【17】商標登録までの流れはどのような感じなのか?

こんにちは、横浜市の商標弁理士Nです。
最近、飛蚊症がひどいです。歳のせい・・・?

前回の記事では、「商標登録にかかる時間はどれくらいなのか?」について、お話しいたしました。意外と長い時間がかかるので、ドメイン登録と同じようには考えてはいけない、ということでしたね。

それでは、商標登録制度の理解をより深めるために、このへんで一度、「商標登録までの流れはどのような感じなのか?」についても、ざっくり見てみましょう。

というわけで、今回の記事では「商標登録までの流れ」について、お話ししていきたいと思います!

さて、ネットで、「商標登録 流れ」などのキーワードを検索すると、フローチャート画像がたくさん出てきますが、はじめての方にとっては少々わかりにくいかと思います。これらはとても正確ではあるのですが、その分、複雑になっているため、初心者には優しくないように思います。

そこで、これを極力シンプルにしてみると、

1.申請書(願書)を作成する。
2.特許庁に提出する。
3.特許庁の審査にパスする。

というのが、商標登録までの大まかな流れとなります。

審査で「登録OK!の通知」(登録査定)が出たら、所定の期間内に、商標登録料を支払って、「正式に商標登録」ということになります。

このように、審査にまったく引っかからずにスムーズにパスできれば、商標登録までの流れというのは、実はとてもシンプルなのです。

画像1

この場合にやることは、(1)申請書の作成、(2)出願(申請)の手続、(3)商標登録料の納付手続くらいです。

では、審査で引っかかってしまった場合はどうなるでしょうか?

前回も少しお話ししましたが、実は、審査に引っかかったとしても、一発で「はい、ダメ~!!」と登録が却下されるわけではありません。

審査で引っかかると、審査官が「拒絶理由通知」を出します。
これには、審査官が登録を認めないと考える理由が記されています。
要は、審査で引っかかった原因となる理由が書かれているわけですね。

画像2

これに対しては、その理由に応じて、応答の手続をすることができます。

たとえば、願書に記載した商品やサービスの表記がおかしいですよという指摘であれば、「手続補正書」という書面を用いて、適切な表記に修正をします。

ほかにも、似ている商標がすでに他人によって登録されていますよという指摘であれば、「意見書」という書面を用いて、「いやいや、こういう理由で似ているとは言えません!登録は認められるべきです!」といったように反論したりします。

そして、これらの応答手続によって、あらためて審査官が登録を認めても良いと考えれば、「登録OK!の通知」(登録査定)が出されることになります。

このように、一度は審査で引っかかっても、それを克服するチャンスは十分あります。実際、その半数以上は、適切に対応することによって、最終的には登録となっているようです。たしかに厳しいケースも中にはありますが、「拒絶理由通知」が来たからといって、決して諦めないことが大切です。

一方、これらの応答手続によっても、やはり審査官が登録を認めないと判断すれば、「登録NG!の最終通知」(拒絶査定)が出されます。審査官の最終判断となりますから、これが来てしまうとさすがに深刻度は高いです。

ただ、この「拒絶査定」に対しても、不服申立て手続をすることができます。少々費用はかかりますが、これにより結論がひっくり返ることも少なくはありません。

ですので、「拒絶査定」となった場合も、まだ諦めるのは早いです。

なお、審査官が「拒絶理由通知」を出してきた際に何も応答しなければ、しばらく経った後で「拒絶査定」が出されることになります。このように出された「拒絶査定」に対しても、何らかの応答をして「拒絶査定」となった場合と同じように、不服申立て手続をすることは可能です。

いかがでしたでしょうか?
「商標登録までの流れはどのような感じなのか?」について、スムーズに審査にパスした場合と、審査に引っかかった場合、いずれもおおむね理解できたのではないでしょうか。

実際はもう少し細かいフローとなりますが、このようにシンプルに全体像を理解しておけば、いざご自身が商標登録を申請した際に、落ち着いて状況を把握することができるのではないかと思います。ぜひ、頭の隅に置いていただければと思います。

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