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【詩の森】489 どっちなんだろう

どっちなんだろう
 
元首相が遊説中に凶弾に斃れたとき
民主主義の危機だと騒がれた
今また現首相が暴漢に襲われると
やはり民主主義の危機だという
いっているのは政治家である
しかし民主主義の危機とはいかなるものか
問題の宗教団体とずぶずぶだった政治家たち
今回の暴徒は
公選法に政治参加を阻まれた若者だった
一概に一方だけを責めることは
できないのではあるまいか
政治家の堕落と暴徒による暴力
民主主義の危機は本当はどっちなんだろう
 
日本の国民負担率は48%
スウェーデンは59%だそうだ
新自由主義が跋扈してこの方
この国では
自己責任だけがやけに喧伝される
しかし自己負担率からみれば
自己責任と政治責任が半々というのが
妥当なところではないだろうか
スウェーデンは
医療も教育費もほぼ無料
支払っても返って来るのが実感できるという
だから貯蓄する必要さえないのだという
日本とスウェーデンの自己負担率
本当に高いのはどっちなんだろう
 
スウェーデンといえば
その投票率は常に80%以上
せいぜい50%台のこの国とは雲泥の差だ
新聞は史上最低を更新などと
書き立ててはいるが
投票率アップキャンペーンを張るわけでもない
批評を忘れた新聞にとって
他人事でしかないのだろう
この国は気力も覇気もなく
このまま老いてゆくのだろうか
自公の最強タッグに
小選挙制・低投票率が味方して
政権の座は当分揺るがないだろう
そのせいか政治家の成り手がいないという
 
若者よ来たれ!といいたいが
公選法が若者をそして有権者を
政治から遠ざけている
十八歳未満の選挙運動禁止 選挙期間の設定
そして個別訪問の禁止などがそれだ
若者がそれに気づき
自分たちの『推し』を作って
政界に乗り出せば
事態は進展するかもしれない
しかし若者は受験戦争に縛られ
学業の世界に閉じ込められている
権力の座にしがみつく政治家と
諦めてしまった有権者
悪いのはどっちなんだろう
 
しかし自立を諦めて
米国の言い成りになったあげく
滅ぶのはこの国なのだ
だから僕は敢えていいたい
僕ら老人も頑張るから若者よ来たれ!と―――
スウェーデンの投票率80%は
彼らが『推し』を選べているということだ
政治家が信用できると彼らはいう
彼らは間違いなく有能な人を選び
59%の負担率で安心を手に入れた
片や僕らは有能な人を選べず
48%もの負担率で何を手に入れたのか
軍事費倍増で負担はさらに増えるだろう
賢いのはどっちなんだろう
 

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