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【コラム】乃木坂46 「君に叱られた」vs 「Actually…」

「ぽい」か「ぽくない」かという話。たしかに今回の曲は「ぽくない」気がする。しかし、じゃあ何が「ぽい」かと聞かれたらうまく表現することはできない。明るいから?暗いから?簡単に言えばそんな感じなのかもしれない。けれど例えば「命は美しい」なんてすごく乃木坂っ「ぽい」曲だと思うが、決して明るい曲ではない。パフォーマンス中もPVもほぼ笑顔はなく、テーマも重く刹那的である。ただ、最後には希望を歌った歌ではある。それは本当に僅かかもしれないが間違いなく底からでも立ち上がるというメッセージの曲であることは確かだ。
また「君に叱られた」も「ぽい」曲だと感じる。この曲は初めて聞いたとき、なんというか普通の曲というようなイメージが強かった。可もなく不可もなくみたいな。しかし、今となっては癒しが欲しいときに真っ先に聞きたい曲となった。それはなぜか。4期生の嘉喜は初センターであり緊張もあったはずだし、ましてや1期生の高山の卒業シングルの表題曲でもあるため、PVにはちょっと切ない演出もある。ただ、圧倒的に「笑顔」と「前進」の曲なのである。プレッシャーや緊張を吹っ飛ばすようなセンター嘉喜の笑顔とそれにつられるかの様に笑顔が溢れている回りのメンバーの様は、まったくもって最高なのである。見ているこちらまで笑顔になるような希望に溢れた曲なのである。

それに対し今回の「Actually…」は達観した人生観、ある意味ではあきらめ、を表現しているように感じる。できていない自分、足りてない自分を客観的に見る冷たさのような。それも極論、希望ではあるもののこの曲でそこにたどり着くのは難しい。聞いていて、なんとなく苦しさを感じるのである。もちろんそれが悪いわけではなく、そのカッコよさだとか表現力の幅という点においては正直「君に叱られた」より高く感じる。だとしてもやはり胸を締めつけられるような雰囲気は聞く側にも覚悟が求められるし、体力も必要なのである。

「ぽい」とか「ぽくない」とかで良曲か駄作かを決めることは決してできない。大衆受けする曲が良曲だとも思えない。それを踏まえても、やっぱりアイドル曲には笑顔と希望と癒しを求める。疲れて家に帰って、何もしたくない時、自分に向けられる笑顔はきっと何よりの希望なのである。

そして自然と「君に叱られた」が聞きたくなるのである。

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