2023/09/23

でも、一瞬なら。
一緒になら強くなれる。
一瞬なら賢くなれる。
一瞬なら悟れる。
一瞬なら、水面を破ることさえも。
自分からさえ跳ね上がることができる。
そして私達は、それを思い出にする。

/雪雪「水の下からの眺め」(抜粋)『八本脚の蝶』(二階堂奥歯、河出文庫、2020年)

『八本脚の蝶』をちまちま再読していたら、ちょうど日付が21年前の今日を跨いでいて、著者の二階堂奥歯さんの年齢が今の私と同じ25歳で、だから何だと言うわけではないのだけれど同い年でこれだけ本を読んでいる方の書く言葉をもっと読んでみたかったと思う。時間が取れそうだったので買ったまま放置していた『氷の海のガレオン』の「天上の大陸」と「薬草使い」を読みました。世界をほんとうのものとして在らしめるために自分自身を決して偽らないでいるというのは、引き摺った点滴チューブから絶えず体液が流れ出ているようなものではないでしょうか。しかも点滴を終える度に身体の中身を抜くチューブが増えているのです。

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