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【サマーハニー・シーズン】桑山千雪 #シャニマスコミュ感想文2019

 ドーモ、伝書鳩Pだ。今回はこのような素敵な企画に参加させていただき、来たるクリスマスへの道のりをお気持ち怪文書で埋めることにしたシャニマス怪人の一人となった。あと、今日12月18日は伝書鳩Pの誕生日なので、後で各自フェザージュエルを持って私の元に来るように。いいね?

 季節は冬。クリスマスやお正月が迫り慌ただしくなる中、今回の企画にはこのような見出しがある。「今年の感想、今年のうちに!」だ。素晴らしい。やり残したことがあっては心地よく新年を迎えられないし、お気持ちを表明するのはPにとっては呼吸も同然だが、まぁこれも仕事納めの一環ということにして2019年を振り返り…おれはあることを思いだした。

 おれの夏を独り占めしたニクい女の話をしていないじゃないか。厳しい暑さが日本列島を襲う7月31日に実装された【サマーハニー・シーズン】桑山千雪。おれはこのアイドルを手に入れるまでの衝撃のノンフィクションを投稿しておきながら、そのコミュの内容については一切触れていないという体たらく。担当アイドルの魅力をプレゼンすることを怠っていた時点で、プロデューサー失格モノの大失態だ。なんと罵られようと言い逃れできない、無様な姿を晒してしまっている。本当に申し訳ない。

 なので、今回はシャニマスお気持ち表明文・年末大掃除スペシャルということで、白い肌が眩しい千雪の話をする。させてください。クリスマスへのカウントダウン企画なのに水着とは何とも不恰好だが、これもおれの不徳の致すところであって、千雪は何も悪くない。石を投げるならおれに向かって投げろ。もちろんこの場合の「石」とはジュエルを指す。

What should I say?

 とある夏の朝、ランニングの休憩に公園に立ち寄った千雪は、早朝のまだ涼しい時間に出勤をしていたプロデューサーと鉢合わせる。偶然の出会いに二人は他愛のない会話を交わすが、プロデューサーは時間に追われ、慌ててその場を後にする。午後には撮影の打ち合わせを控えていて、「また後で」と別れる二人。その背中を見送りながら、千雪は言えなかった言葉を反芻する。

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 仕事に追われるプロデューサーを引き留めることができず、千雪は「言いたかった言葉」を飲み込んでしまう。プロデューサーに会えて嬉しかったということ、「邪魔したな」という言葉にそうじゃないんですって伝えたかったこと。千雪はみんなより大人だから、より大人のプロデューサーの多忙さを察して、自分の気持ちを一人で抱え込む。

 上記の画像を見て、細やかな感情表現に目を凝らし、このアイドルをお持ちなら今一度音声を聴きかえしてみて欲しい。言えなかった言葉を飲み込む際の寂しげな表情、誰にも届かない気持ちを密かに口にしてみるいじらしさを、「…………なんて」で結ぶ。シャニマスくんは情緒で人を殺そうとしているのがハッキリしただろう。現状283プロ唯一の社会人からアイドルへ転向した経緯を自覚しすぎているのか、シャニマス公式HPのプロフィールには「みんなのお姉さんとして、しっかりしなくちゃですね 桑山千雪、アイドル頑張ります♪」という記述がある。頼りがいがあって理解のあるお姉さんであろうとする千雪は、嬉しかったという些細な気持ちさえ伝えられず、本心を押し殺してしまう。その奥ゆかしさが桑山千雪の魅力であり、同時に切なくも感じられてしまう。序盤から鬼みたいなコミュだと思いません??

コ・コ・ロ・グラデーション

 「―綺麗な色だな」事務所に来る途中のカフェで見つけたレモネードを眺めていた千雪の耳に、プロデューサーの声が届いた。綺麗な黄色と青のグラデーションのレモネード、味を聞くと、千雪はまだ飲んだことがないという。「せっかく綺麗なグラデーションなのに、混ざってしまうから…」と。

 レモネードを飲むという行為が前コミュにおける「言葉を飲み込む」に呼応していることは、精神がポエマーな画面の前のシャニマスPならすぐに察せられただろうが、何にせよ今回のP、察しが悪すぎるのだ。三峰と接している時の感応能力の高さはどこいった??まるで別人のように、というよりはハッキリ人の心がないレベルである(もちろん、千雪の本心を知っているのはプレイヤーだけであるからそう見えるのだが)。

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 味は変わらなくとも、混ざり合ってしまえば今の綺麗な色は失われてしまう。飲み込んでしまったらもう元の形には戻らないことを、千雪はレモネードと自分の心情とを重ねて直感している。「また買えばいい」では駄目なのだ。あの時言えなかった言葉も、レモネードの色に心惹かれたことも、その時その瞬間に感じた想いに代えは効かない。飲み干してしまったら、さようならだ。

 プロデューサーに促される形でレモネードを飲んだ千雪の心境はどんなものだったのだろう。飲むか飲むまいか悩んでいたときに背中を押してもらえて喜んでいただろうか、それとも、朝の出来事を思い出して一人心を痛めていたのだろうか。甘くて苦い、レモネードと千雪の気持ちのグラデーション。その想いの切れ端でも、プロデューサーに届いて欲しいと思わずにはいられない。

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 まぁ忙しかったんだろうし、気づけなかったから仕方がないんだけど、今回のPまぁまぁ鬼畜だよね。

もしも夕日が綺麗だったら

 ついに迎えた撮影日。だが、千雪の表情は硬い。撮影への緊張をどう和らげたらいいのか、わからないのだ。その方法をもしかしたらプロデューサーなら知っているだろうと思いながらも、千雪はプロデューサーに心配をかけない為に、またしても言葉を飲み込んでしまう。

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 なんとか撮影は上手くいったものの、千雪の心は暗い。本心を伝えられなかったことでアイドルとしてのお仕事に支障をきたすとなれば、自分を責めるのも当然だ。これでは「やり切った」ではなく「やり過ごした」だけに過ぎず、アイドル・桑山千雪にとっても大きな問題となりつつあった。

 コミュタイトルの「もしも夕日が綺麗だったら」もまた、千雪は飲み込んだ言葉に他ならない。日差しのある時間の撮影ではなく、夕焼けの綺麗な時間だったら、もっとうまくやれたかもしれない。でも、伝えられなかった言葉に意味がないことを、千雪自身が知っているのだ。こうして後悔ばかり積み重ねて、本当の気持ちはわからないままになっていって―。

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 夕日を見ながら「しっかりしなきゃ」と思い直す千雪の隣に、プロデューサーは現れる。千雪はまた、何も伝えられないまま時間が過ぎていくのだが、プロデューサーの何気ない一言に驚く。

「……夕日、綺麗だなあ」

 この一言が、千雪の凝り固まった心をほぐした。もし夕日が綺麗だったら、どんなシチュエーションで、どんなポーズで…。私たちが見ていたアイドルのイラストが、実は千雪の飲み込んだ言葉そのものであったことに気づかされ驚愕すると共に、その言葉が呼び水となって、千雪はようやく自分の本心を口にすることができた。

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 想いが通じ合った小さな奇跡をきっかけに、一歩を踏み出してみる。そんなささやかな心の動きを繊細に描く、シャニマスならではの美しい物語だと思う。言葉そのものは何気ない、仕事のコツを聞くようなことかもしれないが、その勇気を振り絞るまでにどれだけ自分を押し殺してきただろうか。ようやく言葉を吐き出して、少しだけ安堵の表情を見せる千雪が、いつもより愛おしく思えても不思議ではない。

 また、ここで流れる動画も素晴らしい。夕日を背にした千雪は、レモネードを混ぜはすれど、飲み干さないのだ。混ざって、形や色が変わってしまった言葉でも、飲み干さずに伝えることを選んだ。そのことを、プロデューサーに知って欲しかったのだと思う。

I say

 休日の朝、千雪は寮のゴミ出しに出かけた際、出勤中のプロデューサーと鉢合わせる。あの時の公園みたいですね、なんて語り合いながらも、休みの日に時間をとらせてすまないと詫びるプロデューサーに、千雪は本心を伝える。

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 あっ…まってかわいい無理…しぬ…。

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 23歳の「頑張るぞー」ってなに!?!?毎朝言って!!!

 というわけで、もう何も後悔しないように、不器用ながらもストレートな言葉で気持ちを包み隠さず伝える千雪の姿で、うまく結んだのが今回のコミュである。桑山千雪という人は、誰よりも大人でありながら、大人でいたくないという気持ちを秘めている人だ。本当は実像よりももっと幼い、女の子らしい心の持ち主で、大人になりきれない自分を知りつつも、絵本の中のヒロインに思わず憧れてしまうような、等身大の少女。とっても可愛くていじらしくて微笑ましい。それらが彼女を表現するときに浮かんでくる言葉であり、アイドル=桑山千雪の魅力なのだと、素直に思う。

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【True】思い出の色

 夏も終わりに近づきつつある中、千雪とプロデューサーは撮影スタジオを目指して歩いていたが、目印の青い看板がどうしても見つからない。おまけに、プロデューサーは腕時計を忘れてきてしまった。代わりに時間を確認する千雪は、プロデューサーがすっかり日焼けしていることと、腕時計の跡だけ綺麗に残っていることに気づく。

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 プロデューサーの日に焼けた黒い肌と、腕時計の跡の白。レモネードのような液体とは違って、人の肌は混ざって違う色に変わったりはしない。だから、二つの色のグラデーションは溶け合うことなく調和して、まるであの夏の日々のことを記録するかのように、プロデューサーの体に刻まれている。そのことを嬉しく思う千雪は、今日もプロデューサーと肩を並べて、歩んでいく。

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 伝えたいことを素直に口にする。文字にすれば些細で当たり前にも思えるそれは、その実とっても難しい。学校や会社で日常的に行われる忖度や気遣いもそうだが、何より「弱み」を見せたり、誰かを頼ったり甘えたりすることは特に難しい。場に即した言動を求められる日本社会ではなおさらのことだ。だが、プロデューサーとアイドルという関係はやや特殊で、そういったしがらみからは外れたところにあるだろうし、何はともあれ千雪が何かを我慢しなくていいようになるのが一番だろう。瞬間瞬間を彩るグラデーションは、その時だけのもの。だからこそ、混じり気なく伝えたいという気持ちは、きっとレモネードのように美しい。

最高は 瞬間的ノンフィクション だからこそ尊い
ひとつひとつ 大切にしよう

お礼とお知らせ

 なんとか今年の心残りが一つ消えました。素敵な企画の立案、ありがとうございました。さみどりさんに改めてお礼申し上げます。

 あと、普段は映画や特撮のレビューを投稿している私ですが、シャニマス怪文書のみをまとめたマガジンもございますので、よければ併せてどうぞ。全部無料なのでガシャで傷んだ財布にも優しいゾ。

 シャニマスアドベントカレンダー、前回はざーぐ様のこちらの記事でした。衣装の由来がTrueで明かされる(動画が流れる)タイプのものって結構珍しいのですが、その中でも核弾頭級の爆弾を落としていったコミュです。甘奈ちゃん、Pへの好意の表し方はほのめかすタイプだったのですが、このTrueの破壊力たるや凄まじく、Pラブ勢でも一歩抜きんでた結末になりました。ちなみに私も初見時はスマホ投げました。甘奈→千雪と続いたので、誰か甜花ちゃんお気持ち表明書いて欲しいですね。

 次回の #シャニマスコミュ感想文2019 は貝Pさんです。お楽しみに!


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