マガジンのカバー画像

日記

92
運営しているクリエイター

記事一覧

2024/04/06

※虫の話です。苦手な方はお気をつけて

頭部のない蠅を初めて見ました。顔の掃除に力を込めすぎるあまり自ら頭を取り外してしまうことがあるのは知っていたのですが、彼ないし彼女もそうだったのでしょうか。頭部と左前脚が欠損していました。そして、頭部を失うとバランスが取れなくなり飛べなくなるのですね。眼もない身体でどこへ向かうかも分からないまま、飛ぼうとして首の断面をぶーんとテーブルへ押し付けていました。何

もっとみる

2024/03/13

悲しいのではなくて、悲しみを感じている自分がいるだけ、という言葉が映画について友達と話している中で出てきて印象に残りました。池袋の中華居酒屋。思い上がりのために料理が好きじゃない人が作った料理は分かるという思い込みが気管支のかゆみ。おいしいのではなくて、おいしいと感じた自分がいるだけ。自分を切り離して考えるという行為は一瞬過去の自分を見つめ続けることだから、夢のようにその時々の輪郭はくっきりしてい

もっとみる

2024/03/11

両端に羽根をつけたままの、多分構造の関係で噛みづらくて食べ残されたんじゃないかなという感じの付け根の骨で繋がったままの鳥の翼の残骸が、ところどころに赤白の入り混じった肉片を貼り付けながら道端に落ちていて、少しだけ、ほんの15秒ほど見入ってから会社に行きました。あれは食べられた死骸なの、というか、死骸の食べ残しなのだ、と反芻しながら。私の死後にはそれは起こらない可能性が高いのです。私は身体を食べ切ら

もっとみる

2024/02/10

端正だけどまるでこの世界のものじゃないようなよそよそしさを持ち合わせているという点で笹原玉子の短歌は岡上淑子のコラージュと似ている気がする。

2024/02/04

身体の中を空洞にして風に倒れてがしゃんと割れるのは本当に気持ちがいいと思う。

2024/01/11

違和感というものは総体でやってくる。

2023/09/23

でも、一瞬なら。
一緒になら強くなれる。
一瞬なら賢くなれる。
一瞬なら悟れる。
一瞬なら、水面を破ることさえも。
自分からさえ跳ね上がることができる。
そして私達は、それを思い出にする。

/雪雪「水の下からの眺め」(抜粋)『八本脚の蝶』(二階堂奥歯、河出文庫、2020年)

『八本脚の蝶』をちまちま再読していたら、ちょうど日付が21年前の今日を跨いでいて、著者の二階堂奥歯さんの年齢が今の私と同

もっとみる

2023/09/21

藁の人形のようなギチギチに編まれた糸の束でできた身体。火星に置き忘れられた便座の蓋。天井から垂れる糸にぶら下がる小さな1本脚の欠けた雲。穴の部分が本体で、それ以外の部分には名称のないリコーダー。エレベーターまでが遠いショッピングモール。磨かれるたびに嬉しそうに歪んでいく銀食器。

2023/09/20

適性検査で多分満点が取れたんじゃないだろうか。スマートに転職活動を行えれば手にする必要のなかった能力がついてしまっている。転職活動が苦手なばかりに転職活動について詳しくなっていく。接客もしてたし人材系の仕事もできる気がする。探せば、こういう筋書きの落語があるんじゃないかと思う。

2023/09/17

昨日から音声入力で日記を書いています。いちど声で入力したものに手を加えて若干修正をして文章にする。意外と入力が速いように思えるけれど、頭の中で文章組み立てながらしなければならないし、また書き言葉になるように話し言葉を組み変えなければならないから気を使う場面が多いように思います。そして無駄な文が増えます。添削をしたら一文で済みそうなところを、私は三行ほど使って話しているのが実際のところ。そのうち書く

もっとみる

2023/09/16

左手は何も感じてないのに吸ってたタバコの煙が右に流れていって、皮膚感覚では分からないくらいの微細な風が流れているのが分かった。私は大げさだからこういうことがあるだけで、まだ見つけていないものがいくらでもあるように思い、何となく力が湧いてくるような気がする。そして実際食器を洗い、もう寝ようかと思っていたにも関わらず夕飯を作る。

2023/09/03

院生の弟&大学生の妹と濃くて美味しいラーメンを食べ、彼らと浪人生の妹&高校三年生の弟の進路相談を一時間半ほど行い、友達がダーツの大会を終えるのを待つ間にパチンコ店の喫煙所で会社への改善提案を作成し終え、浪人生の奨学金の申込み方法を調べ、私は親になって得られる喜びを先取りしていた。
押し付けがましいことこの上ないのだけれど、これは記録だから、と自分を納得させる。

2023/09/02②

私のさまざまな思いわずらい、考えまでも消えていた。私はとらわれていなかった。私は自分のみじめさを追求していなかった。池は広々としていた。写真を撮った。何かをするのも、じっとしているのも、またお喋りするのも楽しかった。一本足の蛙の子がむらがっていた。いもりがちょいちょい水面から口を出していた。水面の小波、岩の反映が美しかった。目新しく驚きだった。
 そして私は私のみじめさ、私の欠点、私の不満や醜さか

もっとみる