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押井守のサブぃカルチャー70年「円谷プロの巻 その5」【2021年5月号 押井守 連載第19回】

今回は円谷プロダクションの話題、その5。ウルトラマン・シリーズで語るべきは3作目の『帰ってきたウルトラマン』までと語る押井さん。やがて押井さんの大好きな戦争ものの作品から、『シン・ゴジラ』評にまで話題は広がります。
取材・構成/渡辺麻紀

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TVで戦争や軍隊を伝えることが出来るのはアニメだけ

――さてさて押井さん、今回は『帰ってきたウルトラマン』(1971~1972年)です。押井さんはウルトラマン・シリーズで語るに値するのは3作目のこの作品までだとおっしゃっています。

そうだね。あとの『タロウ』(『ウルトラマンタロウ』<1973~1974年>)、『レオ』(『ウルトラマンレオ』<1974~1975年>)等の“ウルトラ・ファミリー”になると、たまたまTVをつけたらやっていたので観るくらいの感じ。積極的に観ていたのは『帰ってきた~』までだよ。

『帰ってきた~』は、文字通りウルトラマンが地球に帰って来てからの話なので、いわば後日談的な立ち位置になる。これが面白いのは、メインのキャラクターが屈折しているところ。だって主人公のウルトラマンには最初、名前がなかったし(のちにジャックと命名される)、そもそもウルトラマンになるときも変身用のガジェットがあるわけじゃない。死の恐怖を感じたときに変身できるという設定だったから。彼はMATの隊員になるんだけど、同僚との軋轢なんかも描かれて、ドラマが大人っぽかった。あるエピソードにはウルトラセブンが先輩として登場して後輩の彼にブレスレットを託し叱咤激励するんですよ。

そして、衝撃的だったのはヒロイン(榊原るみ)が死んでしまったこと。あとで諸説流れたけど、そういう展開もほかのシリーズとは違っていた。やっぱり大人っぽかったんだよ。

――なるほど。

そのあとの『ウルトラマンA』(1972~1973年)は変身が大胆で、北斗と南が同時に空中で交差してエースになる。南は南夕子という名前で月から来たという設定だったんだけど、彼女も謎の降板をする。

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