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アジアカップ2023の対戦相手概観

ベトナム参考:AAFカップ公式、韓国戦 ポット3で、チャナティップやティーラトンのいるタイに気持ち優勢の互角、ミャンマーより明確に強くシリアに近い。E-1向けの急造Jリーグ選抜では攻めあぐねて4勝4分2敗程度に落ち着くのではないかと思われる。前回アジアカップ以降3回対戦しており、守りに徹したときの硬さが印象的だっただろう。今は監督が代わってトルシエになっているが、基礎はできているが不測の事態に弱い守備や、ショートパスと切り込むスピードで勝負する攻撃は、なんとなるトルシエジャ

    • アジアカップ2023の日本代表ローテーション予想

      今回のアジアカップ2023では、ケガ上がりの選手を異常に多く呼んでおり、最近の試合の傾向から言ってもローテーション制を敷くのではないかと見ている。今回のローテーションの仕方について予想する。 ▽GK前川、鈴木、野澤 代表経験の少ない選手ばかりが呼ばれている。もはやGKの違いで勝敗が分かれることがないという相当強気の判断であり、若い鈴木と野澤に経験を積ませるのが目的と見ていいだろう。おそらくローテーション制を敷き、鈴木4試合、前川と野澤で合わせて3試合程度ではないかと思われ

      • アジアカップ2023を予想する

        来るアジアカップ2023 (2024年開催)に向け、日本代表の成績を予想する。なお、この時点で参加する他国の試合はほとんど見ていないので相性などについては全く考慮していない。 予想:日本の優勝身も蓋もないが日本の優勝を予想する。トーナメント一発勝負は時の運とは言え、正直に言えば今回優勝しなかったらいつ優勝するのかというくらい今回は条件が整いすぎている。 分厚い選手層今回の日本代表はほぼ欧州組である。欧州以外は、実力で切符をつかんだ毎熊のほか、ベテランでカタール案内人の谷口

        • アジア2次予選の治安が危険な国が固まった組

          次回ワールドカップの2次予選が始まるが、アジアの治安は現在一部地域で急激に悪化しており、特にいくつかの組は失敗国家を固めたような組になっている。今回はグループBとIについて、脆弱国家ランキング(旧失敗国家ランキング)や外務省危険情報を合わせて情勢をまとめる。 グループB🇸🇾 シリア 脆弱国家ランキング5位(警報・高) 外務省危険情報:全土レベル4(退避勧告) 内戦継続中。政府軍側にロシアがいる。さらにハマス問題に絡んでイスラエルから牽制を受け空港が爆撃されており、まず

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          Jリーグと欧州の「ステップアップ」の勘所

          欧州夏の移籍市場になり移籍話が騒がしいが、こと日本人の話となると「ステップアップに期待」といった話題がよく聞かれる。このことについて、中堅リーグのCL出場権持ちクラブから五大リーグの中堅クラブに移籍する場合は「ステップアップ」と呼べるのか?等々といった話題もよく聞かれるところである。 そこで今回は、footystats.orgなるサイトに載っているクラブ別平均年俸の数字を使って、年俸レベルでの「ステップアップ」関係を見ていく(リンクはページ最下部)。なお、このサイトの数字自

          Jリーグと欧州の「ステップアップ」の勘所

          チェルシーは補強するほど弱くなる

          チェルシーが金満大補強を重ねているにも関わらず勝ち点が伸びず、先日のウエストハム戦も合計200mを超える金額で補強したエンソとカイセドがやらかして敗北したことで煽られまくっている。 さて、そのウエストハム戦に出場した選手の 年齢[在籍歴] は以下の通りである。在籍歴は今シーズン開幕前までの延べである。 19[1]→22[½] 20[½]→20[1] 20[1] 22[0] 22[½] 23[1]→21[½] 25[0] 25[1] 26[3]→21[0] 28[1] 38

          チェルシーは補強するほど弱くなる

          なぜ鎌田はラツィオを選んだのか?出場機会最重要視の海外日本人サッカー選手事情

          鎌田選手がラツィオに移籍したことに関して、「フリーなんだからもっと有名クラブに行けたのでは?」と言われることがある。 有名クラブというだけであれば、バルセロナが鎌田に興味を示している、というのはよく言われていた。バルセロナは金欠が進んだ結果、元ビッグクラブのフリー選手をブランド力で毎年4名ずつ程度集めるような補強をしており、そこそこ実績があってフリーの鎌田はいかにもと見られていた。 が、鎌田の側がバルサをお断りしていたという記事も実は出ている。 鎌田側の条件としては、

          なぜ鎌田はラツィオを選んだのか?出場機会最重要視の海外日本人サッカー選手事情

          遠藤航の実力はCL級?Kicker誌の評価で見る

          遠藤航選手がリバプールに移籍するという話が出た後、リバプールファンの間から「残留争いチームでちょっと良い程度の選手では優勝・CL争いをするための補強にならない」という意見が出ている。それはそれで分かるのだが、一方で彼は皆さんが思っているより高い評価を受けているということもお知らせしたい。 Kicker誌の採点ブンデスリーガの選手の実力を評価するには、Kicker誌の採点が良く参照される。この採点は他のメディアのそれとは一線を画し、客観性を高めるための様々な工夫――例えばダブ

          遠藤航の実力はCL級?Kicker誌の評価で見る

          ACLの3部化のおさらい

          2024/25シーズンからAFCチャンピオンズリーグの形式が改組され、3部制になる。これについて、現在までに分かっていることを大まかに確認する。 1️⃣AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE) 参加クラブが東西各16→12に絞り込まれ、施行形式が大きく変わる。 2️⃣AFCチャンピオンズリーグ2(ACL2) 新設。東西の各々で1~10位クラブが約1チームずつ出す。施行形式は旧ACLほぼそのまま。 3️⃣AFCチャレンジリーグ(ACGL) 既存のAFCカップの後継(

          ACLの3部化のおさらい

          女子W杯スペイン日本戦について、欧州の新聞のコメント欄で補助線を引く

          スペイン代表監督の問題スペイン代表監督のホルヘ・ビルダだが、父親のアンヘル・ビルダの跡継ぎに近い形でU女子代表の監督に就任している。U代表監督時代にはそこそこの成果をあげ年間最優秀女子監督の候補にもなっているが、A代表の監督になってからは評判が悪く、レギュラー陣と控えの露骨な扱いの違いやトレーニング方針に対する不満から2022年に選手から造反されるなど、選手・ファンそれぞれから支持が低い。縁故人事という経緯や、自身が協会の技術委員(director técnico)を兼任し

          女子W杯スペイン日本戦について、欧州の新聞のコメント欄で補助線を引く

          今のレアルBはJ3程度の実力

          私は昔から数度ユース選手を持て囃しすぎるなという話を書いているが(プロ選手になるにはユース10世代分程度からの生き残り競争を勝ち抜かなければならない)、最近またレアルBに所属している(た)中井卓大選手について似たような話題が出てきているので、ちょっと書いておこうかと思う。 スペイン3部の実力レアルBが所属しているスペイン3部は、アマチュア扱いのリーグである。2020–21シーズンまではセグンダBとしてセミプロ扱いだったが、2021-22シーズンからPrimera Divis

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          プレミアリーグによるマンチェスターシティの違反行為の疑いの提起

          プレミアリーグは本日、マンチェスターシティのプレミアリーグ規則違反の疑いについて、リーグ内の調査委員会に付託した、と報じられた。その公式声明にはどの規則(Premier League Rules)に違反していたか、という条項のみ列挙されている。 具体的な嫌疑は私も分からないが、一応メモとして違反していたとされる規則の条文についてメモ書きをしていく。なお、プレミアリーグは2012/2013に規則の改定があり、同じ条文でも番号が大幅に付け変わっているため、2009/10シーズン

          プレミアリーグによるマンチェスターシティの違反行為の疑いの提起

          2010年過ぎにブンデス1部直移籍が多かったのは、代表キャップ持ちがゼロ円で移籍していたから

          2010年過ぎの数年間、Jから五大リーグ1部への直接移籍が多かったが、最近はオランダ、ベルギー、ポルトガル、スコットランドあたりを第一の移籍先にするのが通例になっている。この状況について「Jリーグのレベルが下がった」「Jリーグの評価が下がった」という意見を頻繁に目にするが、2012年に一度記事を書いたものの、いまだに聞くので、それは違うと改めて述べたい。 キャップ持ちがタダで獲り放題だった2010年ころ2010年ころのブンデス移籍組(+長友)の移籍金を含む移籍状況について、

          2010年過ぎにブンデス1部直移籍が多かったのは、代表キャップ持ちがゼロ円で移籍していたから

          Fact check: Is it true that Mitoma wrote a thesis on the art of dribbling?

          Some tweets and articles claiming that "Mitoma wrote his thesis on the art of dribbling" have been circulating. First, the story is true: according to the database of the Japan Association of Universities of Education, he submitted a thesi

          Fact check: Is it true that Mitoma wrote a thesis on the art of dribbling?

          FIFAランキングの歴代計算法とその限界

          FIFAランキングは不正確だのなんだのと言われやすいが、根本的に代表の試合数が少なすぎるためにどのような計算方式だろうが統計的に精度を上げられないという問題がある。W杯に出られないレベルの国は、大陸間で直接試合をすることがないので、本質的に比較不可能である。W杯に出るクラスの国でも、本戦では平均4試合程度しかしないので、運によるノイズを相殺しきれず精度が低い(2006年方式)か、精度を上げるにも収束に時間がかかりすぎ世代を跨いでしまう(2018年方式)という問題がある。本稿で

          FIFAランキングの歴代計算法とその限界

          日本ドイツ戦感想②俺たちが見たかった森保ジャパン

          森保体制は、長らく不評であった。その不評を大まかに分類すると、以下のようなものになるだろう。 【⇑ エンジョイ勢的不満】 ① 守備的過ぎて攻撃が弱く、勇敢さや積極性など観戦の楽しみがない ② 交替枠を余らせるなどベンチワークも消極的 ③ 選手を生かし切れているように見えない ④ この10年の常道である「配置で殴る」ができず負けている 【⇓ 強さを求める人の不満】 このほかにも田嶋体制に対する不信感やストーリーの不足なども指摘できるが、ここではそれは取り扱わず、純粋に「地上

          日本ドイツ戦感想②俺たちが見たかった森保ジャパン