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スローグッドバイ・石田衣良より「you look good to me」(邦訳:君はすてきだね)5月24付「日高新報」掲載
直木賞作家・石田衣良の恋愛短編集である。この中に「you look good to me
」という短編が収められている。これはジャズピアニスト、オスカー・ピーターソンの名曲「you look good to me」(邦訳・君はすてきだね)を聴いているときに、ストーリーが頭に浮かんで書き上げた作品だという。ストーリーが浮かんでくる曲とはどんな音楽なんだろう。そう思ってyoutubeで調べてオスカー・ピーターソントリオのその曲を聴いてみた。
ピアノが優しくイントロを奏でる。つられてドラムがブラシスティックをスネアドラムに掻きまで雰囲気を盛り上げていく。やがてウッドベースが主旋律を歌い始めた。その後、ベースとピアノで互いの言葉を交わして音楽で語りあっていく。最後まで聴いているとこころが優しくなってきた。これなら小説が生まれるはずだと思った。
主人公のオスカー(ネットでのハンドルネーム)は、コンピューターゲームのチャットルームでアヒルの子(ハンドネーム)という女の子と出会うこととなる。彼女はチャットの際には必ず「自分は醜い」と呟いた。オスカーは自分は綺麗な女の子は好きではないと返信した。アヒルの子はチャットで尋ねた。
以下、本文より。
ーじゃあ、藤原紀香は?
ーぼくにはグラマーすぎるし、足がきれいすぎる。外人体型は苦手なんだ。
-松嶋菜々子は?
-肌が白くて、なめらかすぎだ。イメージだって上品すぎる。ぼくはお嬢様とつきあったことないもの。-
しかし、二人は実際にデートをすることになった。だが、そのデートはあまりにも奇妙なデートであった。
それは、彼女は並んで歩かないし、レストランで食事をするときにも顔を上げず俯いたまま食事をしていたのだ。
彼女は「自分は醜い」といつも言った。彼に自分の顔を見せないように振舞っていたのだ。そして、小説の最後は、こう締めくくられている。
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