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フローラの遺言/プシュケの伝言


フローラの遺言

魂が揺らぐこの季節
風が身体を撫で時を告げる
生まれては咲き 散っては消える
この世の摂理
形あるものに、永遠はない
魂は風に誘われ再び私は、旅に出る
もう、あなたと会う事は叶わない
私はあなたを忘れない
共に語った日々をこの胸に、長い旅路の糧として
もしも永遠を思うなら
私を覚えていてほしい
私の姿を香りを
そのすべてを
またこの地に咲いたその時に
微かに疼く残り香として

「フローラの遺言」
150×100㎜/インク・ケント紙

参加作品

*現在開催中、明日9月7日(木)より後半開催~9月10日(日)まで

プシュケの伝言

風が攫う
花弁を揺らし、この手から永遠に
美しい花の時はあまりにも短い
巡り合い 愛し合い
言葉なくとも触れることで語り合った日々を
一陣の風が薙ぎ払う
残酷な風の神よ
何故にこの世の花は消えて逝く
エルシオンの花園 永久の開花と願えども
消えるが定めのこの逢瀬に
この身が焦がれるこの恋情に
君よ、微笑むのか
散るが夢見る壮麗さか
残り香の夢よ
黄泉へと還るその魂へ
伝えよこの思いのすべて
枯れて流す
この血潮の思い

「プシュケの伝言」
150×100㎜/インク・ケント紙

*9月11日(月)より開催「幻想の扉」GINZA ギャラリーステージワン
近日告知予定

花と蝶の物語

花と蝶は静物画でもよく使われるモチーフである。
バロック絵画の画集を見ると、精密に描かれた花のそばに蝶が描かれているものをよく見かけた。
よく見ると花弁の一枚に赤い点が描かれていたりする事にその表現の細かさに感嘆したことがあった。
形あるものには必ず終わりが存在する。
ヴァニタスとよばれるその静物画は「人生の虚しさ」「儚さ」を表現したものだ。
絵を見るのが好きでよく美術館に通ったり、図象学の本を愛読していたことがある。美大などには通ってないので学問的に理解しているのか分からないが、絵を読み解くのに参考にしていた。
物事には偶然はなく、偶然に起きたことに理由を付けることで必然にもできる。そう思えば、この世のすべてのものには意味があるように思えてならない。自身の事を理解されないという思いがあったので、この世のものには意味があると思って自分というものを保っていたのかもしれない。

「フローラの遺言」と「プシュケの伝言」に描かれているモチーフは、花と蝶。同じもので違う印象を描きたくて対にした作品である。
こと、同じモチーフで会話をしても目の前のものを同じイメージで語ることは不可能に近い。生きてきた時間が違い、価値観が違う。記憶してきた出来事もそれぞれ違うので、同じ「花」と「蝶」でも見える世界は違うのではないかというのがこの作品の核になる。
ちょうど、同じ月に「希望」と「幻想」の二つのテーマの二つの展示に参加する。同じ「思い」でも伝え方と受け取り方によって違うものになるように考えて制作した。

自分の終わりを受け入れ未来に思いをはせる「花」
思う相手との別れを受け入れられない「蝶」

同じ時と場所で共に過ごしてきても、それぞれにすれ違う
理解し合えないこと、思い合えないこと
何がその「すれ違い」を生むのだろうか
この世のものにすべて意味があるのなら、そのすれ違いにも意味があるのか・・
自分の昔を思いながら、すれ違う花と蝶の物語を描きました。

お近くの際は是非、ご覧ください。

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