見出し画像

【先行案内】『OFF GRID LIFE 』#02|フリッツ・ヘイグさんの小屋暮らし


2020年2月2日(火)にフォスター・ハンティントンさんの最新刊『OFF GRID LIFE 自然とつながる、住みかをつくる』を発売いたします。



「オフグリッド」とは、文字通り「グリッドをオフにする=電力会社から電気を受給しない」状態のこと。
つまり「ライフラインを自給自足する」ということ。

しかし、それはエネルギーの話だけではなく、自分にとっての豊かさや感性、身体で覚える生活の術、社会との距離感、そういった自分にとって必要なものと不必要なものを知っていることなのではないかと思うのです。

『OFF GRID LIFE 自然とつながる、住みかをつくる』ではそんな「自分の“家”を自分でつくった」12人のお話と、とっておきの“住みか99軒を収録。

このnoteではお話の一部をご紹介していきます。



CHAPTER 1:CABINS
往年のコミューンを再生/フリッツ・ヘイグ

画像1

Photo by Foster Huntington/カリフォルニア州、メンドシーノカウンティ


僕の芸術家としての人生は、章立てで進んでいる。長い間ロサンゼルスで暮らし、コミュニティプロジェクトや地元のアートシーンに深く携わった。2005年頃、旅に出たいという衝動に駆られた。それから10年間、世界中の様々な都市を巡り、依頼を受けて作品を制作した。けれど、元々いつかは田舎に住んで、もっと地に足をつけた生活がしたいと思っていた。

2006年には、友人と共同で「Plan B」というプロジェクトを手掛けた。世界中のインテンショナル・コミュニティ(意図的に作られた共同体)について膨大な調査を行い、大陸ごとに1つ、全部で5つのファイルに資料をまとめた。その資料を使い、マサチューセッツ現代美術館(MASS MoCA)で、失敗に終わったユートピアのプロジェクトについて探究するインスタレーションを制作した。つまり、僕はそのくらい早い時点から、共同体での暮らしというものに深く興味を抱き、たくさんの時間をかけて思いを巡らせてきた。だが、そのときはまだ、僕の人生にそれを実践するだけのゆとりはなかった。いろいろなことが起きていく中で、心に芽生えたアイデアの1つに過ぎなかった。

それからはずっと、その夢を温めながら過ごしてきた。残りの人生は田舎に定住し、文字通りにも比喩的にも、根を下ろすことのできる場所で、生涯をかけて育てていける樹木などを植えて、大地とつながっていたい―そんな具体的な考えを持っていた。残りの人生をかけた次のプロジェクトのために、すべての労力や時間を注ぎ込めるだけの、完璧な土地が必要だった。僕が求めていたのは、未開の土地ではなかった。過去の建築物が残っているような、農地付きの家屋や古い農場などを探していた。そして、もっとすごいものが見つかった。

サーモン・クリーク・ファームは、ソノマ州立大学教授のロバート・グリーンウェイと彼のパートナーであるリヴァーによって1971年に設立された。彼らは7人の子どもを持つ混合家族で、そのうち6人は男の子だった。子どもたちには、サーモン、ハックルベリー、ホーク、レインボーなど、驚くような共同体用の名前が付けられていた。グリーンウェイの当初の計画は学校を開くというものだったが、当時カリフォルニアではあちこちに共同体が作られていて、それらとよく似たインテンショナル・コミュニティを設立する方向へ考えが発展した。集団としてのまとまりを保つため、非常に秩序立った仕組みができていた。全員が土地の一部を所有し、コミュニティ内の問題に対する投票権を持っていた。集団内での労働や家事がきちんと分配されていた。憲章を定め、自分たちが作り上げる社会について、明確なビジョンを持っていた。さらに、カウンターカルチャーとも深い関わりがあった。ペヨーテの儀式や、夏至や冬至の儀式を執り行った。自分たちで食べ物を育てた。現地で集めた廃材を使い、自分たちの手でキャビンを建てた。

(後略)



世界の“小屋暮らし”


画像2

Photo by Jay-Nelson_s/ハワイ


画像3

Photo by Sacha Roy/カナダ


画像4

Photo by Samuel Glazebrook


ー・ー・ー・ー


次回は「ユルト」に暮らす人のお話です。
お楽しみに!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?