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“教育を数字で考える”ということ

 こんばんは。北海道の地方公務員・渡邉です。

 さて、今回は、“教育を数字で考える”ということについて、社会教育行政の業務を通じて考えていることを書いていきたいと思います。

 私がnoteを始めたきっかけについては、こちらの記事をご覧ください。

 このnoteは、“社会教育行政”という分野で働く公務員の私が、勤務時間外のプライベートな時間約128時間/週を使って、いろいろな角度から町を盛り上げたいと思い、普段の業務を通じて考えていることやアイデアなどを書きためるものです。あくまでも一個人の考え方であり、私が所属する組織の総意ではありません。

「教育は数字では単純に表せない!」という考え

 今年度、私が勤務する教育委員会と役場で、試行的に“事務事業評価”が導入されることになりました。

 事務事業評価とは、ざっくり言うと、行政が行っている事業について、実績や効果を客観的な基準にもとづいて評価し、コストやそこに投入されるリソースの再検討を行ったり、事業の廃止や別事業への転換(スクラップ&ビルド)を行ったりすることです。

 町の人・モノ・金などのリソースが減ってきている現状を鑑みれば、無駄を省き、力を入れるべきところを見極める、つまり“選択と集中”を行うことは良いことだと思います。しかし、一方で、殊、教育行政においては「本当に効果的なんだろうか?」とも思っていました。

 教育的な効果や成果を、事業の参加者数や、図書室の利用者数・貸出冊数といった“数字”だけで計ることに違和感があったのです。

 私たちは、学校での勉強以外にも、人生において、職場での研修、読書や映画、テレビ番組、スポーツ活動やレクリエーション、何気ない世間話など、様々な場面で“学び”を得ています(ちなみに、これを“生涯学習”と言います)。

 特に学校教育においては、学んだことがどれぐらい身についているのか客観的に判断するためにテストをし、点数化することがありますが、テレビ番組で見た内容がどれだけ身についたか、その人の人生をどれだけ豊かにしたかとテストされることもなければ、そもそも点数化できないと言っていいでしょう。

 だから、「教育の効果は数字には直接的に現れるものではない」と考えていました。

 今でもその考えは大きくは変わっていませんが、事務事業評価においては、そんなことを言ったところで、具体的な“ファクト”がないことには周りに納得してもらえません。今後も続けていきたい良い事業があっても、“スクラップ”の対象になってしまう可能性もあります。

 さて、どうしたものか。

理想を具現化するための「数字」

 そんなことを考えていた矢先に、たまたま別の業務で読み返していた私の町の社会教育中期計画に、びっくりするほど数字がないことに気が付きました。

 行政においては、各自治体の最上位の計画として、“総合計画”というものがありますが、社会教育においては、“社会教育中期計画”という、5年間にわたる計画があります。

 私のような考えからなのか、それともただ単に計画策定の仕方のせいなのかはわかりませんが、具体的なデータや数字が計画になかった。

 「これでは、せっかくいいことが書いてあっても、これを町民と共有しようと思ったとき、説得力に欠けるのでは?」と思うと同時に、 

 「たしかに教育の効果は数字に表せないとしても、やっぱり“コミュニケーションツール”としての数字は必要なのでは」と思ったのです。

 “Will”や“Want”(ああしたい、こうしたいという理想)を語り合うときには、具体的な数字は抜きにしてもいいと思います。

 ですが、その思いを形にするときには、具体的な数字やデータがあったほうが取り組みやすいですし、チームで取り組むのであれば、目指そうとする方向性やビジョン、課題の共有もしやすいのではと思います。

 さらに、数字を使うことで説得力が増せば、たとえば、賛同してくださる町民が増えてくれたり、やりたい事業に予算を付けられる可能性が上がったりするのではと思います。

“小さなdo”につなげるための“小さなdo”

 実は、先ほどの私の町の中期計画が、R4年度で現行の計画期間を終えることから、R5年度からの新たな計画をR4年度末までに策定する必要があります。

 そこで、“小さなdo”として、新たな中期計画は、より具体的な数字・データを使って説得力をもたせたい。

 これは単に“数値目標を掲げる”ということではなくて、現状を数値・データにもとづいて捉えなおして、「だからこういう目標に向かって進めたい」という道を示すためにやりたい。

 また、この計画を策定するにあたり、町民(主に社会教育委員さんなど)と膝を突き合わせて、町のこれからの教育について、具体的な数字をもって話をしたいとも思っています。

 もちろん、“机上の空論”にならないよう、困っている目の前の人や、「こんなことをしてみたい」という声を聞くのも大事にしたい。



 計画策定に入るまではまだ時間があるので、その前段として、さらに“小さなdo”ということで、目次とレビューの斜め読みだけでこんな本を買ってみました。

 役立つかはわかりませんが、“自分的入門書”として読んでみようと思っています。他におすすめの書籍があったらぜひ教えてください。

 今回もお読みいただきありがとうございました。では、また次回の記事で。

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