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過去

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#弟

※今回はこちらの続きです。
~その時がついに訪れた~ ネガティブな過去を受け入れる


https://note.com/tukuda/n/n70afb7094fd8




心電図が取り外され、病室から機械が持ち出されている間、のり子は弟の腕の近くまで身体を曲げて、口にタオルをあてながら声を殺して泣いていた。

今まで抑えていた感情が一気に溢れ出しそれがなみだに姿を変えてのり子の体外へ放出され

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※今回はこちらの続きです。
↓バッタさん~ネガティブな過去を洗い流す~
https://note.com/tukuda/n/n163d3558ee6e?from=notice




「これからの治療の方向性が分かりましたので無菌室から一般病棟へ移ります。」
佐々木医師はにこやかに弟に向かって話をした。


大学病院では数人の医師がグループを組んで弟の治療にあたっていた。
佐々木医師はその中で一

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※今回はこちらの続きです。

https://note.com/tukuda/n/n21a49f2f9ed5?from=notice





弟は一般病棟から無菌室に移る前に、病院の理髪店の方にお願いして散髪をしていただいた。
弟はこれから治療が厳しくなると医師から聞いていたから、自分に気合を入れる意味もあり、髪を五厘刈りにした。

そんなヘアスタイルは高校の野球部以来である。
顔立ちのはっき

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※今回はこちらの続きです。

https://note.com/tukuda/n/nb314d9df08ff?from=notice





話は少し前に戻ります。



のり子の弟が入院してまもなく、今後の治療中に血液が急遽必要になることもある為、献血をお願いしたいと医師から言われた。


のり子はまず、弟の勤務先である新聞社に電話をした。


いつもお世話になっている弟の直属の上長のTさ

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※今回はこちらの続きです。

https://note.com/tukuda/n/n3b90c1a03ed0?from=notice



のり子の弟は6人部屋の方々とも良好な関係だった。


同じ病室の人たちは、それぞれ病名は違えども、ある意味、同志だった。退院していく同志の後ろ姿を見ながら、自分も早く退院できるようにしようと弟は言った。



弟は吐き気と高熱故にベッドが大きく揺れる状態で体

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※今回はこちらの続きです。

https://note.com/tukuda/n/n440fbae3820e?from=notice




「ところで、息子さん(弟)には本当の病名を伝えても大丈夫でしょうか。」


T部長はのり子達に向かっておっしゃった。

両親ものり子も考えたが即答できない。

弟は27歳で立派な大人だから、自分の病名を知る権利はある。
家族の私たちがそれを阻止するのはおか

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※途中、咳が出てすみません。
※今回はこちらの続きです。

https://note.com/tukuda/n/n3c0436897708?from=notice




「検査の結果、緊急入院することになりました。ご本人には連絡済みです。病状の説明をしますので、ご両親、こちらに来てください。」

地震などの緊急速報を話されているアナウンサーのような、少し慌てた感じで大学病院の先生はおっしゃった

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今回は、こちらのnoteの続きになります。
↓「私は税のプロになる」根拠のない自信がなぜかあった

https://note.com/tukuda/n/n591966513995



「私は税理士事務所に勤めながら税理士になる。」
そのような大志を抱いてのり子は11年間勤めた会社を円満退職した。


のり子には「税のプロになる」、その夢でいっぱいだった。自分はなれるとなぜか思っていた。



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