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構造デザインの講義【トピック4:鉄・鋼による構造とデザイン】第6講:長大スパンの構造の発展

大スパン構造の原理とデザインは、建築も、土木も、一緒です

東京理科大学・工学部建築学科、講義「建築構造デザイン」の教材(一部)です



ブルックリン橋

ニューヨークのマンハッタンとブルックリンを結ぶブルックリン橋は、長さ487m、完成は1883年です。
ブルックリン橋は、両側に遊歩道が設けられており、車両とともに、多くの人々が行き交っています。
遊歩道は、意外と広く感じられます。

吊橋としてのメインケーブルの存在感、そしてケーソンの支柱から蜘蛛の巣状に伸びる

ブルックリン橋は、ワイヤー・ロープが支柱から伸び、蜘蛛の巣のように張り巡らされ、特徴的な表現となっています。
吊橋と斜張橋の併用の構造です。
ワイヤーは、高強度の材料を使用し、耐久性向上のため亜鉛メッキが施されています。
吊橋の支柱となるケーソン(箱状の構造体)は、その存在感によって、橋を利用する人々に印象を与えています。

ワイヤー・ロープによる斜張橋が併用された構造表現は、大きな印象を与えている
(写真:Pixabay, https://pixabay.com/ja/)

フォース橋

長大スパンの構造では、支柱まわりの反力によって大きな曲げが生じます。
強度と剛性を確保するための構造を設けることが重要です。

橋は、船の航行のために橋下のスペースを確保する必要があります。
フォース橋は、支柱に構造体を集約し、支柱間の橋下スペースを確保しています。
この区間では、アーチ形状の下弦材を見ることができます。

川や海に架かる橋は、船の航行、すなわち高さと幅をもったスペースが必要となる
支柱やその周囲の構造体を強固にし、航行のためのスペースを軽やかに構成する
(写真:Pixabay, https://pixabay.com/ja/)

遠景より見るフォース橋は、異形の様相を見せています。
これは、長大スパンの構造原理からすると、理にかなった形状なのです。

東京ゲートブリッジには、ゲルバー梁の構造原理が生かされている

ゲルバー梁と呼ばれる、この構造原理は、橋だけでなく、大空間建築の構造としても利用されています。
パリ・ポンピドゥーセンター、ルノーセンター、酒田市国体記念体育館、などに見ることができます。

ポンピドゥーセンター
(写真:Pixabay, https://pixabay.com/ja/)
ルノーセンター
ゲルバー梁の構造原理は、現代の大空間建築の構造技術にも応用されている
(写真:https://mobsea.com/)

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