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『ご無沙汰しております』の中身

ご無沙汰しております。
いやホントに。
久しぶりに筆を取ろうと思って、と記しつつ随分とお暇を頂きました。
あの日あの時声を交わしたどこかの誰かは今でも変わらず笑えているでしょうか。

夏の終わり

大好きな夏の“袖を掴んでいられるのも”残り僅か。蝉が鳴く朝があるかと思えば夜は鈴虫が鳴き始めている。毎年巡ってくると知りつつも大好きな季節なだけに夏との別れは案外切なく。秋もまた“日常”が色鮮やかな装いで満ちるだけに捨て難いものの、9月となれば“September”。プレイリストはいつにも増して竹内まりやが並ぶ。
『ほかの季節に比べて秋がどこか切なく感じるのは何故だと思いますか』という質問に「夏の陽射しが弱まるように心に翳がさすから」と引用した事を何故か毎年思い出してしまう。

1件の着信

出会いと別れを想起させる季節の変わり目8月の終わり。先輩職員より夕飯の誘いがありました、私は連休。サシ飲みではなく同席者が居ます、まさかのかつての上司です。
入社当時から幾度となく手厳しい指導と変化球な励まし言葉をくれた人。業者と上手くいかず「現場から外して欲しい」と泣き言を零したかつての私に『お客様からの評価が高い職員を外すのはデメリットしかない』と私を肯定してくれた人。だからこそ彼等が会社の体制に見切りをつけ、退職を考えている事を“噂で聞いた”時はとても苦しく、あの夜30分の電話で語った思いは敬愛という名の恋心だったのは隠しようがない。

そんな彼が先輩職員をご飯に誘いつつ、『(本名)はどうだ』と私の同席を提案してくれたそうな。
内容は恐らく、現場の現状や社員の心境の変化、『うちに来ないか』が出ないとも限らない。
しかも私、あの夜の電話で「別で会社を立ち上げるならついて行く」って言ったし。
本音だったし。

本音と建前

あの夜の電話で『嬉しいけど今は言えない。引き抜きになっちゃうから』と口にしたのを聞いて、この人はやはり“葬儀が好き”なんだなと痛感した。
事務所では『別の仕事をする』と答えていたのに、結局葬儀やりたいんだなと、別れを嘆きつつも嬉しかった日が懐かしい。

とまぁここまで記しつつ、暦の関係で予定日が変更になる可能性があり、その場合先約と被ってしまうという新たな悩みが(※結構本気で悩んでる)。

それでも逢いたいのだ。
いつもと何一つ変わらない「お疲れ様です」の挨拶をもって別れを告げた恩師にもう一度逢えるなら。

私自身あれから心境の変化がなかったわけじゃない。
会社の方針、上層部と現場の価値観の差に日々溜息をつきつつ、残った職員と新たにやってきた職員と共にもう一度走り出した。
楽しい時間がなかったと言えば嘘になる。
今の仲間も好きだ。
だからこそ「あなたにならついて行く」。
この返事は変わるかもしれない。

強いて言うなら「私は変わらず元気です」と伝えたいだけかもしれないし、あの頃の「お疲れ様です」の意味を込めて、「ご無沙汰しております」と言いたいだけなのかもしれない。

(2022/08/25)



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