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読書要約#3 -WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE.

この本はご自身で「オンラインサロン」という形でコミュニティ運営もされている佐渡島さんによる、現代における”コミュニティ”についての本である。

①孤独について

「安心」「自由」。元来人類はこの2つをコミュニティに求めてきた。だが、2つを同時に手に入れることは難しいとされている。初めは「村社会」。誰もが相手の顔と名前がわかる範囲で収まるコミュニティだ。ここではみんな知っているという「安心」や同調意識が得られるが、一方で他コミュニティを激しく排除し、職業選択などの「自由」は得られなかった。時代は流れ、高度経済成長が起こり、都市部に人が流れ込んだ。「村社会」は終わり、「核家族」や「会社」という極小コミュニティが生まれた。「村社会」に比べれば「自由」度は増したが、周りは知らない人ばかりで「安心」は減った。そして現代はその「核家族」や「会社」が機能しなくなり始めている。そもそも結婚する人が減ったり、終身雇用の仕組みが崩れつつあったり、働き方改革があったりする。ここでいちばんの弊害を受けるのがマジョリティだ。自分が何を欲しているか、どう生きたいのかを把握せず、社会の型にはまりただ従ってきたマジョリティは今や”コミュニティ”を失い、”孤独”を感じ始めている。解像度を上げて考えてみる。友達と遊んでいる時でも、飲み会に参加してばか騒ぎをしていても、時たま、”孤独”を感じるときがあるのではないか。もはやこれは日本国内だけの問題ではなく、世界的に”孤独”は「社会課題」として認識されつつある。アメリカ心理学会2017年次総会では『孤独感が肥満よりも深刻な脅威である可能性があり、その社会的インパクトは無視できないものになっている』と発表した。そして『人々が参加できるコミュニティを作り、関与を促すことは、孤立した人々のメンタルヘルスを保つ一助になり得るだろう』とも。筆者はこの課題解決のために「好き」を中心にしたコミュニティ「安心」「自由」の両方を得られる可能性があるのではないかという仮説を持っている。

②熱狂について

「好き」を中心にしたコミュニティ形成のために筆者は「熱狂」というキーワードを掲げている。パレートの法則というものがある。それは2割の主要な顧客が8割の売上を支えるというものだ。この2割の主要な顧客というのはファンとも、熱狂する人であるとも言い換えられる。この熱狂的な2割をいかに作り出すかが、「好き」を中心にしたコミュニティ形成において重要になってくる。だが、「熱狂」だけを追い求めても”持続的な”コミュニティは形成されない。いわば「バズ」のような現象にとどまり、その熱はすぐに冷めてしまう。コミュニティとは永続的に続くものが本質であるように思われる。ここで出てくるのが「安全・安心」である。重要なのは順番で、安全・安心の確保→熱狂→拡大→安全・安心の確保の繰り返しである。熱狂→安全・安心の確保の順番だとすぐに冷める。Instagramのストーリーズが流行っているのも”24時間で消える”という「安全・安心の確保」を先にしているからみんなが投稿しやすくなる。コミュニティにおいても、この順番で設計することでメンバーが安心して「好き」に没頭することができ、熱狂の輪が広がり持続的なコミュニティが形成される。

③所感

僕自身も”孤独”を感じる瞬間というのは日々生活している中で当然ある。インターネットの発展というのは良い面、悪い面あると思っていて、情報共有のスピード向上、デリバリーできる範囲拡張、などは素晴らしい発展である。一方で情報を世に出すハードルが下がったことで常に他人の情報にさらされるという面もある。情報が爆発しているからこそ、その情報の洪水に疲れるとともに自分と他人とを比較してしまう瞬間がある。そうなった時に”孤独”を感じる。でもその”孤独”を癒してくれるのもまた他人という存在であるのはなんとも興味深いことである。大事なのはその他人との関係性だと思っていて、深い関係性の者といる時は(=好きでつながっているコミュニティにいる時は)安心することができる。逆の場合は緊張であったりある程度負荷がかかるということができる。だがしかし、自分の枠を広げるためにもcomfort zoneを出る必要性もあるわけで、どの選択をするにしてもどうしてそのアクションをするのかという目的がついて回るなと思う。

④転用

現代に即したコミュニティの本を読んで、2つアクションした。

1つ目は卒論のテーマを「現代におけるコミュニティ形成の促進要因、阻害要因」に決めたことだ(卒論テーマ決めるの遅すぎ)。孤独問題はばかにできないなと本気で思ったのと、本文中にもあるのだが現代に即したコミュニティについての研究が本当に少ない。その2点から研究意義があると思って選択した。

2つ目は今年半年間やってきた50m走の大会運営の来年度版企画書を作成したことだ。今年手探りでやってきた中でなんとなくコミュニティのようなものができつつある気がしていて、それを確固とするために本書を参考に企画書を作った。簡単にいうとファンがより主体的に動けるようにファンコミュニティサイトの作成、ファンが運営に関わる仕組みなどを提案した。

どちらも進行中なので両立しながらうまく着地できるように精進する。

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