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パパ、飛びます。『スカイスクレイパー』

 ロック様は大きいものと並べると映える。それは装甲車だったり巨大なゴリラだったりするわけだが、何を狂ったか今回のお相手は高さ1,000メートルの高層ビルで、それをよじ登らせようというのだから、これはもう『キングコング』最新作と言ってもいいかもしれない。ゴリラと共闘したゴリラが、ついに髑髏島の巨神にオマージュを捧げるというのだから、怪獣映画とSASUKEが好きなら絶対に見逃してはならない。

FBIの特殊部隊員ウィルは、とある事件で左脚が義足になる大怪我を負い辞職する。それから10年後、ウィルは愛する妻と子どもに囲まれ、危機管理コンサルタントとして幸せに暮らしていた。そんな彼に舞い込んできたのは、香港に建設された高さ3500フィート(1066メートル)の史上最大のビル「ザ・パール」の安全管理の査定。充実した防災設備を理由にウィルは上層階の稼動を承認するも、テロリストグループによってパールに火災が発生。妻と子どもがパールに取り残されたことを知ったウィルは、単身で燃え盛る高層ビルに立ち向かう。

 80年代アクション映画そのままの作風が楽しい傑作『ザ・プレデター』が公開中だが、本作もまた往年の名作を彷彿とさせる点が多く挙げられる。燃える高層ビルといえば『タワーリング・インフェルノ』だし、さらわれた娘のために奔走するプロットはさながら『コマンドー』だ。本作のロック様演じるウィルは元特殊部隊の危機管理コンサルタントというまたしてもワガママな経歴の持ち主だが、そうしたキャラクターに説得力を持たせるだけのイメージを確立させているのは『ランペイジ』でも証明済み。愛する家族のため、とてもあの巨体を支えられるとは思えないほどか細い命綱一本でビルをよじ登ったり、接触すればコマ切れになること間違いなしの風力発電機に飛び込んだりと危なっかしさ満載なため、上映中ずっとハラハラさせられる。パニック映画の主役も軽々こなすロック様に、もうメロメロだ。

 ちなみに、本作を撮ったのはあの大傑作『セントラル・インテリジェンス』に続き二度目のタッグとなるローソン・マーシャル・サーバー。あのロック様を2017年屈指の萌えキャラにまで昇華させたあの鬼才による演出により、今作のザ・ロックも愛嬌バッチリの最強パパに仕上がっている。ちなみに、その大傑作がAmazonプライム・ビデオで見放題配信中(9/24現在)のため、見逃してた方は今すぐ鑑賞していただきたい。

 ジャンル映画のお約束×ロック様。これ以上なく信頼できる組み合わせだけで、ある程度の面白さは保証されている。高所恐怖症の方なら目を背けたくなるシーンも沢山あるし、綱渡りやエレベーター高速落下など(観ている分には)エンタメ性バッチリだ。3Dや4Dとの相性の良さも想像に難くないし、スマートフォンやPCモニターでは没入感を得ることが出来ない題材なのは誰の目にも明らかだ。

 ヒット作連発のザ・ロックことドウェイン・ジョンソン。片足が義足程度のハンデを物ともせず、やたら粘着テープに命を託しがちな最強パパをこれまた嬉々と演じているため、それだけで元を取れると確信できたならオススメだ。高尚なテーマとは無縁でも、鑑賞中楽しければそれでいい。次回作はぜひモンスターバースに合流して、ゴジラVSコングの対決に乱入するぐらいの無茶苦茶な企画も観てみたい…ような気のする、景気の良い一作だ。


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