パワー! なかやまきんに君に聞く「世界で一番楽な筋トレ」
元祖・筋肉芸人として、唯一無二の存在感を放つ、なかやまきんに君。その筋肉×お笑いが生み出すものは、ギャグだけではなく、圧巻の肉体の軌跡。17歳から始めたトレーニングの結果、42歳になりボディビル大会で優勝するまで上り詰めた、きんに君の素晴らしいマッチョっぷりはみなさんご存知の通り。
きんに君がさまざまな筋トレ法を伝授するYouTubeチャンネル「ザ・きんにくTV 【The Muscle TV】」は、いま登録者数 121万人を超えるほどの大人気。外出自粛生活が続く昨今、健康に関心を持つ人が増えるなか、リモートワークで自宅にこもる人や運動不足になる人も続出。
そこで、肉体デザインのプロフェッショナルでもあるきんに君に、その筋肉ができるまでの過程や、普段運動をしない人や苦手な人でも、家で手軽にできる「簡単な筋トレ」法を教えてもらいました!! ヤー!
取材・文/かわむらあみり 撮影/横山マサト
<プロフィール>
なかやまきんに君●1978年生まれ。福岡県出身。お笑い芸人・ボディビルダー。吉本興業のNSC大阪22期を卒業し、2000年にピン芸人としてデビュー。
2003年「第24回ABCお笑い新人グランプリ」で審査員特別賞、「R-1ぐらんぷり2006」決勝進出するなど、元祖筋肉芸人として活躍。 2006年米・ロサンゼルスへ“筋肉留学”し、2011年サンタモニカカレッジ運動生理学部卒業。 2021年5月第29回東京ノービスボディビル選手権大会75kg超級で優勝を果たすなど、ボディビルダーとしても活躍している。 現在、YouTubeチャンネル「ザ・きんにくTV」の登録者数は120万人を突破し、人気を集めている。
●YouTubeチャンネル
「ザ・きんにくTV 【The Muscle TV】」
「ザ・きんにくTV 2nd 【The Muscle TV 2nd】」
●公式Twitter @kinnikun0917
●公式Instagram @nakayama_kinnikun
●公式ブログ
●アレラ販売「ザ・プロテイン」「ファミテイン」
●きんに君のチカラ「ザ・パワースープ」「ザ・パワーチキン」
●オリジナルアパレルブランド「POWER」
「筋肉留学」に行ったはずがヤセて帰国するも、
“ボディビルの夜明け”につながる
――現在、おうち時間が続いて「ジムにも行けない」「自分で運動するにもどうやるかわからない」という方も多いので、今日は「世界で一番楽な筋トレ」の方法を教えていただきたくまいりました。まずは2021年5月3日に開催された「第29回東京ノービスボディビル選手権大会」男子75キロ超級の初優勝、おめでとうございます!
ありがとうございます。実は、怪我をした年以外、2015年からずっと大会には出ていました。昨年はコロナ禍で大会自体なかったんですが、6回ぐらい挑戦していて、これまでほぼ準優勝でしたので、やっと念願の優勝ができてうれしいです。
――優勝後、『ワイドナショー』(フジテレビ系)にもご出演されていましたね。松本人志さんたちに「筋肉留学」のことを話していましたが…。
…筋肉留学でアメリカに行ったはずが、ヤセて帰国したという(笑)、あの話ですね。
――その話です(笑)。もともといつから体を鍛えているんですか。
17歳からトレーニングを始めたんですが、25年前は、大きなスポーツクラブがあっても数少なくて、マニアックとされるボディビル向けのジムぐらいしかありませんでした。最初はそんなジムでトレーニングを始めて、まわりにはもちろんボディビルをやっている人もいて、慣れてくるとだんだんボディビルが好きになっていったんです。
20代の頃は『筋肉番付』(TBS系)といった芸能人のスポーツ番組もあって、タレントとしても名前を売りたかったので、そちらにフォーカスをしたトレーニングをしていました。でも、走るのと、ボディビル競技は、同じ体を鍛えるにしてもちょっと違うんです。ボディビルを目標にすると筋肉で体が重くなるので、当時はウエイトトレーニング半分、走るトレーニング半分にしていました。
――そんななかで、2006年から留学で渡米されましたね。
まずはお笑いっぽく、ノリっぽく行きたくて「筋肉留学」という言葉を作って渡米しました。筋肉留学に行く目的はふたつあって、ひとつは「世界中からボディビルの人たちが集まるロサンゼルスに住みたい」と思ったことです。17歳からトレーニングを始めて、ボディビルと筋トレが好きになって、そのときの情報源はインターネットがないので、「月刊ボディビルディング」などの雑誌だけ。
そこでときどき特集されていたのが、西海岸のベニスビーチのあたり。椰子の木があって、海沿いでローラーブレードしている人がいて、ゴールドジムの1号店もベニスビーチにあるんです。そこに世界中からボディビルの人が集まるという特集があったんですよね。
筋肉留学のもうひとつの理由は、テレビや映画のオーディションを受けに行ったんです。コメディっぽく撮ったビデオを送って、オーディションも通って「2週間後にニューヨークに来てください」という話もあって。でも「学生ビザなんです」と言うと「ダメです」となることが、3、4回。だから、学生ビザだし「ちゃんと勉強して帰ろう」と。
最初は語学学校に通って、途中から「ちゃんとカレッジでも勉強しよう」とサンタモニカカレッジに入って。英語の授業で教科書も英語だし、毎日帰宅後は午前3時まで勉強して、朝6時に起きて、学校に行ってという生活。授業で聞いていても内容がわからないので、結局、家に帰ってから、教科書を1行ずつ読んで、書いて。自分でノートを作って、慣れてきたらスラスラ英語が読めるようになるんですよ。
そんな状態なので当然ジムにも行けないですし、体調も崩しながら、ギリギリのところで生活していて。アメリカから日本に帰ってきてから、「いちからボディビルをやろう」と始めました。テレビのバラエティ番組では、真面目にこの説明をしても仕方がないので、「アメリカがちょっと合わなかったんですよ」という感じでまとめています。
――だんだんとその「筋肉の秘密」がわかってきた気がします。筋肉留学の経験で得るものは大きかったですか?
そうですね。20年前は、ただ、トレーニングをしていても、「何やってんの?」「頭まで筋肉だな」とか、よく言われるんですよ。でも僕は、「筋トレとお笑いを合わせたら必ず何かが起きる」という確信があったんです。
答えは何かわからないけれど、お笑いという要素と、真面目にトレーニングするというギャップがスゴイじゃないですか。「これは何かある!」と思って。まわりの人から何を言われようが、僕は関係ないと思っていました。帰国して、僕がサンタモニカカレッジを卒業したって言っても、ピンとこないじゃないですか。
でも、「ここで勉強してがんばったら必ず努力は役に立つことがある」と思っていたんですよ。それがいまになって、YouTubeとかに活きてきたんです。2016年にYouTubeをやり始める前までは、筋トレも英語もYouTubeでここまで役立つかは想像していませんでしたが、根拠のない自信だけで突き進んできました。
――きんに君さんのことが大好きな夫は、YouTubeチャンネル「ザ・きんにくTV 【The Muscle TV】」をよく観ているんですが、健康面でいうと、食事はどのように気をつかっていますか。
僕も最近気づいたんですが“自分にいいもの”を探さないと、本当の意味では健康によくないんです。みんな腸内環境が違うので、より健康になろうとすると、自分に何が合うのかはすごく突き詰めていかないといけないので、僕も模索中なんですよ。
――「ザ・きんにくTV 【The Muscle TV】」では、EXILEさん所属の「LDH」本社内のジムで、EXILEのNAOTOさんとトレーニングする動画もアップしていましたね。
ありましたね、LDHさんのジムはいろんなマシンがあって面白かったし、いろんな人と交流して、参考になりました。
――いつもジムを使っているNAOTOさんより、マシンに詳しくて解説するきんに君さんがスゴかったですし、あんなに楽しそうに筋トレする姿が面白くて…(笑)。
NAOTOさんとトレーニングするのは、楽しかったですね(笑)。どこにどんなマシンがあるかは大事で、僕は鍛える場所によってジムを変えるんですが、そういう人ってあまりいないと思うんです。より効率よく、自分に合うマシンで鍛えるほうが、より怪我のリスクを下げながらハードにトレーニングができる。だから、ちょっと遠くのジムでも行ってしまいますし、「こういうのがあるんだ」とマシンをいろいろと調べるのも好きなんです。
「世界で一番楽な腹筋のトレーニング」と
「世界で一番楽なスクワット」
――ではここで、家で手軽にできる「筋トレ法」をふたつ伝授願いたいです。体で脂肪がつきやすい部分といえばお腹ですが、まずひとつめは「下っ腹」を凹ませたいときは、どんな筋トレがいいでしょうか。
おすすめの腹筋法から、お伝えします。初心者の方は、楽な方法がいいと思うんですよね。まずひとつめは「世界で一番楽な腹筋のトレーニング」。もうひとつは「世界で一番楽なスクワット」という、ふたつの筋トレをご紹介しましょう。
「腹筋のトレーニング」は「レッグツイスト」です。横になって、上半身を起こして、顎をひいて猫背にします。
手を後ろについて、体を軽く支えた状態で、かかとを床から浮かせます。上半身を動かさずに、下半身だけを動かしますが、揃えた両脚を左右に向けます。片方のお尻が浮くように、ひねってください。
次に、反対側に揃えた両足を向けて、片方のお尻が浮くようにひねってください。1日まず10回からやってみてください。
――うわぁ! これなら簡単に出来そうです!! ありがとうございます! ではまた後ほど、「世界で一番楽なスクワット」を教えてください。
わかりました。あと、トレーニングは、ちょっとあいた時間に10回やる感じで大丈夫です。呼吸とか、姿勢とか、突き詰めていくと続かなくなるので、「こんなんでいいんだ!?」というぐらいの感覚で試してみてください
――10回なら続けられそうですし、教え方もわかりやすかったです。それにしても芸人さんをやりながら、筋肉留学をして、優勝するぐらいまでボディビルで体を鍛えるなんて、並大抵の努力ではないですよね。
なんか常にがんばっていないと、楽して生きていてはいけないって、心のどこかで思っているんですよね。28歳でアメリカへ筋肉留学して、29歳ぐらいでサンタモニカカレッジに入って。当時留学していたまわりの人たちって、18歳とか19歳なわけですよ。未来に希望があって、勉強だけしていればいいという。
だいたい30歳前後でアメリカにいる人は、勉強せずに遊んでいるんです。でも、僕はそういう性格なので、何かをやっておかないといけないと思う気持ちが半分、ちゃんとやっていたら、いつか必ず役に立つというのが、半分あるんです。
――なかなかできないことでスゴいですね。きんに君さんの吉本興業公式プロフィールには「趣味:健康になること(健康のためなら死んでもいい)」とあって、「健康になること」まではわかりますが、「健康のためなら死んでもいい」というのも、なかなかならない発想ですが(笑)。
ははははは(笑)。確かに、書いていますね。健康に関しては、小学校低学年から興味があったんですよ。あと地球環境問題にも興味があって。当時小学校低学年なので、あまり健康のこととか知らないじゃないですか。テレビで誰かが言っていたことをまねしたらいいか、ぐらいのことで。たとえば野菜を食べたらいいとテレビでやっていたら、お母さんに「野菜が食べたい」と言うとか、そんなぐらいで。
いまでも覚えているのは、小学校4年生の家庭科の授業で、食品添加物に関するビデオを観たこと。添加物には、保存料のソルビン酸カリウムと、発色材の亜硝酸ナトリウムが入っていて、それに熱を加えると発癌性物質に変わりますという内容で。でも、かぼちゃのベータカロチンがあると有害な物質は半減しました、という衝撃のビデオだったんです。
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