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【先行案内】『OFF GRID LIFE 』#03|スティーブン&ハンナ・ネレオさんのユルト暮らし


2020年2月2日(火)にフォスター・ハンティントンさんの最新刊OFF GRID LIFE 自然とつながる、住みかをつくる』を発売いたします。



「オフグリッド」とは、文字通り「グリッドをオフにする=電力会社から電気を受給しない」状態のこと。
つまり「ライフラインを自給自足する」ということ。

しかし、それはエネルギーの話だけではなく、自分にとっての豊かさや感性、身体で覚える生活の術、社会との距離感、そういった自分にとって必要なものと不必要なものを知っていることなのではないかと思うのです。

『OFF GRID LIFE 自然とつながる、住みかをつくる』ではそんな「自分の“家”を自分でつくった」12人のお話と、とっておきの“住みか99軒を収録。

このnoteではお話の一部をご紹介していきます。



CHAPTER 2:YURTS, TENTS, AND HUTS
ロッキー山脈の標高9000フィートに建つユルトでのオフグリッドライフ/スティーブン&ハンナ・ネレオ

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【ユルトとは】
モンゴルの「ゲル」や中国の「パオ」とほとんど同じ構造をもつテント型の移動式住居のこと。矢来(やらい)組を円筒形に立て並べた外壁の上に棒を放射状に並べたドーム型の屋根をのせ、全体をフェルトで覆ったもの

僕らは3年半前、ロサンゼルスからコロラド州へ引っ越した。僕らの所有地は標高9100フィートの場所にある。元々はキャビンか家を建てるつもりで購入した。最初の夏はヴァンを置いて暮らし、この土地の雰囲気をつかんだ。家を建てるということは、建築家や施工業者、図面や許可証を相手にすることだと気付いた。ユルトなら、それらはすべて不要だ。すぐにでも取りかかることができるものだった。

ユルトについてさらに詳しく調べると、主に2社が製作していることがわかった。パシフィック・ユルトという会社は太平洋岸北西部を拠点としていたが、もう1社のコロラド・ユルト・カンパニーは僕らの所有地から1時間もかからない場所にあった。それが運命のように感じられた。また、この辺りにはユルトに住んでいる人が大勢いるから、コロラドの気候によく馴染むこともわかったし、詳しい知識やよい知恵を授けてもらえるだろうと思えた。

さらに、もう1つユルトのいいところは、自分たちの建てているものが、隅々まで理解できるところだ。デザインは画一的で、手順や材料も決まりきっている。キャビンであれば、どんな材料でも使えるし、どんな形にもできる。ただ、都会から出てきたばかりで、初めての建築プロジェクトに取り組む僕らにとっては、荷が重いものとなっていただろう。

建築する場所を決めると、プロに頼んですぐにデッキを作ってもらい、ユルトは自分たちで組み立てた。床を張り終えると、残りは2日で建てられたので、雨に煩わされることもなかった。手元にあったのは、マニュアルと工具と材料だけだった。右も左もわからないまま作業した。本当に大変だと―不可能だとさえ―思ったときもあったし、完全に混乱して、半狂乱になったこともある。それでも最後にはやり遂げた。すぐには信じられなかったけれど、しばらくして、ものすごい達成感がやってきた。

(中略)

自分が暮らす建物の建築に自分も携わると、そのプロジェクトにも、完成した建物にも、より一層親しみがわく。そもそもなぜ都会を離れた場所にいるのかという理由を思い出せる。日々の生活の機能的な側面に触れ、自分でも実際に物を作ったり、修理したりできることがわかり、その過程に楽しさを見出す。さらに……(続く


世界の“ユルト、テント暮らし”

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Photo by Michael Becker/The Diamond Ridge Yurt /アラスカ州・ホーマー


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Photo by Andrew-Tomayko & Sora-Blu/Loomis Bell /ワシントン州・ルーミス湖


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Photo by Ann-Tyler & Brian Konradi/Yurtopia Wimberley /テキサス州・ウィンバリー


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次回は「アースシップ」に暮らす人のお話です。
お楽しみに!



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