2023/04/21

距離なのかもしれない、と小説が好きな理由を父か6歳下の妹かどちらかに話している時に思いました。作者が作り出した世界を視線の両脚で奥まで、遠いところまで歩み、読み終えて帰ってくる時の、昂奮が落ち着いてくるのに合わせて測られる距離。人や場合によっては浮かび上がってくる際に初めてはっきりと知覚される深度と言った方が適切かもしれません。冷静になって出発地点を振り返った際に、それがどのくらい小さく見えるかを私は気にして(楽しみにして?)しまっています。そこからもう一度振り返り、道の消えた先の《砂丘/森の奥/崖の向こう/海溝の涯/ある空気の層のさらに上》に進む勇気は、まだ、ない。

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