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真夏の出来事【音声と文章】

山田ゆり
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今回は、真夏の出来事 をお伝えいたします。
3分22秒の音声です。
音声と文章どちらでもお好きな方をどうぞ。

**文章はここからです***
こんばんは。山田ゆりです。
今回は、真夏の出来事 をお伝えいたします。


夜勤から帰宅した僕は
倒れこむように床についた。

この生活は何年になるだろう。

都会ではそれなりに充実した毎日だった。
できればずっと勤めていたかった。

しかし、長男である僕は
「家」を守る為に戻ってきた。

当時は、「超」が付く就職難の時代。

都会での経験を活かせる仕事は
なかなか見つからなかった。

こんな田舎では、前職と同じ仕事は皆無だ。
そして、やっとありつけたのが今の仕事。


友人達はほとんど、父親になっていた。
早い奴は、孫がいる。

僕は年老いた母と二人暮らしだ。

玄関はいつも靴が散乱していた。

台所の洗い物がたまっている。

「もう少し片づけてくれないかな。」

しかし、腰が曲がってきた母は
もう何もしたくないらしい。

もともと細身だった母は
最近特にやせ細って来ていた。

昼夜逆転の生活の僕は
母と一緒に食事をする事はない。

母はキチンと食べているのだろうか。

そんなことをぼんやり思いながら
僕は眠りについた。



その日の夕方、出勤するために僕は起きた。

母は寝ている様だ。
僕は特に母に声を掛ける事もなく
いつも通り家を出た。

夕方なのに気温はまだ30度台。
その日も蒸し暑い夜だった。



翌朝、帰宅した僕は
家の中が異常に暑いのに気が付いた。

こんなに暑いのに窓が閉まっている。
暑すぎる。
僕は家中の窓を開けていった。

ついでに母の部屋に行く。
いつもは素通りするのだが
母の部屋の窓も開けてあげようと思ったから。

「母さん、ただいま。」
母の部屋の窓は閉めきったまま。
母は眠っていた。

「母さん、今帰ったよ。」


母は永遠の眠りについていた。



本日は、真夏の出来事
をお伝えいたしました。

本日も最後までお聴きくださり
ありがとうございました。

ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日にしましょう。

山田ゆりでした。

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