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【読書記録】むかしむかしあるところに、死体がありました。

こんにちは、卯月トウヤです。
『むかしむかしあるところに、死体がありました。』の感想です。

話ごとにさらっと感想書いていきます。ネタバレはして……ないか?犯人やトリックは少なくとも書いてないはずです。多分。

感想

一寸法師の不在証明

一、二節は普通に一寸法師の話です。三節からミステリになります。一寸法師がお姫様と結婚した後の話です。
姫様に仕える男が探偵役で、黒三日月という謎の検非違使(警察的な人)とある村で起きた殺人事件を解いていきます。
この事件に一寸法師が関わっているんですが、一寸法師いわく「犯行時間、自分は鬼の腹の中にいて、現場にはいなかった」。
タイトルの”不在証明”は、「鬼の腹にいなかった=事件現場にいた」の証明って意味かな?と思いました。
一寸法師からは逆の図式だし。こういうタイトルのつけ方好きなんですよね。あっ犯人言ってるや……タイトルから分かるからいいか……。
黒三日月の正体は最後に分かります。ちゃんと随所にそれっぽい文章があるので、もしかしたら分かるかも?

花咲か死者伝言

これも「はなさかじいさん」の後の話です。この中で一番好きな話。
犯人が意外というか……オオゥ(;´Д`)……となりました。うん。
はなさかじいさんの家に、二代目の犬が来て、その犬視点の話です。
伏線が一番分かりやすかったかな?普段推理しながら読まないからなんとも言えないけど、犯人の目星は付きやすかったです。まあ村人たちの滅茶苦茶な推理で惑わされたが……。
犬視点、犬の語りで物語が進んでいく理由は最後に分かります。
最後の一文でタイトルの意味も分かります。最後の方なんて「い……いぬぅ……あばばばば……」なんて訳の分からん感情になりました。

つるの倒叙返し

倒叙は、犯人が分かった上で展開される話だそうです。
つまり犯人の所につるが恩返しに来ます。全力で止めたいです。前2つと違って、進行する物語の中にミステリが入ってるので、「つるの恩返し」の話なんて、、うわべだけのきれいごとだ!的な気分になります。これが真実だったら嫌ですね。
ポイントは倒叙「返し」です。
読み終わった後に、読む順番の指示があります。この通りに読んでいくと、「返し」の意味が分かるんですよね。読んで「スゲー」なんて陳腐なことを言ってしまいました。最初からすごいのに。
番号順→指示順で読んでも文章に違和感がないです。だからスゲーなんて言ってしまったんでしょう。
この本の中で一番内容が嫌な感じです。でもミステリとしては好き……。

密室龍宮城

これも物語の中にミステリがあるやつです。推理しないで読み進めていくもんだから浦島の推理にグルングルン振り回されました。
龍宮城で起こった殺人事件に、唯一の部外者である浦島太郎が探偵役として、事件を解こうとします。
これは犯人が巧妙でした。解けなくてもしょうがない。ちゃんと伏線はあるんですけど、分かりにくいというか私はスルーしてました。あと覚えてられない。魚の特性ムズカシイ……。
犯人も意外だったしトリックも大胆なんで、推理せずにさっさと読み進めた方がいいと思います。最後に浦島太郎も真相に気づきますしね。解ける人には解けるんだろうけど……。地図が出てくるのは……ムズカシイよ……。
しいて言うならあんまり事件後に出てこない、描かれていない人が犯人?

絶海の鬼ヶ島

これも地図が出てきます。ムズカシイです。
これは「桃太郎」の後の話です。鬼ヶ島で、桃太郎が恐ろしい伝説として語り継がれています。
アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」的な話です。それの鬼ヶ島バージョン。絶海の鬼ヶ島で次々と鬼が殺されていく……犯人は伝説の桃太郎……!?って感じです。
犯人の目星は龍宮城と似てます。鍵は「桃太郎伝説」と「鬼の特徴」?
犯人の正体と犯人の持つ秘密には衝撃が走りました。犯行理由なんて単純というか、ええ……そうなる?……そうなるのかぁ……って感じです。
最後の語りにビックリしてください。

まとめ

いわゆるイヤミス(嫌な結末のミステリ)ですけど、私は結構好きでした。表紙の絵とのギャップがすごいです。
どれもコナンというか金田一少年みたいな事件です。……この例えは通じるんだろうか。
どの話にも打ち出の小槌とかの『不思議アイテム』が出てきますが、能力に矛盾が無いのがすごいと思います。さっきからすごいしか言ってないな……。
共通して、出てくる人みんなリアルです。昔話をこんなにリアルに落とし込むとは。2時間物の遺産相続争いのミステリ?サスペンス?のドラマみたいに人間の本性とかエゴがダイレクトに出てます。
一話完結で、文庫版もでたので読みやすいです。
さて次は赤ずきんの感想だ。



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