【18】商標登録にかかる費用はどれくらいか?

こんにちは、横浜市の商標弁理士Nです。
最近のお気に入りは、藤沢で買える「カワセミくんサブレ」です(笑)。

さて、前回の記事では、「商標登録までの流れはどのような感じなのか?」を、お話しいたしました。スムーズに審査にパスした場合、審査に引っかかった場合のフローを、それぞれシンプルにご紹介した次第です。

今回は、事業者の皆様が、もっとも気になる点の1つであろう、「商標登録にかかる費用はどれくらいか?」について、お話ししていきたいと思います!

1.審査にスムーズにパスできた場合の費用

商標登録をするためには、基本的に、
(1)出願時、(2)登録時の2回のタイミングで費用がかかります

ちょっと前回のフロー図を見てみましょう。

画像1

この図でいうと、
「出願(申請)」のところで、(1)出願時の費用が、
「登録査定」の後で、(2)登録時の費用がかかります。

具体的な金額は、以下のようになります。

※注意※
下記は、2022年4月現在の金額です。
将来、法改正により変更となる可能性がありますので、ご注意ください

(1)出願時
➡出願料: 3,400円+(区分数×8,600円)

(2)登録時
➡商標登録料: 区分数×32,900円 ※10年分

「区分数」というのは、後ほどまた別の記事で詳しくご説明しますが、簡単に言うと、「商標登録をしたい商品・サービスが分類されるクラスの数」だとご理解ください。とりあえず、商品やサービスの種別が増えれば増えるほど、費用は多くかかる可能性があるということをご理解ください。

というわけで、商標登録(※10年)をするために最低限かかる費用(区分数が1つ)としては

総額で44,900円がかかる

ということになります。

なお、上記の(2)登録時の商標登録料は、「10年分」の金額です

この商標登録料は、10年分を一括して支払ってもいいですし、5年分ずつ2回に分けて支払うこともできます。ただし、2回に分けて支払う場合、後半分を所定の期限内に支払い忘れると、途中で商標登録が消滅となりますので、注意が必要です。

ちなみに、2回に分けて支払う場合は、「区分数×17,200円」×2回ということになります。実は、分割払いにすると、総額では1区分につき1,500円の割高となりますので注意が必要です。

※2022年4月1日以前は、分割払いにすると、総額では1区分につき約4,000円の割高となっていたのですが、料金改定により、現在では1区分につき1,500円程度の差額で済むようになりました。

このように、商標登録料を2回の分割払いにすると、手続が面倒となり、しかも、金額も少々割高になりますので、何か特別な事情(例:明らかに短期間しか商標登録が必要ない、5年後にはもうその商標を使っていない可能性が考えられる、今だけお金があまりないなど)がない限りは、はっきり言って、メリットはありません。

2.審査で引っかかってしまった場合の費用

上記の費用は、「審査にスムーズにパスできた場合」の話です。

審査で引っかかってしまった場合は、対応によって、追加で費用が必要となるケースがありますので、注意してください。

特に、後述のように特許事務所に依頼をする場合は、審査に引っかかるか引っかからないかで、かかる費用が大きく変動する場合があります。

3.特許事務所(弁理士)に依頼をする場合は?

特許事務所(弁理士)に商標登録を依頼する場合は、上記の費用に加えて、別途サービス手数料(弁理士報酬)がかかりますので、注意してください。

具体的な料金は、特許事務所(弁理士)によってピンキリです。

ですので、特許事務所(弁理士)への依頼を考えている場合は、必ず事前にコンタクトをとって、費用の見積りを出してもらうようにしてください

最近では、同業者として信じられないくらい激安のところもあります。
ただ、当たり前ですが、どの特許事務所(弁理士)に依頼しても、同じレベルの同じサービスが受けられるわけではありません。講師とかコンサルタントなどと同じです。

商標登録にも、専門性や個々のスキル・センスが問われますので、属人性の高い依頼となることには、くれぐれもご留意ください。

ですから、料金の安さを基準として特許事務所(弁理士)を選んだり、その前提として相見積もりをとったりするのは、まったくもってナンセンスなのです。

どの業種も同じですが、普通に考えて、ありえないくらいの激安料金設定であれば、それだけ数を多くこなさなければ、事業者の利益はでないことになります。そうすると、仮に手抜きをされても、ある意味仕方がないというのは、肝に銘じておく必要があるでしょう。

料金の安さをウリにしている特許事務所(弁理士)の中には、(2)登録時の商標登録料の見積もりを、勝手に分割払いを前提とした上で、前半の5年分の金額だけを提示してくるケースがあると聞いたことがあります。こうすることで、10年分一括払いの場合よりも「総額で安く見せかけることができるから」らしいです。

しかし、上述のように、2回に分けて商標登録料を支払うと、結局、トータルすれば割高になります。また、後半分の支払い時には、特許事務所(弁理士)の手数料も余計に取られる可能性もあります

この話を耳にするたびに、「姑息だなぁ」といつも思います(苦笑)。
依頼人とトラブルにならないのでしょうか?
少なくとも、誠実な業務遂行が求められる弁理士がやることではないと、私は思います。

もし、貴社が特許事務所(弁理士)から提示された見積りの中で、頼んでもいないのに商標登録料の金額が分割払いの前半分(17,200円)だけとなっている場合には、くれぐれも誤解のないようご注意くださいませ。

繰り返しになりますが、特別な事情がない限りは、商標登録料を2回に分けて支払うメリットは(少なくとも依頼人側には)ありません!

以上、今回は「商標登録にかかる費用はどれくらいか?」を、お話しいたしました。
特許事務所(弁理士)に依頼をすると、たしかに費用としてはだいぶん増えてしまいますが、自分でやって失敗したら本末転倒ですので、このあたりはよくお考えになられた方が良いでしょう。

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【企業・経営者向け】
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