです。

『OFF GRID LIFE 自然とつながる、住みかをつくる』ではそんな「自分の“家”を自分でつくった」12人のお話と、とっておきの“住みか99軒を収録。
このnoteではお話の一部をご紹介していきます。


*前回の予告にあった「アースシップ」暮らしは回を改めてお届けします。


CHAPTER 5:TREEHOUSES
ワシントン州の山奥に建つツリーハウスたち/フォスター・ハンティントン


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Photo by Foster Huntington


僕は「なぜツリーハウス?」という質問に、何百回と答えてきた。そう聞かれるたびに、僕の困惑は深まる。聞くまでもないことだと思っているからだ。聞く必要があるのなら、とうてい理解できないだろう。僕は、人生に対する畏怖の念や高揚感を抱かせてくれる環境に身を置くことが重要だと思っている。僕のツリーハウスは、自分たちの手で何が実現できるのか、そして、友人や家族とツリーハウスを作り上げることがどれほど素晴らしい体験なのかを思い出させてくれる。

僕と友人のタッカーにとって、ツリーハウス作りは子どもの頃からの夢だった。幼い頃、僕らはお互い、自分の手でツリーハウスを建てていた。2人とも家族が建築関係だったので、現場から資材をせしめてきては、小さなツリーハウスやプラットフォームを作っていた。大学時代、僕とタッカーはルームメイトだった。僕らは映画『スイスファミリーロビンソン』に登場するツリーハウスについて熱く語り合ったり、駐車場の隅に寄せられた雪で砦を作ったりした。そしてついに、夢を叶える機会がやってきた。

このプロジェクトより前に、タッカーは建築や木工の仕事をしていて、ベイエリアで高級住宅を手掛けたりもしていたが、今回のようなプロジェクトに携わるのは初めてだった。僕は大工に囲まれて育ち、家具を作ったり、両親が家を建てるのを手伝ったりはしてきたが、このプロジェクトはまったく手に余るものだった。あふれる情熱と無邪気な心を胸に、26歳の2人は無謀ながらも足を踏み出した。

土台作りには、ツリーハウスの先駆者として有名なマイケル・ガルニエの力を借りた。オレゴン州南部にある、世界一大きいとも言われるツリーハウスで生活するマイケルは、Out'n'Aboutという名の「ツリーゾート」を経営し、ツリーハウスビルダーを世界中に派遣するとともに、木を傷つけずに大きな建築物を作るのに欠かせない固定金具を提供するビジネスを行っている。ガルニエ・リムと呼ばれるその金具は、大きなラグスクリューのような形をしていて、木に埋め込んで固定装置にする。時間とともに、そのニッケルめっきをしたステンレス製のスクリューの周囲の木は、節や枝の周囲の木と同じように成長し、木を傷めることなく非常に強力な固定具となる。

土台が完成し、橋が大まかにできあがると、僕とタッカーはメイン州からカリフォルニア州まで、友人や知人にツリーハウス作りを手伝いに来ないかと声をかけまくった。クレイグスリストや地元の廃材置き場で、建築に使う木材を探し回った。

数人を除けば、建築のプロなどいなかった。僕らはもっと、現代のカウボーイの寄せ集めみたいなものだった。建設現場で暮らすメンバーは常に入れ替わり立ち替わりし、車や古びたテントで眠り、キャンプファイヤーやマリファナの煙を漂わせ、安いビールでエネルギーを補給した。……(続く


ツリーハウス制作過程の記録映像
The Cinder Cone/Directed by Foster Huntington、Edited by Jess Gibson



世界の「ツリーハウス暮らし」

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Photo by Hunter Bancroft/Mary Crossfield Ray of Sunshine Treehouse/オレゴン州・ローズバーグ


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Photo by Isaac Johnston/River Treehouse/モンタナ州・ビッグフォーク


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次回は「タイニーハウス」に暮らす人のお話です。
お楽しみに!



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