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#小説
2022/01/27
楽しみにとっておいた塩辛がいつの間にか10日も賞味期限を過ぎていた。あんあに塩分に漬けられていても時間の流れで味が落ちてしまっている。暖房のない場所は耐えられない私のような曖昧な生きものはきっと塩辛を超える速さで味が落ちているはず。自分の肉がおいしいのかどうかはみんな考えたことがあるでしょう?おいしい自分をデザインしてみるってのは、好きな本ばかり読んで思考を編集する作業におそらく似ている。
2021/10/20
もうコインランドリーで洗濯が終わるのを待つのは寒いし、寒いのにコインランドリーに通っていたら逆説的にコインランドリーが好きになってしまうかもしれない。
ウサギは特になんでも良かったから、なんでもいいと答えたら、そのまま雪にされて文句を言う口もなく溶けてしまったらしい。
2021/01/17②
“突出”、“湾曲”、“萎縮”……特徴はどれも救いようのないものばかりだった。そしてその救いようのない記述に囲まれたイラストの男子は、とても素直な表情をしていた。絶望したり卑屈になったりせず、唇をしっかり結び、穏やかに遠くの一点を見つめている。哀しいくらいけなげな表情だった。/小川洋子「雨上がり」『シュガータイム』
悲観していない表情はときによりその人を絶望の真っ只中に見せると思います。自己憐憫も
2021/01/16
航平はそんな残酷な視線を、ゆっくりまばたきをしながら真綿のように吸い取ってゆく。そんな時、航平の瞳がほんの一瞬薄い水色に染まることを知っているのは、たぶんわたしだけだろう。/小川洋子「野球場」『シュガータイム』中公文庫
小説の読み方が変わった気がします。以前は言葉から浮かぶ印象やイメージを頭の中で映像に組み立てるように読んでいましたが、今は独立した言葉の並びや組み立てにも目が向いてしまいます。(