秒速5センチメートルを見てこれ以上何を失えば…

こんにちは。好きな寿司ネタはつぶ貝です。

今更、秒速5センチメートルを見たので感想なんかをつらつらと。

『秒速5センチメートル』
『君の名は。』や『天気の子』の監督・新海誠の2007年公開のアニメ映画で「桜花抄」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」の三つの話から構成されている。
キャッチコピーは「どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか」


感想

私的には秒速5センチメートルは主人公・遠野貴樹の初恋の終わりを描いた作品だと思いました。

「桜花抄」で貴樹と初恋の相手・明里に会いに行くも雪の影響で19時の待ち合わせに間に合わず、刻々と孤独に時間が過ぎていく。これは「コスモナウト」での宇宙に向かうロケットに重なる。貴樹にとって明里はあるかもわからない深遠にあるはずと信じる世界の秘密だった。

ここで明里に会うという成功体験が貴樹が初恋を引きずってしまった要因になってしまったのではと思います。ここで明里と会ってキスをして世界の秘密に触れてしまって、そこに追いすがってしまった。

どんなに離れて孤独だとしても、きっとまた会えるのだと思ってしまった。だから種子島での貴樹はどこか空っぽで空虚に見えた。今は孤独な旅の途中だから自分から進んで孤独を演じているようにも見えた。

そして時は流れ、成人し就職した貴樹。しかし未だに初恋に囚われたままだった。3年付き合った彼女に1センチしか近づけなかったと振られるのがそれを表しているように思える。貴樹は明里の方を向いたままでいた。部屋にもどんどん物が増えていくのが彼の明里への蓄積された思いのようにも感じる。あの部屋は彼の心の中のようだ。

一方、対照的描かれるの明里。貴樹の思い出す彼女はよく本を読んでいたが、明里は本を読み終えている。あの瞬間に明里にとって貴樹はもう既に読み終えた本で思い出に変わってしまってると思った。

そして最後の踏切のシーンで貴樹は明里とすれ違い振り返る。
そこに明里の姿はなく。微笑み前に進みだす。

ここでようやく貴樹は初恋を終えることができたのだと思った。


新海誠監督が思っていた観客の反応と違ったと発言されていたらしいが、それはそうやろって思った。


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