酷い眠気、不可解な文章

世界が終わる十秒前、君の目が瞬いた。

その青い目は、海が太陽を映して輝くように

世界の破滅を映し輝いていた。

世界が終わる一時間前、
僕は君の手を取った。
非力な君の手をぎゅっと握り締め
離さないと心に決める。

もう何百年も前から僕は、
君の手を握り安心を促したかった。

もう世界は後一時間しかない。

「永遠はなかった」

君の口から希望の泡がしゃぼん玉のように
ふわふわり。飛んでゆく。
柔らかくて今にも消えそうな、泣きそうな。
僕はそのしゃぼん玉を割って抱きしめたい。

君の考えを全て否定して

永遠を君に知らせたい。

「泣かないで」

口にすると君が自傷気味に笑った。
いつもと逆だ、と笑った。

君の眉がゆるゆる緩む。何時だって
凛として、
世界の真理を見つめていた目が
壊れてゆく。

青い瞳が、たゆたゆと

やめてよ、とめてよ、世界の破滅

君は、僕の世界だよ

たゆたゆ、たゆたゆ。瞳の中、

白い輪を描く、光る。

「僕が君の永遠になる」

君の目は僕をしっかりと捉えた。
僕が手を離さないのと同じように、

君は目という名の刃で、鎖で、首輪で、

僕を離さないでくれ。

「言ったでしょ」

君のおでこにおでこをくっつけくつつける。

「永遠、永遠は、永遠の愛は、」

風が舞い上がり、海が舞い上がり、
僕らの周りを雪が踊る。

踊り狂う。

「愛しながら死んでゆけば永遠になるって」

はっと、はっ、と、はっ、、っと、はっと、

君は息を飲み込む。
息は緑の味。空気は薄水色。

「僕は、君の永遠になる」

時間は止まり、時間は進む。
初めから時間なんて存在しなかった。
時間を時間たらしめるのは
僕達だった。

だから、時間は止まった。

世界がいう。時計がいう。文字がいう。

人間の言葉を借りるなら、
世界が終わる30分前。

君は何がしたい、君は何がしたい。

青い目が僕を捉え続けて離さない。
その視線の、青透明な視線の、
手錠に縛られ僕は、君にキスをした。

「だから、ねぇ、君は何がしたい」

世界、少しだけ黙れ。機械、君は破滅したまえ。文字、最早君は役立たず。

僕の世界は君で成り立ち、君の世界は今、
僕で成り立つ。

「永遠、」

口から気泡は出てこなかった。
君の希望は君の中に住んでいる。

「貴方の永遠を頂戴」

わかりきった僕の返事など
君は待たない。
凛とした目を取り戻し、君は、
海の先、世界、世界、世界、世界、世界、世界、世界、世界、世界、世界を見た。

「早く滅んでしまえ、世界」

君の青い目こそが真実。僕の世界。

最愛、真理、数奇、刹那、臓器。

世界が終わるその瞬間、

世界は弾け、僕の愛は永遠に

君の願いは世界最後の願いになる。

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