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吐露

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初期作品
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#シュール

お葬式

母方の祖父が亡くなった。
なるべく急いで駆けつけたつもりだった。
私は普段から焦る事が苦手な人間である。私に例外はない。
人は死ぬ。いつ死ぬか分からないものだから突然訪れるその瞬間はとても苦手だ。
緊急事態に焦る人に巻き込まれる自分にも嫌気がさす。

普段履かない黒いストッキングは朽ちて迷彩柄のような代物になっている。数珠がない。バックはどこにしまいこんだのか思い出せない。7つぶら下げていたピ

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脳内動脈瘤が見付かった母。
必要以上に心配されるのが嫌いな母。
焼き芋が大好きな母。
焼き芋を買って届けたけど留守だった母。
携帯電話を持って二十年の母。

夜にメールが届いた
「ありがとーく」

……番組になってる……
今日のはそれ以外問題ない 読めたしね。

インパクト

仕事終わり 先輩に誘われる「いい店見つけたんだよ、一緒にどう?」素直に従う僕ら。
こじんまりとした店の暖簾をくぐり中に入ると控えめな店主が一人で迎えてくれた。
他に客もいないし やけに静かだと思い 耳をすますと厨房の方から小さなボリュームで井上陽水の曲が流れている。有線かなと思っていたら

エンドレスにランダム再生される陽水。

ラーメン屋でエンドレスに聞く井上陽水。

運ばれて来たラ

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