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road movie

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その日どこに泊まるのか。翌日どこへ向かうのか。何も決めずに思いつくままに旅した頃がありました。スマホのない時代のことです。 その感覚を思い出してTWFFの蔵原実花子が写真と言葉で… もっと読む
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2021年6月の記事一覧

彼の瞳が語っていたこと  -エルサレム旧市街-

彼の瞳が語っていたこと -エルサレム旧市街-

ファインダーを通していなければ、その視線に耐えきれなかったろう
数秒ののちにシャッターを切って、その場を立ち去った
彼はそこに残る人で、わたしは立ち去る人だった
立ち去ることができる、人だった

2017年7月、初めてヨルダン川西岸地区を訪れた。
パレスチナを旅することに慣れた友人との、5日間ほどの滞在だった。

初日の朝。東エルサレムのバス停留所には、銃を持ったイスラエルの兵士と警察官が大勢いて

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73年前の記憶をたどって  〜7歳の私が出逢った「衛生兵」〜

73年前の記憶をたどって 〜7歳の私が出逢った「衛生兵」〜

「今まで身内にも詳しく話したことはなかったのよ。話せなかったの 」

バスを降りる時に、文子さん(仮名)はつぶやきました。この摩文仁に足を運ぶことも苦痛でありながら、昨年お姉さんが亡くなり、「自分もいつ最後になるかわからない」と意を決して、平和祈念公園行きのバスに乗ったということでした。

2018年6月23日、慰霊の日の朝のことです。

那覇の沖縄県庁から出発するシャトルバスは、平和の礎や戦没者

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