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鎌倉殿の13人第39回感想/穏やかな一日も、いずれは裂けて砕け散るかも

坂東武者のいただき

小四郎こしろう北条義時ほうじょうよしとき、演:小栗旬おぐりしゅん)、なんだかいつの間にか野心のかたまりになってない?

父・時政ときまさ(演:坂東彌十郎ばんどうやじゅうろう)ですら、執権の座から引きずり降ろして伊豆に押し込めちゃったのも、すべては『鎌倉のため――』だったはず。
ところが今は『北条が坂東武者ばんどうむしゃいただきにたつ』ことが、何よりも重要になっている。

それは、たしかに兄・三郎さぶろう北条宗時ほうじょうむねとき、演:片岡愛之助かたおかあいのすけ)の夢だったし、亡き兄の想いを引き継いだ小四郎にとっては、実現したい夢なんだろうけどさ。
鎌倉殿(源実朝みなもとのさねとも、演:柿澤勇人かきざわはやと)を傀儡かいらい化してまでやることなのかなぁ、鎌倉殿の次にどっしり構えているNo.2じゃダメなの?
なんてことを考えてしまう。

それにあまり過激な続けると、三浦義村みうらよしむら(演:山本耕史やまもとこうじ)だって黙ってないと思うぞ、小四郎くん。
彼の『いいだろう』という返事を素直に信じてはいけないこと、きみが一番良く知ってるはずだw

鶴丸は平盛綱に

鶴丸つるまる(演:きづき)は氏と諱をもらって、平盛綱たいらのもりつなに。
鶴丸=平盛綱説は、界隈かいわいではすでにさわやかれていたらしい。
歴オタすげぇw

平盛綱は、平資盛たいらのすけもりの子あるいはその曾孫という説があるようで、小四郎のいっていた平氏の血は、この辺の話と絡めてのことなのだろう。

史実上での平盛綱は北条氏の家司として仕えていて、泰時やすとき(演:坂口健太郎さかぐちけんたろう)の代では北条氏の家法を作成したり、御成敗式目ごせいばいしきもく制定の奉行を務めていたり、泰時の右腕的存在だったのかなぁという印象。

あとちょっと驚いたのが、盛綱の子孫が幕府内管領かんれいの長崎氏ってところで。
鎌倉幕府末期の実力者で『太平記』にも序盤の主要人物として登場していた長崎円喜ながさきえんきは、盛綱の子孫にあたるらしい。

ちなみに平盛綱は、2001年の大河ドラマ『北条時宗』にも登場していたようで、養子・頼綱よりつな役は北村一輝きたむらかずきさんが演じていたみたい。
『北条時宗』は、NHKオンデマンドとかだと総集編しか見れないみたいだけど、全編見てみたいなぁ。

公暁を陰から見送る三浦義村?

善哉ぜんざい(演:寛一郎)くんも成長して、公暁こうぎょう(演:高平凛人たかひらりんと)に。
もはやほとんどの人が知ってるんだろうけど、実朝はこの公暁に殺されてしまう。
雪の降る季節に鶴岡八幡宮で「親のかたき」といって公暁は実朝を殺すわけだけど、実朝は公暁の父・頼家(演:金子大地)の死に直接関わっていない。
そう、本来はかたき=北条の人間、もっといえば北条義時なはず。

そして実朝と一緒に殺されてしまう源仲章みなもとのなかあきら(演:生田斗真いくたとうま)。
吾妻鏡あづまかがみ」によると源仲昭は、急遽きゅうきょ体調不良になった小四郎の代わりに実朝のそばにいたそう。

そんなわけで、この実朝暗殺にはいろいろな説があったりする。
はたして『鎌倉殿の13人』では、どういう流れでこの暗殺劇へとつながっていくのかが、見所のひとつであることは間違いない。

個人的には、この暗殺劇に三浦義村がからんでるのではとふんでいる。
第39話の最後、公暁が政子まさこ(演:小池栄子こいけえいこ)や小四郎への挨拶を終え屋敷から出ていく場面で、陰から見送るような見ないふりをするようなそぶりをしていたのも、なんだか怪しいw
あれはいったい何だったのか!?
何かの伏線?
気になって仕方ない!

ただ、三浦義村ならすでに種を巻いているんじゃないかと思う。
長期的な計画かつ自分が主犯とは思われないような手立てで、事をひそかに進めているんじゃないかなぁなんて。
あの梶原景時かじわらかげとき(演:中村獅童なかむらしどう)が失脚した時のように……。

そして、三浦義村が今標的ターゲットにしているのは、鎌倉殿の実朝ではなく小四郎なのでは……。

実朝が亡くなったら公暁が鎌倉殿になるので、乳母夫めのとの三浦義村的にはそれも有りなんだろうけど、でもそれじゃ鎌倉殿が代わっただけで、まつりごとの主導権は相変わらず小四郎に握られちゃうかもしれない。
だからこそ、ターゲットは小四郎。
そうじゃないと意味がない。

さて、三谷さんはどんな脚本に仕上げるんだろう?

大海の磯もとどろに寄する浪

今回は、実朝の歌った和歌がいくつか出てきた。

全部あげると多分以下の4つ。

  • 今朝見れば 山もかすみて 久方の 天の原より 春は来にけり

  • 宮柱 ふとしき立てて よろづよに 今ぞ栄えむ 鎌倉の里

  • 春霞 たつたの山の 櫻花 おぼつかなきを 知る人のなさ

  • 大海の 磯もとどろに 寄する浪 われてくだけて さけてちるかも

歌のことは泰時と同じくさっぱりわからないので、いろいろ調べてみた。

調べてみて感じたこと。
それは、泰時に渡した2つの歌はいずれも、泰時に対する淡い思いとそれを表には出し切れない実朝の苦しい心情を表現しているのかなぁ、ということ。

「大磯の磯もとどろに寄する浪――」は、本歌が万葉集に収録されている笠女郎かさのいらつめの「伊勢の海の磯もとどろに寄する波かしこき人に恋ひわたるかも」といわれているらしい。
そのへんのことを解説してる記事があったので以下に抜粋。

笠女郎が、大伴家持おおとものやかもちに贈った24首のうちの一つで、現代語訳では、「伊勢の海をとどろかせて寄せてくる波のように、畏怖を抱くほど立派なあなたを恋し続けます」という意味合いの恋の和歌です。

出典:源実朝〜大海の磯もとどろによする波われて砕けて裂けて散るかも〜意味と解釈

てことは実朝くん、結局恋の歌を泰時に渡してたってことなのかな。
泰時には気づかれないように。

いやでも和歌ってなんだか趣があっていいもんだなぁ。
歌の意味やその背景を知ると、言葉の美しさみたいなものも感じる。
ちょっと興味沸いてきた。(了)

付録的なもの

【視聴メモ】
のえの切り替わりが速すぎるw
ナレーター長澤まさみ登場!?
承元2年から建暦元年に至る4年間
善哉に悪いことをした
学んで損したといいつつ尼御台は嬉しそう
坂東武者のいただきに立つ兄上の夢を果たしたい小四郎
太田荘
いてもいなくても同じなのではないか
太郎に渡したいもの
北条が目立ってしまいますが
執権を名乗らない小四郎
太郎呼び
品がない北条朝時
源仲章が仲立ちして藤原定家が鎌倉殿の歌を手直し
正しき道はいばらの道、私はあなたのお味方
今朝みれば山もかすみて久かたの天の原より春は来にけり
鎌倉殿の歌を詠む声が美しすぎる
逆にしたがる三善康信
1回だけだぞ
遊びに来てしまいました!!!
仕事が早い八田知家
いよいよ和田が御家人の柱になるときだっ、て本当に言われた?w
声がでかい女は情が深い
北条の方々のこと、御家人たちは皆苦々しく
二度と北条に歯向かう者を出さないために
むしろ殺していれば御家人たちは恐れおののきひれ伏した、私の甘さです
よもぎの困り事は北条朝時
鶴丸に諱を……盛綱、氏は平、これからも太郎の命綱になってほしい
鎌倉殿と蹴鞠やるのが嬉しそうなトキューサw
変っちまったよなあ、鎌倉もお前も!(和田殿はまったく変わらないw
そしれいずれはいなくなる
和田には三浦が
俺の噂をしていたな?
善哉に見せたいもの
この鎌倉を変えるぞ
頼家の分も善哉を幸せに
太郎は小四郎より弓の腕た立つのでは!?
分不相応な取り立ては災いを呼ぶ
鎌倉殿の言うとおりにございます
私が間違えていた
私のやることに口を挟まれぬこと
いらっしゃいますか、心を開くことのできるお方が
どうしてもそういう気持ちになれない
春霞たつたの山の櫻花おぼつかなきを知る人のなさ
間違えて渡してしまったようだ(嘘
大海の磯もとどろによする浪われて砕けて裂けて散るかも
建暦元年9月22日、公暁(善哉)京に上る
十国峠、実朝歌碑、鶴岡八幡宮

2022年NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第39回「穏やかな一日」より


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