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アジアカップ2023の対戦相手概観

ベトナム

参考:AAFカップ公式韓国戦

ポット3で、チャナティップやティーラトンのいるタイに気持ち優勢の互角、ミャンマーより明確に強くシリアに近い。E-1向けの急造Jリーグ選抜では攻めあぐねて4勝4分2敗程度に落ち着くのではないかと思われる。前回アジアカップ以降3回対戦しており、守りに徹したときの硬さが印象的だっただろう。今は監督が代わってトルシエになっているが、基礎はできているが不測の事態に弱い守備や、ショートパスと切り込むスピードで勝負する攻撃は、なんとなるトルシエジャパンを思い出させる。

主力CB全員が180 cm等、割と明白な弱点も抱えており、このチームに最近の大量点で勝利できるかが最近の攻撃力強化が実ったかどうかの一つの試金石と言える。相手の空中戦の弱さを狙い、とりあえず上田に当ててヘッドorポストから2列目が拾ってシュートを狙うのがやりやすいか。

予想スタメン

イラク

参考:予選の公式動画 イラン戦 韓国戦 UAE戦

ちゃんと守備組織を作ってまっとうに戦ってくるチーム。直近のガルフカップで優勝していたりと調子もよい。ただしちゃんとした守備組織を崩せるほどの印象的な攻撃力もない。W杯前のしょっぱい第一期森保政権で予選で当たってしまったら1勝1敗くらいになったはずである。E-1急造Jリーグ選抜では3勝5分2敗程度の相手。このチーム相手に3点差つけて勝てるなら第二期森保政権は本物と言えるのではないかと思う。

格上側がイラクを攻略する場合は、守備組織をまるごとぶっ飛ばす方法、つまりハーフスペース間で大外ファーに振ったり、CBとGKの間にちょうど落ちるクロスか、守備組織が整う前のカウンターが有効打になっている。一方で愚直に中央を地上から攻略しようとすると頓死するだろう。CFはむしろ偽9番として使うほうが良いかもしれない。また押し込まれると若干ウォッチャー気味になるので、ダイアゴナルランとそれに合わせたアーリークロスも有効である。

予想スタメン

インドネシア

参考:AAFカップ公式

インドネシアルーツで欧州生まれの選手を帰化させて強化しており、最近の戦績はベトナムやタイに肉薄しつつある。FIFAランキング以上の強さだろう。とはいえ、欧州1部でレギュラーの座を掴んでいるのは、ベルギーはメヘレンのサンディ・ウォルシュくらいで、特に攻撃力は貧弱である。元日マッチで攻めあぐねた前半のタイくらいの力はありE-1急造Jリーグ選抜では6勝3分1敗程度の相手だろう。

3戦目であり、勝たなければ敗退という状況になって前に出て来てくれるなら楽。プレス耐性が低いのでショートカウンター中心で攻め落とせるだろう。ゴール前にバスを止めて動かないと厄介で、その場合はセットプレーが一番得点率が高そうである。

予想スタメン

サウジアラビア

前回予選で戦っているので良く知った相手でもあるし、状況的にはイラクと似ていて守備組織もビルドアップも基礎を身に着けたが、個人の能力があまり高くないため応用がいまいち伸びていないタイプのチームであるように思う。組織は強く日本自身も1敗したしアルゼンチンも初戦に金星を献上したように舐めたら確実に負ける相手。ただしそれ以降勝てずに自信を失っていた。E-1用急造国内組では2勝5分3敗くらいではないかと思う。

日本自身の経験でも、他国との対戦でもそうだが、システム自体は堅く保守的に維持したうえで、個人技のレベル差で攻め落とすのが安全な攻略法になるように思われる。完全に崩し切るのを目標にせず、間受けや大外受けさせてCBに対してデュエル勝負を挑んでも、今の日本選手層なら点が取れるだろう。

オーストラリア

ご存じの通り、ケーヒル時代は日本の天敵だったが、AFC転籍以降は完全に日本のお得意様で6勝3分0敗の戦績である。W杯は2大会連続で大陸間PO周りだが、2大会とも本大会出場、実は2022大会が過去最高成績でケーヒルにボコボコにやられたドイツ大会より上である。

普通に強いのだがフルのA代表にとっては相性がいい相手になっており、テレビ桟敷から茶の間監督ぶったりする必要はなく、今回の攻撃力が上がった1軍が出ればまあ勝ちは期待していいだろう。E-1用急造代表でも3勝3分4敗くらいではないかと思われる。

イラン

参考:予選の公式動画 イラク戦 レバノン戦 UAE戦 ウズベク戦

アズムンとタレミが動きなおしを繰り返し、後ろの選手は常にそれを見ていて縦一発をつけるのが基本。自陣からではキックアンドラッシュに、敵陣ではアーリークロス一発で仕留めるやり方になる。崩しをしない分陣形が崩れず、守備も堅い。一時期ACLで一番苦手だったタイプの相手で、E-1用急造国内組では1勝4分5敗が精いっぱいだろう。

反面、崩しての得点が少なく、プレスの応酬は余り得意としていない。また守備の硬さは帰陣の速さに依存する部分が大きく個人技はそれほどでもない。特に後ろ向きに走る守備は苦手で、クロス対応もそれほどよくない。全体的には2019とあまり変わっていない。

お得意の戦術に習練しておりアジア予選は無敗、ウェールズ相手に完勝できるが、一方でイングランドには全く及んでいない。ドリブルがやクロスが得意なサイドアタッカーはおそらく天敵に近い存在で、コンディションの良い三笘-久保-伊東を並べられれば優位に戦えるだろう。逆にイランに縦に強いサイドアタッカーさえいれば格段に怖くなる印象を持った。

予想スタメン

韓国

参考:サウジ戦 イラク戦 ベトナム戦

欧州でも有名なアタッカーを何人も抱え強力なチームだが、一方で戦績はアジア内でも波がある。隙あらばぶちこむというアタッカーが多く、それが災いして守るという意思を固めた隙の少ない相手の攻略に手間取っている印象である。最近はそれなりに点を取っているが、崩しきっての得点は1試合1点を割る。

そんな中で目立つのはイ・ガンインの高精度フィードを叩き込むセットプレーからの得点と、雑に打ったミドルで生じたディフレクションを確実に拾ってゴールするパターンである。その昔はイ・ドングクなど長身FWに雑に放り込んで得点できればよし、またはポストをセカンドストライカーが拾って叩き込むというパターンが良く見られたが、スキルセット的には同じで同工異曲というところだろう。またポステコグルーの指導を受けたソンフンミンが裏抜けがかなりうまくっており、古橋の完全上位互換みたいな選手になっているので、ラインを上げると苦戦するだろう。

セットプレーからの得点があるため意外と守りにくく、それにやられる危惧の大きいE-1用急造国内組では2勝4分4敗くらいではないかと思う。守備陣はいまだにロンドン世代が居座り(ヨングンやジンスが招集されている)両サイドバックでは一軍の座を占めている。日本で言えばW酒井と長友が現役みたいな話で、あからさまにここが弱点であり、縦につよいサイドアタッカーを配し、ファイナルサードでなければ怖くないヒチャンやガンインを後ろに釘付けにするのが良いだろう。



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