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社会人1年目。落書き帳のように、色々なことをてきとうに綴っています。コメントも歓迎しま…

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社会人1年目。落書き帳のように、色々なことをてきとうに綴っています。コメントも歓迎します。

最近の記事

好きな本8冊をまとめてみた

社会人として働き始めて2ヶ月が経った。思ったよりも辛い。社会人は生き急ぎすぎている。そんなに急いで、いったいどうするというのか。時には立ち止まって、物思いに耽ったり、感傷に浸ったりする時間だって必要だろうに。息がつまるような都会の日常を生きていると、地方での静かな暮らしに妙な憧憬を覚える。それでパオロ・コニェッティの『帰れない山』を読み返してみたり、ヘルマン・ヘッセの『郷愁』に手を伸ばしてみたりする。 働き始めると本が読めなくなることを説く新書が売れているらしい。わからなく

    • 社会人2ヶ月目に思うこと

      社会人になり2ヶ月が過ぎた。いま思う、とりとめのないことについて、備忘録のようなものとして書き残しておきたい。 社会人になったら、ページをめくるように見える景色が一変すると思っていた。けれど、実際にはそんなドラスティックな変化は起こらなくて、これまで紡いできた日常が、昨日も、今日も、そしてきっと明日も淡々と流れてゆく。大学生だった頃、フランス人のペンフレンドから「日本人は働きすぎよ。どうかあなたは仕事に人生を捧げるような人間にはならないでね」という趣旨の手紙をもらった。僕は

      • (雑感)すべて真夜中の恋人たち

        川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』を読み終え、冒頭に引用した言葉が心に引っかかっている。ざっくりと背景を説明すると、主人公は内気な性格で友達も少ないフリー校閲者・入江冬子。唯一の友人といえるのは、取引相手でもある出版社の校閲社員・石川聖だけ。石川は社交的な性格だが、自分の意見を正しいと信じて疑わない性格から、彼女を苦手とする人も少なくない。入江は三束という男に惹かれてゆき、プライベートにずけずけと踏み込む石川を鬱陶しく思うようになる。石川と次第に距離をとってゆくも、石川は入

        • 音楽は歌詞なり

          学生だった頃、毎晩のように音楽を聴いた。あの頃は家でもよく酒を飲んでいて、大学4年の夏くらいまではラフロイグやボウモアなどスモーキーなアイラモルトを偏愛した。とはいえ、いかんせん高いものだから次第にボンベイ・サファイアをソーダで割って飲むようになり、果てには二階堂の水割りに着地したのだが。照明を落とした部屋でグラス片手に音楽を聴く時間はいつだって幸福で、永遠に続きそうな夜をこれまで幾度も超えてきた。 家で音楽を聴くとき、歌詞カードは欠かせない。パソコンに歌詞を表示させて、そ

        好きな本8冊をまとめてみた

          雨の音が好き

          周回遅れではあるが、僕もあの邪悪なウイルスに感染してしまった。喉の痛みから始まり、咳と痰が出て、体の節々が痛くなり、発熱し、果てには味覚がなくなった。内科で薬の処方を受けて、少しは良くなったけれど、味覚はいまだに戻らない。茶漬けをすすっていても、牛丼をかき込んでいても、それらの食感こそ感じられど、味はさっぱりわからない。食べているから腹は満たされる。けれど、ぜんぜん食べたという気はしない。味覚ってすごかったんだね。 こういうことを言ってしまうのは不謹慎だと思うけど、病気にな

          雨の音が好き

          ひとりの時間が手放せなくて

          4月にいまの会社に入社して、1ヶ月が経つ。はじめは敬語とタメ口を混ぜ合わせながら、よそよそしく接していた同期たちとの距離も、それなりに近づいたと思う。この期間に人間関係の地図もおおむね出来上がってきたようで、気の合う男女が何人かできた。なにかのルールに従っているかのように、春という時期は、どうしてだか人と会う回数がぐんと増える。僕も毎週末、飲み会に参加したり、気の合う男女と東京や横浜の街を歩いて過ごしたりした。 友人と会い、酒を飲んだり街を歩いたりしている時間は幸せだ。冗談

          ひとりの時間が手放せなくて

          人間関係って難しいよね

          村上春樹のエルサレム賞受賞スピーチではないけれど、僕はこれまで、相対的に声が小さく、弱い人の側に立つことを意識して振る舞ってきた。たとえそれが自分の本意に反するものだとしても、大勢がある人を罵るのならば、僕はある人の側に立ち、その人のフォローをする。集団で個人に覆い被さる状況なんて、できれば見たくない。どれほど流れの強い川であっても、それに逆らうように進む魚は、流れに対する小さな抵抗になるはずだ。 ある種のエゴイズムを帯びた僕の態度は、ひるがえって僕自身の立場を曖昧にして、

          人間関係って難しいよね

          大学生活を振り返る

          2020年から4年にわたって僕に与えられた「学生」という身分は、ある人にとっては、いささかの甘美な響きを持つものに聞こえるかもしれない。しかしその実質は、ペトリコールの匂いのような、不快だけれども癖になるといった独特の性質を持つようなものだった。 入学当初、日本列島はコロナ禍に襲われた。 そもそも僕は高校生の頃、大学進学に強い意志はなかった。とにかく勉強が嫌いで、他方では自然豊かな地方に憧憬があった。そこで、極めて安直な発想ではあるけれど、北海道で酪農業を営む事業主を探し

          大学生活を振り返る

          基本的に僕は自分のことが好きなのだけれど、ときどき嫌な自分がふっと現れて、ふっと消えてゆく。静かに消えた嫌な自分の残り香にむせながら、ああ、人生って辛いなあって、ちいさくつぶやく。

          基本的に僕は自分のことが好きなのだけれど、ときどき嫌な自分がふっと現れて、ふっと消えてゆく。静かに消えた嫌な自分の残り香にむせながら、ああ、人生って辛いなあって、ちいさくつぶやく。

          練習なしで大阪ラソンを走った

          2月25日に開催された大阪マラソンを走ってきた。あのハルキ・ムラカミやシンヤ・ヤマナカを夢中にさせるフルマラソンとは、なんぼのもんじゃいと漠然とした興味はあったのだが、実際に走るにはなかなかハードルが高く敬遠していた。そうしたところ、偶然の機会に恵まれて大阪マラソンの出場権を得た、いや、得てしまった。ホント、棚からぼたもちみたいな感じである。 初マラソンがかの有名な大阪マラソンになるとは、実にありがたいことだ。出場が決まった翌週にスポーツ用品店へと赴き、タイツやウェア、靴な

          練習なしで大阪ラソンを走った

          普段はお茶目なバイト先のおばちゃんが、何気ない雑談の中で「私ら庶民や企業は節約のために努力してるのに、政治は裏金とか私欲ばっかり。国民を舐めてる」と言っていて、なんか良かった。みんな、心の中では怒ってるんだよな。

          普段はお茶目なバイト先のおばちゃんが、何気ない雑談の中で「私ら庶民や企業は節約のために努力してるのに、政治は裏金とか私欲ばっかり。国民を舐めてる」と言っていて、なんか良かった。みんな、心の中では怒ってるんだよな。

          大学四年の冬。モラトリアムの現場より。

          12時ごろに起きた。朝食を食べて、身支度をしてから、15時のおやつにとクリスピー・クリーム・ドーナツを電車に乗って新大阪駅まで買いに行った。オリジナル・グレーズド2こと、チョコスプリンクル1こ。オリジナルには丸ぽちを打つのに、チョコスプリンクルには丸ぽちを打たないのはなぜ。教えて、村上春樹。僕が会計をしていると、出張で大阪に来たと思しきコロコロを引いた会社員も、オリジナル・グレーズドを買ってた。わかる。疲れた時こそ、甘いものが食べたくなるよね。頑張ってね、お仕事。そんなエール

          大学四年の冬。モラトリアムの現場より。

          パパ活女子と、成金野郎と、大塚家具にいたある少女と

          大塚家具が「大塚家具」だった頃、名古屋市内にガラス張りのショールームがあった。中学生の頃だったと記憶している。アートアクアリウムの展覧会に向かっている途中、大塚家具のショールーム沿いを歩いた。あの頃の大塚家具は、”金持ちのための家具屋”という感じで、ニトリや街の小さな家具店で家具を買い揃えるわれわれが足を踏み入れるべき場所ではなかった。噂によれば、店に入ればホテルのコンシェルジュの如く店員が客をエスコートして、マンツーマンの接客をしてくれるとのことだった。店員を探そうとも、な

          パパ活女子と、成金野郎と、大塚家具にいたある少女と

          なんとなく寂しかった、ある日の記録

          午前11時に起きて、シャワーを浴びる。身支度を整え、4限のゼミに出席するために、家を出た。大学に着いた時、ゼミが始まるまでまだ時間があったから、購買部の書店にふらりと立ち寄った。装着されたApple社製の純正イヤホンからは羊文学の楽曲が流れていた。 著者の五十音順で陳列された文庫コーナーを、”あ”から順にゆっくりと見てゆく。江國香織、小川洋子、恩田陸。知っている作家の名前から順に視界に入ってくる。江國の手前に、石沢麻依の名前を見つける。初めて聞く作家だ。忘却に抗う言語芸術の

          なんとなく寂しかった、ある日の記録

          羊文学と誰かの魔法

          アルバイト先のボスは、いつも仕事中にFMラジオを流しながら働いている。音量は小さすぎず、大きすぎず。暇なときにぼうっとしていると、すっと耳に入ってくるくらいのボリュームだ。FMラジオでは、某作詞家A・Yが女の子を連れて食べ歩きをしたり、パーソナリティがゲストと人生論を論議していたりしている。そして、そんなカオスな番組を囲むように、バラエティ豊かな音楽番組がタイムテーブルをぎゅっと埋め尽くしているらしい。 放送される音楽の多くは洋楽やK-POPで、聴いていても歌詞はあまり理解

          羊文学と誰かの魔法