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で、2020年はどんな年だったんですか?【連載 久保みねヒャダこじらせブロス】

12月13日に開催されたこじらせオンラインライブ(ゲスト:ファーストサマーウイカ)の収録後のおしゃべりです。ライブではヒャダインさんとウイカさんが即興芝居を繰り広げたのですが、そこから久保さんが演劇部時代の話を語り始めて…。
構成/前田隆弘

なぜ久保は声が通るのか

──今日のライブ、ウイカさんとヒャダインさんでエチュード(即興劇)やってましたよね(*)。千葉(雄大)さんとはよくやってますけど、ウイカさんにとっては初めてだったから、プレッシャーもあったかもしれないですね。

*「かつて芸能人だったが今は引退しスナックをやっているファーストサマーウイカのところへ、一見の客としてヒャダインがやってくる」という設定。

ヒャダ いや、それがさっき木月さん(プロデューサー)に聞いたら、本人は「むしろ台本がないほうがいくらでも続けられる」と言ってたらしいですよ。

久保 エチュード、めっちゃ良かったよ。でもあの「1回芸能界を辞めてからスナックで働く」という設定を自分が出して良かったなと思った。演劇部の頃、やってたんだよね。「私たちが高校を卒業して20年後、再会したという設定でやってみよう」みたいなの。みんなそれぞれ「結婚したよねー」とか言ってるんだけど、私は「今、マンガ家やっててー」みたいなことを言ってて。

ヒャダ かなえてるじゃないですか!

──演劇部では演じるほうだったんですか?

久保 ただの演劇部だったから、脚本を書いたりはしてなかった。キャラメルボックスの『ナツヤスミ語辞典』みたいに、有名な台本を選んでやってたりして。演劇部マンガやドラマに出てくるような、強豪校では全然なかったんですよ。私はそこで部長をやってて。強豪ではなかったんだけど、そのときの「私が部長だからなんとかしなきゃ」「1回引いて見なきゃ」みたいな経験はどこかしら今に活きてると思う。

能町 センターとして。

久保 「人前に出る」ということに関しては、そこで鍛えられたのかもしれない。

ヒャダ だったら、久保さんもエチュード参加してくださいよ。僕はそういうの得意じゃないけどやってるのに。

能町 そうですよ。最もできる人なのに。

久保 いやー、登場人物が多すぎても大変だろうなと思って。

──久保さんの声が通るのって、もしかしてその頃の経験があるから?

久保 かもしれないですね。発声練習はやってたので。

ヒャダ 「マンガ家界で一番声が通る作家、久保ミツロウ」。

久保 そうなん?

──Eテレの『漫勉』見てても、だいたいのマンガ家さんはボソボソしゃべってますよ。

能町 確かに。マンガ家ってそんなに声通らないですよね。江川達也さんだって、あれだけバラエティに出てるのに、しゃべりはモソモソしてるし。

久保 やっぱり演劇部のころ、発声練習やってたからこうなったんだ。

──そもそもなぜ演劇部だったんですか? 普通に演劇が好きだったから?

久保 高校に入学したとき、最初は美術部に行こうかなと思ってたんです。マンガが描けるから。でも「マンガ以外のことをやったほうが経験としていい気がする。でも運動はしたくない」と考えて、「舞台に立つ」というのは自分と真逆にあるものだから、それで演劇部に。

能町 そこまでちゃんと考えて部活を選んだんですね。

ヒャダ ね。まだ16歳で。

進路指導で「マンガ家」と答えた日

能町 「マンガ家になる」というのはいつ決めたんですか?

久保 というより、マンガ以外の仕事に就くことはまったく考えてなかったんですよ。子供の頃から「学校で一番絵が上手い」と言われ続けていると、それが自分の価値の中核になってきて、一段上の存在として認められて、いじめられたりもしない……みたいなのがあったわけだよ。

──マンガでは「地元じゃ負け知らず」みたいな。

久保 まあそんな感じです。

──でも久保さんの通ってた高校って、進学校ですよね。マンガ家になりたいと思っても、進路指導で先生から「マンガ家になるのは大学に行ってからでも遅くはないんじゃないか?」みたいなこと言われそうじゃないですか。

久保 佐世保には完全な進学校って存在してなかったんですよ。私が通ってたのは進学校と普通校が一緒になったような高校で。とりあえずそこに進学して、高1の頃は「美大に行けたらいいな」とか「心理学を勉強するのもいいな」とか思ってたんです。マンガ家を目指す子が考えがちなことを。でも高1のときに進路について親と話したら、「お前を大学に行かせるには、飯も食わずに働くくらいじゃないと無理だ」とはっきり言われて。しかも「美大に行きたい」という時点で、「近場の大学に行く」という選択はありえないわけですよね。

──長崎には美大がないから。

久保 それで私、「じゃあ大学に行かなくてもいいんだ」って気が楽になったんですよ。「私の責任じゃないところで大学に行かなくてもいいんだ」って。だから高2からはもう大学を目指さないことにして、そこから好きなだけ自分のマンガ描いたり、同人誌作ったり、そっちのほうで生き生きとやってました。で、高3になると、親を呼び出される本格的な進路指導があるわけです。私がいたのは専門学校か短大か就職か、その3択の人だけが集められるコースだったんですけど、その時点で就職が決まってないのって、2人しかいなかったんですよ。私と、プロレスラー志望の前田くんの2人だけ。

能町 もう1人の子、すごく気になる。

久保 彼のその後は知らないんだけど、進路指導の前日にまずお父さんと話すわけです。「お前、卒業したらどうするんや」と言われて、「マンガで食べていきたいです」と答えたら、お父さんが顔にタオルをバッと掛けて、座椅子に座って踏ん反り返ったまま動かなくなったんですよ。そのままじーっと考えて、「俺に4コマを描いてこい。それで判断する」って。

能町 お父さん、すごい。

久保 お父さんはマンガのこと詳しくないんだけど、4コマの雑誌は死ぬほど読んでたんです。植田まさしとか。それで「4コマで判断する」という課題が出されて。

ヒャダ それでその4コマはどうなったんですか?

久保 結局、いまだに描いてないんですけど。

ヒャダ 描いてないんかい!

久保 それでとりあえずお父さんにはマンガ家になることを伝えて、翌日お母さんと一緒に進路指導の面談に行くんです。担任は体育教師だったんですけど、「お前、何になりたいんだ」と言われて、私は「マンガで食べていきたい」、お母さんは「うちの子はそう言ってるんです」みたいなことを言って。そしたらその体育教師……あだ名はパジャっていうんですけど。

能町 パジャ?

久保 いつもパジャマみたいなスウェット着てるから、パジャなんです。

ヒャダ あだ名が悪口ですね。

久保 そのパジャが「マンガぁ?」みたいに、もう半分鼻で笑うみたいな感じで言ってきて。それで担任に認められたわけじゃないけど、とりあえずそうやって就職先を決めて。それまで全然投稿してなかったから、高3になってから「投稿しなきゃ」と思い始めて、それで少ないページ数で投稿できて、反響もありそうということで『なかよし』に投稿したんですよ。賞金も良かったし。そしたら賞金が1、2万円くらいの期待賞みたいなのしか取れなくて。同じ月で7人くらいがもらえてるような。

──投稿し始めてすぐ何かしらの賞をもらえるのは、それはそれですごいのでは。

久保 でも当時は「大賞取れるんじゃね?」くらいに思ってたんですよね。で、今度は『なかよし』の4コマ部門に投稿したら、8万円くらいの賞をもらったんですけど、「でもこれでマンガ家になれるかどうかは分からないな」という気持ちでいて。そうこうしてるうちに高校を卒業して、そのままファミレスでバイトしながら暮らしてたんですよ。そしたら『なかよし』のマンガスクールが出張で福岡にやって来たんです。有望なマンガ家志望の子を呼んで、持ち込んだネームを見てもらったりするという。そこに行って初めて編集さんやマンガ家さんやマンガ家志望の人たちに会ったんですけど、私そこで持ち込みの作品を描けなかったんですよ。それで編集さんと「これからどうしたいの?」「マンガ家になりたいです」「上京してアシスタントやるなら紹介はできるけど」みたいな話をして、「そういうのもアリかな」と思っていたら、しばらく後に電話がかかってきたんですよ。その人は講談社のマンガ家さんで、私が最初に投稿した期待賞の絵を見て「この人は才能がある」と思ったらしくて。

──期待賞くらいだと、掲載されてる絵も小さいはずですよね。

久保 そうそう。もともとそれで目をつけていたところに、『なかよし』の編集者から私が上京する気があるらしいことを聞いて、連絡してきて。その人から「自分が原作を書くから、マンガ(作画)を描かないか」と言われたんですよ。それで高校を卒業した年の6月か7月に上京して、まずいったん話を聞きに行ったんです。その人は自分が本物のマンガ家だということを私に証明したかったらしくて、仕事場でいろんな海外の作品や資料がズラーッと並んでいるのを見せたり、オーディオマニアだったから「このオーディオで聞くと音が立体的に聞こえるんだ」と言われて、目隠しをして音を聞かせられたりして。

ヒャダ 18歳の少女が、初めて会う男性の家で目隠しって。何やってんすか。

久保 今にして思うと、すごいことしてたなと思うけど(笑)。でもその人は絵を描く人を求めてるということだったから、何か風が吹いているような気がして、結局その1カ月後には東京に引っ越したんだよね。

──そしてマンガ家としてのキャリアがスタート。

久保 と思ったら、3日でケンカしたんですよ。「君みたいなヒステリックな人は初めてだ!」みたいなことを言われて、「こっちだってヒステリックって言われたの初めてだよ!」みたいに言い返して。いま思うと、いろいろと不安な気持ちがあったからだと思うんだけど。それでその話は頓挫して、そこから(他の)マンガ家アシスタントもしながら池袋で生きる人生が始まったわけです。話が長くなりましたが。

久保、敏感になる

──さて、2020年も終わりですけど、みなさんどんな1年でしたか。

久保 (2月に)ハワイに行ったときは、「まだ仕事が終わってないのにハワイに行って大丈夫なのか」という不安な気持ちがあったんだけど、そこの部分は今も変わってない。

能町 ずっとそのまんまですよね。

久保 そこは変わらないまま、コロナ前から抱えていた自分の不安がいろいろ顕著になった。だから将棋や豊島竜王に激ハマりしたのかもしれないけど。

──でも豊島竜王にハマってから半年近く経ってるはずですけど、今もまだ豊島竜王に対して敏感なままですよね。その敏感さをキープしてるのはすごいなと思うんですけど。

久保 敏感なままですね。普段の生活だと、声に出して「豊島」って言うこともないし。ルミネのショップで服を買って、配送先の確認をするときに店員が「とよしま区(豊島区)」と言った瞬間に、ビクッ!ですよ(笑)。思わず「そうです」って言いました。だいたい、なぜ池袋ルミネの店員が「豊島区(としま区)」を読めないんだって思うけど。

ヒャダ それで感じちゃうんですね。

久保 声に出されるとね。だんだん自分の感度が変わってきていて、車で永田町を通過したときにスーツ姿の公務員を見かけて、「うわっ、スーツの男だ!」と思ったり。

──えっ、意味がよく分からない。

久保 将棋の対局って、基本はスーツを着てるときが多いんですよ。しかも普段ABEMAでずっと対局を見ているから、テレビで芸人さんを追っかけるよりもさらに長い時間、スーツ姿の男性を見続けていることになるわけです。たぶん今、人生で一番、スーツ姿の男性を見まくってる。でも見ているのは画面の中のスーツ姿ばかりだから、いざ現実で見たらハッとなったという。

──「実在するんだ!?」という。

能町 めちゃめちゃいますよ(笑)。

久保 そう、だから感覚がちょっとおかしくなってる。「この状況はヤバい」と自分でも思ってるんですよ。画面でずっと見続けているだけで、会ってもいないわけじゃないですか。もしかしたらそのうち、画面で見続けているだけの人を「会ってる」と思い込んでしまう可能性もあるかもしれない。そういうところからストーカーが生まれたりもするわけで。だから「これは他人、これは他人」って自分に言い聞かせてます。

ヒャダ なるほど、そんなことになってるんですね…………はい!(と言ってスマホで見つけた豊島竜王の画像をいきなり見せる)

久保 あっ、やめて!(と言って反射的にのけぞる)

能町 ちょっと久保さん(笑)。

ヒャダ いくらなんでも感じやす過ぎじゃないですか?

久保 (豊島竜王の)カメラ目線に慣れていないから、「視界に入っちゃいけない」と思って瞬間的に避けちゃうんだよ。ボクサーがパンチを瞬間的に避けるのと一緒で。本人は将棋の内容を見てもらいたいはずなのに、あまり容姿のことばかり言うのも良くないとは思うけれども、それでも良いと思う部分については言っていきたいという気持ちは一応あるんだよね。でも私は声がでかいから、むき出しで言うのは我慢しなきゃとは思ってる。

──でも久保さんが発信することで、興味を持つ人は増えるんじゃないですかね。

ヒャダ やっぱり僕も、久保さんや能町さんが興味持ち始めたものはつい見ちゃいますからね。

久保 ありがとう。知り合いのマンガ家さんも、私が将棋の話題をし始めたら、久しぶりにリプライくれて。「仲間はいたんだ」と思いました。あと今年、すごく久しぶりの人からDMが来たりもした。「ずっと心に引っかかってたことがあった」みたいなことで。

──どんな話ですか。

久保 何年か前に飲み会をしたときに、その人が「みっちゃんは昔のほうが面白かった」と言って、そのときに私がムッとした顔になったらしくて。それで、「あのとき不愉快にさせてしまって本当にごめんなさい」ってDMが来たんです。私は別にケンカ別れしたつもりは一切ないし、言われたことも覚えてなかったんだけど、「相手はこの何年間か、ずっとそのことを気にしてたんだ」と思って。

能町 でも、なぜ今なんですかね。何きっかけなんでしょうね。「向こうはもう気にしてないだろうな」と思いつつ、心の中にずっと溜まってるやつって、確かにありますけど。

ヒャダ たぶんコロナで心境の変化があったんじゃないですかね。

能町 やっぱりコロナなんですかね。そういうこともあるんだ。

ヒャダイン、桃鉄友達ができる

──今日のライブで驚いたのが、ヒャダインさんが近所に桃鉄友達ができたという話(*)で。

*仕事で知り合った人がご近所だと分かって友達になり、その人は男3人でルームシェアしているため、ルームメイトの2人とも仲良くなって、みんなで一緒に『桃太郎電鉄』をやって遊んでいる、という話。

能町 そう、私もそれは衝撃的でした。

──志村けんさんが亡くなったあたりの時期は、沈んだ気持ちになっていたという話をされていたから、そこからかなり変わったなと思いました。

ヒャダ そうですね。今年は低迷期と上昇期がはっきりしていて、今は昇ってる感じです。

能町 近所にできた友達って、どんな感じの人なんですか?

ヒャダ 男3人で、ボロボロの家に住んでるんですよ。で、そこにふらっと上がりこんで桃鉄をやるという。

能町 その年でそういう友達ができるってすごい。

──大学生みたいな距離感ですね。

ヒャダ そうですね。大学生っぽい。

久保 ちなみに大学時代はそういう友達は……。

ヒャダ いなかったです。その3人は大学時代からの友人同士なので、彼らの中ではずっと大学時代の関係性のまま空気が止まっているんでしょうね。そこに僕もお邪魔させてもらっているという。全員独身なので、誰か1人のライフステージが変われば、その暮らしも終わるのかもしれないですけど。

──いつかは終わる関係性だとしても、大人になって桃鉄友達ができるのってうらやましいことですね。

能町 そこまでその関係性をやり続けるというのは、すごい気がします。

ヒャダ いい友人に恵まれたな、とは思いますね。「ざうおで釣りしようぜ」とか言って、みんなでざうおに行って、釣った魚を食べたりとか。

久保 いいなー、すごく楽しそう。

能町、港区女子が気にかかる

能町 今までと真逆のような話をして申し訳ないんですけど、最近、テキーラ強要事件があったじゃないですか。それを調べてたら、(強要した社長を)擁護してる人が見つかるんです。「飲めなきゃ拒否すりゃいいんだし、死ぬ方が悪いじゃん」みたいなことを、ある女性が言ってて。自称港区女子。けっこうフォロワーの多い人なんですけど。気になってその人のインスタやツイッターを見てみたら、なんというかずっと気を張ってるんですよ。港区女子としてのプライドが高くて、ずっと誰かのことをバカにしてて。

ヒャダ とんがって生きてるわけですね。

能町 もちろん私はそんなのに全然憧れないんですけど、でも本人曰く、別にお金は要らないらしいんです。「私はこういうことをやってるおかげで、いろんな社長や実力者に出会える。お金なんかあったって、ブランドに使うだけで、それ以上特に使うことがない」とか言ってて。「自分なんてまだまだで、本物の港区女子は中国やドバイのお金持ちと知り合ってる」とも言ってるんですけど。それ読んで、「なんで余裕があるはずなのにこんなにピリピリしてるんだろう、彼女にとっては、今後どうなることがゴールなんだろう」と思っちゃったんですよね。言ってる内容が本当だとしたら、の話ですけど。

──確かに金持ちの余裕は感じられないですね。

能町 本当にその立ち位置に満足してたらそんなこと書かないじゃん、ってことばっかりなんです。

ヒャダ そういうの、レディコミでよく見ます。十中八九、滅びて終わりです。レディコミでは。

能町 楽しそうにウェーイってやってる写真を自慢するだけならいいんですけど、コロナで看護士が大変だという話題に対して「大変だったら辞めればいいじゃん」みたいに、わざわざ突っかかって人の神経を逆なですることを延々と書いていて。

──普段接している経営者たちの価値観を内面化しちゃってるんですかね。

久保 インストールしまくって。

──でも具体的な商売をやっているわけではなく、関係性や暮らしぶりのアピールだけで自らをブランディングしていくのって、たぶんそんなに長く続かないですよね。

能町 そう。「こういう子ってどうなっていくんだろう」ってなんだか気になっちゃったんです。勝った、勝ったと言い続けて、年取ったときどうなるんだろう、というのが。

ヒャダ レディコミの主人公だったら、この人は本当は汚くて小さなアパートに住んでます。レディコミだったら。

能町 レディコミだとね。

ヒャダ で、今その人のインスタを探しあてて検証してたんですけど、この人、家で撮った写真は1枚もないです。

──インスタ探偵こわい。

能町 これでコンプレックスがないわけがないから。港区に住んでるのは住んでるのかもしれないけど、けっこう普通の部屋なのかもしれない。

久保 そういう子たちは、何をもって「自分には確かな価値がある」と思うんだろう。将棋だったら「将棋が強い」というのが確かな価値になるわけじゃないですか。

能町 そこで将棋を持ってくるんだ(笑)。彼女自身はきっとそこまでお金を持ってなくて、お金を持っている人とたくさん知り合っているということが、何より素晴らしいと思い込んでるんだろうな。

久保 でも、刹那的な生き方もまた1つの人生だからね。

能町 それは確かにそうなんだけど。

人脈は桂馬

久保 私、自分が結果を出すまで頑張ることが少ないんですよ。マンガは結果を出さないといけないことだから頑張るんだけど、それ以外のことに関しては「結果を出すためには手段を選ばない」みたいに頑張ることがないんだよね。だから、前回のこじらせブロスで「豊島竜王のファンと楽しく話す」と紙に書いて、それで自分の気持ちが動いたことに一番感動しちゃって、「(ファンとおしゃべりするという)結果までは別に求めなくていいかな」という気持ちになってるんだよね。

一同 ええええええええ!

久保 でもこれが港区女子だったら、たぶん「友達を作るためには手段を選ばない」となって、絶対に実現させるわけじゃないですか。だから「港区女子と比べたら、私は全然成果主義じゃないな」と感じてしまった。もし私が「港区女子みたいになりたい」という気持ちになったらどうなるんだろう。

ヒャダ それはもう全力で応援しますよ。

久保 何かいろいろあって、「男はやっぱり金持ちじゃないと」という価値観になって。そしたら、2人はどうやって私のこと応援するの?

ヒャダ 紹介できる人、いなくはないです。友達の友達とかなら。

能町 私も直接の知り合いはいないけど、たぶんしみけんさんの人脈を頼れば。

久保 今、初めて「人脈を頼ってみよう」と考えてみたけど、想像したらけっこう怖いものだね。自分が全然知らない人がそこには入ってくるわけだから。

ヒャダ 桂馬みたいな感じですよね。将棋でいうと。

──目の前に駒があっても、それをヒョイッと飛び越えて、全然違う場所に行っちゃうという。

久保 そうそう、桂馬。人脈は桂馬。そして「成り金」(*)になりたい(笑)。

*桂馬は相手の陣地に入ると、金と同じ働きをする駒(成桂)になることができる。

ヒャダ きれいにまとまった(笑)。

久保 そして桂馬は前に進めても、もう後には戻れない。

ヒャダ まさしく。いい例えですね。

能町 でも、成り金になったらちょっと戻れるんでしょ?

一同 (笑)


「久保みねヒャダこじらせブロス」連載バックナンバーはこちらから。

【ライブ情報】
テレビでは話せないトーク満載
久保みねヒャダこじらせオンラインライブ
次回開催
ゲスト:フワちゃん
配信日:2021年1月16日(土)14:00スタート
(1月24日(日)23:59までアーカイブ配信あり)
配信先:PIA LIVE STREAM
料金:¥2,980(税込み)
チケットはチケットぴあにて発売中

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【番組情報】
ほぼ月一で不定期放送中
久保みねヒャダこじらせナイト
次回放送日は番組HP公式ツイッターを参照。
FODプレミアムではこれまでのライブを限定配信中。
【プロフィール】
くぼ・みつろう●漫画家。代表作として『モテキ』『アゲイン!!』など。現在は『ユーリ!!! on ICE 劇場版 : ICE ADOLESCENCE』制作中。

のうまち・みねこ●自称漫画家。新刊『そのへんをどのように受け止めてらっしゃるか』『雑誌の人格3冊目』発売中。『結婚の奴』も売れてます(当社比)。NHK『金曜日のソロたちへ』にレギュラー出演中。「猫のつまらない話」も連載中です。

ひゃだいん●音楽クリエイター。J-POPからアニメソング、ゲーム音楽まで幅広く手掛ける。

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