【5月号 風間俊介 連載】オンライン飲み会難民『ダンスはうまく踊れない』
オンライン飲み会難民
アメリカのコメディ俳優、ミルトン・バールは言いました。「もし好機がノックをしないのなら、ドアを作りなさい」今、きっと、ドアを作るべきなんでしょうね。窓口を作らないといけないのですよ、僕がオンライン飲み会に誘われる為には。
今の外出自粛生活で、オンライン飲み会なるものが生まれました。少し前なら、実行に移す人は少なかったかもしれません。しかし、今のテレワーク、リモートワークの流れや、会えないのだから仕方なくなど理由は様々あれど、結構な人たちがリモート飲み会を楽しんでいるようです。そして、やってみたら楽しかったと僕の周りでは概ね、好評。僕もそのうち、「いや、リモート飲み会がダブルブッキングしちゃって、どう断ったらいいかな？」なんて未来が来るかもと思っていましたが、杞憂でしたね。
誘われない。全くと言っていいほど。
そりゃそうだ、連絡先を知っている者同士がやるんですね、リモート飲み会って。普段、連絡取り合ってる者同士でやるんですね、リモート飲み会って。僕は普段、大の連絡不精です。それが影響してか、僕の携帯電話は全く鳴りません。『鳴かぬなら 壊れてるんだよ 我が携帯』と確認してみたのですが、ガッツリ電波を受信していました。SNSもやっていません。友人たちも「SNSをやりましょう」と頻繁に勧めてくるのですが、のらりくらりかわしてきました。なんか、必要性を感じてなかったんですよね。近況報告なんて会えば良いし、不特定多数に発信することでもないしなぁ、なんて思っていました。みんなでの食事などは、仕事場での話の流れや行きつけのお店での偶発性に頼りっきりだった結果、オンライン飲み会難民になるとは！ だって、人と会わないんだから、連絡先を聞くことも聞かれることもないし、昔の友人がSNSを辿って連絡してくることもない。窓口、ドアが一切ない。そりゃ、誘われないや。
そんな話を先日の『ZIP！』（日本テレビ系）で話していたら、桝太一さんが「僕がいるじゃないですか」と、オンライン飲み会に誘ってくれました。やはり、桝さんはお優しい方です。僕の前にドアが現れました。まさかの、僕が作るのではなく、桝さんが作ってくれました。作ってくれたというか、スッとポケットから出すようでした。それは、あの、全ての人が憧れた、どこでも連れて行ってくれるという、ピンクのドアのように魅力的で楽しそうなドア。本当にありがとうございます、マスえもん。いや、ごめんなさい。本当、感謝しています、桝さん。
ということで、僕、近々オンライン飲み会やります。何を用意すれば良いんですかね。別にお酒じゃなくても、良いんですよね？ 『飲み会』という名前が付いているものの、本当の目的は、失われつつある会話でのコミュニケーションを求めてですもんね。あっ、桝さんにお礼の品、用意した方がいいかな。やっぱりどら焼きだな。でも、オンラインだから渡せない。あーどうしたら、良いんだ。助けてー、マスえもーん！
＜今月のオススメ作品＞
映画『雨に唄えば』（'53年公開）
観ていない方の多くは、この映画、クラシックでノーブルなミュージカル映画だと思っていると思うんですよね。この映画、ゴリゴリのコメディなんですよ。それも、めちゃくちゃ面白い。ずっとドリフのコントみたいなのが続きます。そして、みんな上手すぎる。『芸』とは恐らくこういうことを指す言葉なのだろうと、心から思います。踊りは天下一品だし、その技術をコメディで使うんだから、格好良いったらありゃしない。歌の中で、自分の足が絡まってしまうというネタをやる場面があるんですが、そんなシンプルなネタであんな長い時間、魅せることが出来るなんて、恐ろしさすら感じます。そして、フィルムの時代だからでしょうが、あんまりカットを割ってない。一度でも失敗したら取り直しの中、完璧にこなす。正にプロですね。観たことがなかった人は、ぜひ。
＜プロフィール＞
かざま・しゅんすけ●’83年東京都生まれ。『ハートネットTV』（NHK Eテレ 毎週月～木曜後8・00月放送分）、『林修のニッポンドリル』（フジテレビ系 毎週水曜後8・00）、『ZIP!』（日本テレビ系 毎週月～金曜前5・50月放送分）などに出演。大河ドラマ『麒麟がくる』（NHK総合ほか 毎週日曜後8・00ほか）に徳川家康役で出演予定。
【2020年6月中は新規登録で初月無料キャンペーン開催中！（※キャリア決済を除く）】
豪華連載陣によるコラムや様々な特集、テレビ、音楽、映画のレビュー情報などが月額500円でお楽しみいただけるTVBros.note版購読はこちら！
TV Bros.note版では毎月40以上のコラム、レビューを更新中！入会初月は無料です。（※キャリア決済は除く）
