コメントの難しさ【2021年3月号 風間俊介 連載】『ダンスはうまく踊れない』
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何かの仕事の情報が解禁になる時、コメントを求められることがあります。意気込みや、この作品への思い入れ、観て欲しいオススメポイントなどを集約したコメント。このコメントが、なかなか難しい。作品によって区々ではありますが、コメントを書くこと自体は難しいことではありません。悩ましいのは、他の共演者さんや監督さんなど、一緒にコメントを出す人達の温度感が分からないことなのです。これは結構な恐怖ですよ。コメントが発表されて初めて、「あぁ、みんな、そっちの方向かぁ」って分かるんですから。「うわぁ、ミスったぁ。完全に浮いてるぅ」ということもあります。
だからと言って、無難なことを書いて、「あれ? 何か、全然、引きのないコメントなんですけど。風間、この作品に思い入れが無いのでは?」なんて思われては、困るのです。そんなことないですから、それぞれにしっかり思い入れがありますから。そうかと思えば、全力で書いた結果、「はい、風間だけ、ポエティック! 俳優っぽさを間違えた、ポエティックコメント!」なんてこともあり得ます。
僕は、日常の仕事が終わり、家に帰ってから書き物の仕事をすることが多いので、夜に書いていることが多いです。いやぁ、夜に文章を書くのは危険ですね。夜はポエティックチャンスの宝庫です。昔から、そうなんですよ。夜に文章を書くと、ポエティックになって行きがちな癖があるんですよ、僕は。
学生時代、朝起きて「昨日の自分に、何が起こっていたんだ! 昨日の風間、大丈夫か?」という文章を発見することが多々ありました。あの頃の文章が世に出ていないことが、僕が今、健やかに仕事を続けていられる要因です。しかし、油断してはいけません。何故なら、この傾向は今でもあるからです。
気をつけなくてはいけないのは、ポエティックだけではありません。
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