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押井守、TV Bros.で連載始めます。

定期誌時代のTV Bros.では特集で何度もインタビューをお願いし、また『誰も語らなかったジブリを語ろう』(東京ニュース通信社刊)等の単行本も出版している押井守監督が、ついに連載陣に! 自らのエンタメ&サブカル的な体験を、物心ついた幼少期から前期高齢者となった現在までのほぼ70年間を語り尽くしてくれます。

今回お届けする「第0回」は押井監督に、連載に至る経緯やタイトル決定の紆余曲折、これからの展望等を語ってもらいました。聞き手は前出の単行本でもおなじみ、映画ライターの渡辺麻紀氏です。

構成・文/渡辺麻紀

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中学生のころは、船医に憧れていたんだよね


――押井さん、連載コラム、よろしくお願いします!

何だっけ? 何について話すんだっけ?

――いや、だから何度も言いましたように、押井さんのエンタメ遍歴をお願いしたいと。映画に限らずTVドラマや小説、マンガ、音楽、もちろん押井さんの大好きなゲームだってOKですよ。

映画だと結局、親父の話になっちゃうよね。チャンバラ映画にいつも連れて行ってくれたから。でも、私のエンタメの最初となるとやっぱりラジオドラマになるのかなあ。子供にとって、TVがなかった時代の最高の娯楽がラジオだったから。ラジオを経てTVに移るわけだけど、親父がTVだけはNHKのTV放送開始(1953年)と同時に買ったから、とても早い段階から親しんでいたんですよ。最初に観ていたのは……。

――そうです押井さん、そういう記憶を、時代を追って話していただきたいんです。自身のエンタメ体験を語ることで、その時代の空気感や押井さん自身の当時の姿、さらにはのちに監督になった押井さんにどんな影響を及ぼしたのか等が伝わってくると面白いと思っているんです。いつものように横道にそれまくってもまったく構いません。押井さん、これまで幼稚園時代くらいのラジオドラマの話とかしたことあります?

どうかな……あんまりないかも。ラジオドラマと言えば、わたしにとってやっぱり『赤胴鈴之助』だね。

――なるほど、じゃあ『赤胴鈴之助』を連載第1回のテーマにしましょう! そしてタイトルはどうしましょうか? 一応、こちらでざっくり考えたものがあるんです。『押井守の青春ノート』とか『押井守のエンタメ遍歴』とか。

そりゃあまりにベタでしょ。『青春ノート』なんて北杜夫みたいじゃない?『どくとるマンボウ人生ノオト』ですよ……。中学生のころ、『どくとるマンボウ航海記』とか読んで船医に憧れていたんだよね。

――なんで船医に?

彼の本を読むと船医って暇なんですよ。だから本を読んだり書いたりし放題。給料をもらいつつ、好きなことが出来るなんて最高だなあって憧れていたんです。

――押井さんが北杜夫って、ちょっと意外ですね……。いや、という話はさておき、タイトルですよ、タイトル!

だから、それは恥ずかしすぎ。麻紀さん、相変わらずネーミングのセンスないなあ(笑)。『TVをつけたらやっていた。』(このシリーズの第3弾が近日発売予定)だけはよかったけどね。……そうだ、だったら『TVの初めからやっていた。』ってどう? これ、よくない?

――TVだけじゃなく、映画もマンガも網羅するんですよ。それだけだと内容が伝わってきません。総称するとやっぱり「エンタメ」とか「サブカル」という単語になっちゃうんです。

だったらさあ、『エンタメ70年』とかさ。

――『押井守のエンタメ70年』? 『押井守のサブカル70年』もありですね。

いちいち「押井守」を付けるのがいかがなものかと思うけど(笑)。

――「わたしの」にします? 分かりづらいというか、普通すぎません?

じゃあいいよ、『押井守のエンタメ70年』。……あ、『押井守のサブいカルチャー70年』。「サブカル」と「サムい」をかけて。

――ダサいというような意味で「サブい」を使い、Wミーニングにするんですね。いいですね! それにしましょう。アクセントに気を付けると「サブいカルチャー」というひとつの単語に聞こえるし。この際、「い」も小さくしちゃって。

少なくともわたし、麻紀さんよりはまだセンスあるんじゃないの(笑)。

――はいはい……じゃあ、『押井守のサブぃカルチャー70年』で行きましょう! 来月からよろしくお願いします!

※ということで、次回の連載第1回(8月15日配信予定)をお楽しみに!

<プロフィール>
押井守(おしい・まもる)●1951年東京都生まれ。映画監督。大学在学中より自主映画を制作。1977年、竜の子プロダクション(現・タツノコプロ)入社。スタジオぴえろ(現・ぴえろ)を経てフリーに。主な監督作品に『機動警察パトレイバー the Movie』(1989年)、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995年)、『イノセンス』(2004年)、『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』(2008年)など。また、近著に『誰も語らなかったジブリを語ろう』、『シネマの神は細部に宿る』、『押井守の人生のツボ』(すべて東京ニュース通信社刊)など。


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