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徒然に読書メモ

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本の感想に主眼を置いた投稿をまとめています、何らかのきっかけになれば、望外の喜びです。
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いろいろ悩みましたが、、【 #愛読書で自己紹介 】

 新年に入りふと思い立ち、少し前から note を始めているのですが、読書系の記事を辿っているうち、面白そうな企画「#愛読書で自己紹介」を拝見したので便乗させていただこうかな、と。 正直、3人・3冊に絞り込むのはどうにも悩ましかったのですが、、今回はこちらの3作品にしてみました。 『桜宵』(北森鴻)  三軒茶屋の路地裏に静かにたたずむ「香菜里屋」というバーを舞台とした連作短編集です。中でも特に印象に残っているのが「桜宵」の一編、「御衣黄」と呼ばれる、その名が示すように「

【読書メモ】『古都』(著:川端康成)

先日、写真と共に思い出した京都旅行から連想したのが、こちらの『古都』との一冊。もう10年以上も前になりますが、同じ川端さんの『雪国』を読みたくなって訪れた書店で並べて置かれていたのを、その題名に惹かれて手に取った覚えがあります。 舞台となるのは、その題名にもなっている「京都」。背景となる時代は先の大戦の傷跡が癒えはじめたかにも見える昭和30年代でしょうか、しっとりと、そんな枕詞が似合いそうな物語でした。 移ろい行く四季と時代、日々の暮らしとその中に織りこまれている年中行事

【読書メモ】『祖父たちの零戦 Zero Fighters of Our Grandfathers』(著:神立尚紀)

少し前、卓球の早田ひな選手のインタビューが話題になっていました、「鹿児島の特攻資料館に行きたい、卓球ができていることが当たり前じゃないという事を感じてみたい」との事。 ご出身が九州との事もあるのかもしれませんが、世代的には早田さんから見て曽祖父母の時代くらいで”歴史”に切り替わりつつ事柄であるだけに、身近なことの一つとして、これからの日本で生きていく世代の方々が想いを馳せたいと話されるとは、大切にしていただきたい感性だと思います。 なんて感じながら思い出したのが『祖父たち

【読書メモ】『推し、燃ゆ』(著:宇佐見りん)

「聖地巡礼」との言葉は、一昔前は「オタク」「オタ活」なんて言葉とともに若干の揶揄が先行するような言い回しが主体でしたが、「推し活」との言葉と共に大分フラットに定着してきているのでしょうか。 まぁ、揶揄していた主体がオールドメディアであったことを踏まえると、既得権益業界としての無意識下の防衛本能の発露でもあったのかなぁ、なんて感じながら思い出したのが、『推し、燃ゆ』との一冊。 確か芥川賞(164回)を受賞されたのかな、普段は賞を取ったからとの理由で手に取ることはあまりないの

【読書メモ】『真相 ディープインパクト、デビューから引退まで今だから言えること』(著:池江敏行)

少し前に偶然にYoutubeで流し見した、大井競馬場での武豊さん、坂井瑠星さんのトークショーでの一言を聞いて思い出したのが『真相 ディープインパクト、デビューから引退まで今だから言えること』との一冊。 2004年から2006年にかけて中央競馬(JRA)を席巻した、無敗の三冠馬ディープインパクト。これはその調教を担当した、池江敏行さんによる回顧録、といったところでしょうか。 恐らくは競馬に馴染みがない人でも名前を聞いたことはあるであろうディープインパクト、他に一般的な知名度

【読書メモ】『日本の決意』(著:安倍晋三)

先日のパリ五輪閉会式でリオ五輪の時の「安倍マリオ演出」への再評価にて思い出した『日本の決意』との一冊。 2014年発行で、著作というよりは各国でのスピーチ集といった感じになりますが、第一次安倍政権の時(2006年)からブレなかった軸を読み取れる内容となっています。 基本的に第二次政権に入ってからのスピーチ集となっていますが、一つだけ第一次政権時のものが収録されています。それは平成19年(2007年)、インドの国会で総立ちの拍手で迎えられた時の「二つの海の交わり(Confl

【読書メモ】『旭山動物園のつくり方』(著:原子禅 / 写真:亀畑清隆)

県立レベルの博物館でも学芸員が3人、、収蔵物以外にも園内に国指定重要文化財、県指定有形文化財に指定されている古民家が複数設置されているそうですが、それらも管理対象に含めてるのであれば配置人数一桁間違ってませんか?、が、まずの感想です。 実際に現地を知っているわけではないので素人目線ですが、そりゃ、史料も資料もさばききれなくなるでしょうし、デジタルアーカイブ化もしたくなるよなぁ、なんて思ったりも。企画展示などもブラック化せずに定量的にできてるのでしょうか、、なんて懸念も覚えま

【読書メモ】『カフーを待ちわびて』(著:原田マハ)

毎年夏になると家族旅行をそこそこにしていました。家内が好きなこともあってか沖縄にもそれなりの頻度でお邪魔してたなぁ、なんて『カフーを待ちわびて』を思い出しながら。お気に入りな作家さんのお一人でもある、原田マハさんのデビュー作となります。 美術系小説が主軸な感じの原田さんですが、デビュー作は意外にもラブストーリー、確か宝島社の「ラブストーリー大賞」も受賞されていたような。 舞台は沖縄の小さな島・与那喜島、主人公はそこで雑貨屋を営む“友寄明青”。その彼がいたずら半分で絵馬に残

【読書メモ】『魔性の子(十二国記:EP0)』(著:小野不由美)

8月に入り立秋を迎えても酷暑は相変わらず、むしろ7月と比べると暑さは増しているような気分にしかならないのですが、、こういう時は怪談がいいのかなぁ、、と『魔性の子』を思い出しながら。 今現在は「十二国記」のエピソード0に位置づけられている一冊ですが、最初はナンバリングされていなかった気がします。こちらは新潮文庫、本編シリーズは講談社Xシリーズでと版元が分かれていたこともあると思いますけども。 題材となるのは"神隠し"、それも還り人の物語、となります。 一度は消えた人間が還

【読書メモ】『バンクーバー朝日 - 日系人野球チームの奇跡』(著:テッド・Y・フルモト)

いや何というか、真面目に「取り返しのつかない事」が起きる前に根本的な対策をしようよ、、空調のあるドームでいいじゃない。何で甲子園に囚われてるのよ、アサヒ、NHKあたりの利権か、なんてうがった見方もしたくなります。 今ちょうど行われているパリ五輪でも「選手村の食事で生肉やミミズ(というかアニサキス?)提供」、「セーヌ川でレプトスピラ症」、「移動バスも終着駅不明」等々、いろいろと山積ですが、何はともあれ、選手の皆さんがベストパフォーマンスを発揮できるように運営側は全力を尽くして

【読書メモ】『月に恋』(制作:ネイチャー・プロ編集室)

秋というフレーズを耳にすると思い出すのがこちらの『月に恋』との一冊。最初は図書館でのブラウジング中にふらっと出会いました、題名の示すとおりに“月”の写真集。面白いのは写真だけでなく、“言葉”もついていること。 古今東西、各地の月にまつわる神話・伝承からはじまり、和歌や俳句、月を表す単語の意味など、様々に。人は昔から月に“恋”してきたのだな、なんて。 個人的には“ひさかたの月の光のきよければ”なんてフレーズを思い浮かべますが、、さて暦の上では、夜更けが早まり、空気も冴えわた

【読書メモ】『KANO:1931海の向こうの甲子園』(著:魏徳聖/陳嘉蔚)

パリ五輪も折り返しを過ぎ、各種目でのメダリストも増えています。ここ数日では、フェンシングの躍進(団体すべてでメダル)や体操の岡さんの三冠(団体・個人・種目別)が凄いなぁ、なんて思いながら、近隣諸国の中では台湾の活躍具合が気になっており、こちらのバドミントンでの五輪連覇も凄いよなぁ、なんて嬉しくなったりも。 とか思いながらも、この時期になるとそろそろ夏の高校野球も意識の片隅に出始めてきたりします。 母校に野球部も無く高校野球にさほど思い入れがない身としては、「大阪ドーム(京

【読書メモ】『舟を編む』(著:三浦しをん)

(パリ五輪明けの)寝ぼけた頭で朝つけたら、ちょうどWOWOWで『舟を編む』の映画版が、途中からでしたがついつい観てしまいました。原作を丁寧に表現されてるよなぁ、久々に再読したいなぁ、なんて感じながら。 その原作の『舟を編む』、とてもやさしい物語と思います。大枠でいうと「辞書」をつくる物語で、登場人物たちはいずれも「個性」豊かでまぁ、「言葉オタク」といってしまえばそうなのですが、、 物事を突き詰めるということ、真摯に向き合うということ、そのすべてが愛おしく、そして真っ直ぐに

【読書メモ】『やってみたらええやん - パラ馬術に挑んだ二人』(著:和田章郎)

何でも馬術でのメダル獲得は92年ぶり、バロン西とも呼ばれた西竹一さん以来との事で、馬関連界隈のアカウント等々では大分ざわついていました(馬術、牧場、競馬、ライターさん etc…)。 JRA職員の家内も「快挙だね~」なんて話していて、「(出場選手のお一人でJRA職員の)戸本さん(本部に来た時に)メダル見せてくれないかな」とかなんとか、、ちなみにリオ五輪の原沢さんの銀メダルは生で見せてもらった!とも自慢されます、羨ましい。 さて今回の総合馬術、3日間かけてヴェルサイユ宮殿の中